駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

多趣味悠々

2009年08月28日 | 身辺記
 先日、一年ぶりに防波堤からの五目釣りに出かけた。僅か二時間、釣り上げたのが一匹逃がしたのが二匹という釣果であったが十分楽しんだ。もはや釣れなくても楽しめる心境に達しているので、浮子を見つめながら陽が陰ってくるのを感ずるだけで心和らぐ。浮子が波間に踊るのを飽きず眺めているのは、何とも言えない心地で大自然に抱かれ別世界に浸る気分になる。
 幼い日近所の遊び友達と田や森の池へ、家庭を持ってからは子供達と川や堤防へ釣りに行った日々を思い出す。一番幸せな時間だったような気がする。
 残念なことに女房は私のあれこれの趣味を好まないので一人で来たが、それもいい。釣れなくても、釣れるかも知れないとうい期待があれば何度でも竿を出せる。不思議だ。
 同業者にも釣り好きが居るが、皆沖に出て鯛とか鰹とか烏賊の大物を狙う。一緒に行きたいが、船で海に出るのは二の足を踏んでしまう。揺れると酔うのだ。酔っても誰も陸へ戻ろうという人はいない。独りげーげーやるのは懲りた。それと沖の釣りは繊細な駆け引きの妙味に欠け、生意気を言えば面白くない、負け惜しみかな。
 趣味というか道楽というのは不思議というか厄介なものだ。朝、駅までの道で時々「先生」と手を挙げてすれちがう自転車乗りはK病院呼吸器科部長のA先生だ。彼は毎日10キロの道を自転車、といってもママチャリでなく何十万の高級自転車、で通勤している。そんなに毎日乗っていれば十分だと思うと、この前の日曜日M市まで行ってきましたなどと言う。往復150キロ、殆ど病気だ。そういう私にも重症の趣味がいくつかある。
 医局に入る面接で、趣味はと聞かれ色々挙げたら「あんたね、それじゃあ勉強できないだろ」。と一喝された。さすが教授、何十年先までお見通しだったようだ。最近はブログまで書き出して、多趣味という病気も病膏肓で、毒喰わば皿までの心境だ。
コメント
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