駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

バブル余聞

2009年04月18日 | 小考
 今では誰でもバブルがはじけたと言うようになった。失礼ながら金融経済には疎いはずのお婆さんまで「バブルがはじけたもんで・・」と口にする。まさに人口に膾炙している。ではバブル(経済)とは何のことと聞けば、キチンと答えられる人はそう多くないだろう。
 私は町医者で経済学の知識も蓄財の才もないが、何度も聞いているうちにこれは価値と価格の妄想的遊離だということがわかってきた。要するに大して価値のない物にあたかもご大層な価値があるように多数の人が幻覚を持つようになり、あれよあれよと言う間にとてつもない価格が付いてしまうことだ。あんまり高くなりすぎたせいか、酔いから醒めたか、憑きが落ちたか気が付くと二束三文の物に二両の値が付いており、慌てて売ろうとすると二束五文でしか売れず痛たたということになるわけだ。たぶん当たらずとも遠からずの解説になっているだろう。
 ところでどうしてこんな事が起きるのだろうか。おそらく経済学では色々難しい理論があるのだろう。よく知りもしないのに口幅ったいが、私にはどうしてとなると、これは経済学よりも生物学の問題のような気がする。
 それは人間の欲望のせいだなどという欲深い人が思い付きやすい説明は僭越で単純すぎるだろう。勿論そうした側面があるのだろうが欲望などといっても色々あるのでもっと厳密に分析しなければなるまい。本式にこれを論ずれば本が書けるし、私が知らないだけで恐らく既にそうした考察が本になっている気がする。
 ただなぜバブルが起きるかを考えてちょっと面白いと思ったのは価値というものを人はどうやって決めているのだろうかということだ。どういうものか個人の感ずる価値が種としての価値にどこかで繋がってゆくように見えるのが不思議だ。
 そして人はいつの間にかどこかで普遍的な価値を求めているようでもある。俗人の私にも哲人が朝に道を知れば・・と言った心境が微かに分かる気がする。
コメント (2)
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