駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

五年と十年

2009年08月18日 | 人生
 田舎に墓参りの折、兄と夕食を共にした。
 「俺も親父が倒れた年まで後一年になった」。咄嗟にうまく帰す言葉が見つからない。「ああ、そうか」。と間の抜けた返事をする。仕事はほとんど引退し身体が不自由になった姉(兄嫁)の世話をして暮らしている由、そのため何処へも出かけられないと言う。「お前はまだ若いから」と言われて、人は自分より年下はいつまでも若く見えるのだと思う。
 去年はまだ、少しは先の話をしたような気がする。「ああしたこうした、ああだったそうだった」と話をして別れた。
 毎年墓参りに帰る故郷は街も人も少しずつ変わって行く、今年はそれをいつになく強く感じた。
 十年後というのは、予測できず不確実だ。五年後はなんとか予測の範囲、計画の及ぶところと思う。身体は不自由ではないが、さほど丈夫ではない家内と二人連れ、ソフトランディングを考えねばなるまい。
 気が付けば驚かされる秋の風。悠久の奈良の都を訪れて、悠久ならぬ身に気付いたことだ。
コメント
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