駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

地震の予知は可能か

2009年08月12日 | 小考
 静岡で地震があった。マグニチュード6.5で震度6弱。その割には被害が少なかったようで、東海地震への備えが奏功したらしい。もう30年も前から騒がれているのだが、その間に思いも寄らぬ神戸東北新潟で大きな地震があり、忘れられたかと思ったが、そうでもなく日頃の備えが実を結んだようで何よりだ。
 しかしこの地震に対し、何の予知もされなかったようで、どうも予知能力が訝しく思えてくる(メカニズムが違うので予知できないというのだろうが)。今回の地震は東海地震に繋がらないと発表されたがどんなものだろう。
 東海地震予知を謳って分捕った予算額は半端なものではない。外国人の研究者による内部告発があったが、大きく取り上げられることもなく看過されている。予知できなくてもお金が使われ様々な副次効果があれば由とするのだろうか。
 地震予知は科学を行政にどう生かせばよいかの一つの試練だと思う。良い前例になれるか微妙なのだが、物理学者からの批評がないのはいかがなものか。科学者にも業界内部の批判は御法度なのだろうか。
 臨床医の類推など相手にしない方も居られるだろうが、地震という複雑な事象を時間単位で予知することは不可能だと思う。日単位でも難しいのでは。
 近似の解けない方程式をコンピュータを使って迫るという手法だと思うが、だいたい科学的なことを会議で決定すること自体が、冷静に考えるとおかしいことに一般の人も気付かれると思う。科学と行政の共同作業は注意しないと相手に下駄を預けあって責任を逃れる陥穽を孕んでいる。
 科学だから素人は口を出さないようになどと言う人は一流の科学者ではないことを言明しておこう。行政には勿論そんなことをいう資格は微塵もない。
 
コメント
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