さまざまな工夫

　小太り、否少し体重が多めの患者さんが体重を量る時の仕草はいろいろ。　財布をポケットから出す、靴が重いからと靴を脱ぐ、体重計にそーっと乗るなど皆さん工夫をされる。無駄な抵抗と見ているのだが、そのほかに言い訳も付くことが多い。昨日会合があってちょっと食べたんですよ、この間旅行に行ったから、努力して居るんですよなどなど。
　この辺は良いのだが、ルール違反を意識か無意識かされる方もいる。あれー、２ｋｇ減ったがそうは見えないなあと、よく観察すると指が二三本診察室の机に触れている。これこれと離させると０．５ｋｇばかり増えている。どうも舌ベロを出したとところを見ると知ってやっていたのかな。
　二年、三年と、今度こそはの同じ会話の繰り返しが続くと、なんだか共犯者の心境になってくる。明日からダイエット、今日だけはの繰り返しが目に見えるようだ。それでも、しつこく言うことにしている。諦めては元の黙阿弥だが、多少嫌がられても繰り返すと四年五年すれば、いくらかは効果があることが多いからだ。
　人間というのは身勝手なもので、中には私を悪者にされる方もいる。先生がうるさいからしつこいから、気持ちよく食べられない。ほら、痩せてやったんだよと恩着せがましく言われてもなあ。
　何と言われても結果が出せればよく頑張りましたねえと最大限褒めている。これには並の医者よりも心が篭もっているはずだ。というのは私自身が食いしん坊で、いつももう一口を我慢しているからだ。私には一週間で２ｋｇ肥ることぐらいはお茶の子さいさいで、実は常に軽く我慢して続けているのだ。そのため体重がいつも２ｋｇくらい上下している。
　こんなに苦労しているのに、女房はレストランで自分が食べ残したのをほらと回してくる、勿体ないし美味しいし、つらい、「あのなあ・・」と血圧が上がることだ。