IPS細胞が山中教授のノーベル賞受賞から脚光を浴び、再生医療の夢が声高に語られるようになった。ついこの間はSTAP細胞が話題となった、こちらの方の真偽はまだはっきりしないようだが、それでも再生医療に夢を与える研究なのは間違いない。
しかしここで注意しなければならないのは、夢は夢で実現はまだまだ遠い側面を持っているという点だ。マスコミは話題性に飛びつき夢が今にも実現しそうに報道するが、夢はまだ夢で臓器の再生が可能になり実臨床に応用されるようになるには恐らく四半世紀以上の時間を要するだろう(細胞利用の実現はもう少し早くできると予想される)。あんなにお金をつぎ込んだのにまだ出来ませんがと問うても、夢だからとかわされてしまうだろう。それにいつものことだが、マスコミも国民も二三年もすれば熱が冷めてしまうので、さほど問題にならない。
思い出せば直ぐわかることだ、常温超伝導という騒ぎがあった。ちょうど四半世紀前だ。現在まで全く実現してない。その時にもそんな簡単にできるはずないという声があったはずだが、かき消されてしまっていた。なぜ過熱報道と問うても夢でしたからと釈明するだろう。否、無視して返事さえしてくれないかも知れない。注目され、売れてなんぼのマスコミ業だからだ。
どうしてこんなことを書いたかというと、夢にはいつも過剰?な投資がされてしまうからだ。やっかみもあるかも知れないが、研究費が喉から手が出るほど欲しい他分野の研究者達はIPS再生医療と掲げただけで何十億という研究費がもらえる有名大学や研修施設を横目で見ながら、不公平尋常じゃないとこぼしている。