駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

守りたい力の源

2009年04月14日 | 世の中
 若い女性が胃の調子が悪いと受診したら、必ず鑑別診断の三番目に妊娠を挙げなければならない。別に胃の調子が悪くなくても若い女性を診たら頭の片隅に妊娠を入れておくのが町医者の常識なのだ。口が酸っぱくなるほど研修医には注意している。それでも、某医院で胃カメラ異常ないと言われましたがどうもまだすっきりしません、と来院するつわり症例が数年に一例くらいある。
 年に一例くらい、腹部不快にぴんと来て検査をすると妊娠反応が出る。独身の場合がほとんどなので、妊娠ですよと小声で告げる。残念ながら弾ける笑顔は返ってこない。
 頑迷な中高年と思われては残念だが、どうもできちゃった婚という言葉に不快と不安を感ずる。共に生きる決意が出来ていれば、多少のフライングはあってもと思うが、ロシアンルーレットをしていたら暴発して出来ちゃったからというのは大いに疑問だ。それでも家庭を持ち非嫡出子が避けられれば好いのだが。
 非嫡出子、この言葉は死語にしたい、を差別しようというのでは決してない。世の中には様々な事情があるだろう。まして子供にはなんの責任もない。ただそんな事情は千に三つ程度だろう。
 どうしてこんな事を書いたかというとネットのニュースでアメリカでは40%の子供が婚外で生まれていると報じられていたからだ。日本は1.8%と先進国では極端に低い。果たしてこれが守られていくものか。守られることを願う。 
 世の中変わった、シングルマザーの時代と言われるようになったら、それで明日を担う子供が育つだろうかと不安になる。家族や家庭なしに人間の子供が伸び伸びと育つかどうか、これにはいろいろな意見があるだろうし科学的なアプローチも必要だろうが、一人前の大人の感覚では、家族や家庭は子供の成育に必須の環境だ。それは子供の時に必要なだけでなく終生記憶として生きてゆく糧になる。
 巡り合わせの悪い人を差別するために書いているのではない。世の中には理不尽や不可抗力が溢れているのは十分承知している。
 偏見の誤解を恐れずに言えば、家族家庭の力は日本の力の源のような気がする。篤姫も言っていたではないか。
コメント (2)
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