間違いなく徐々に暖かくなってはいるものの、今日は冷たい雨が降っている。暑さ寒さも彼岸までと語り継がれた昔の人の知恵も、なんだか怪しくなってきた。
人間はどうも自分が曲がり角に生きていると感じやすいようだが、文字通り戦後を生きてきて、間違いなく曲がり角、第三コーナーか第四コーナーかは知らないが、を生きてきた実感がある。人生五十年が今や人生八十年になった。何度も生まれ変われればともかく八十年を持って生まれた遺伝子情報で生きなければならない。三つ子の魂百までもと、幼い時身に付いたものは年を取っても残っている。曲がり角を生きていると、どうも曲がりきれなくなってくる。
要するに、高齢個体が生活の変化についてゆくのは中々大変なのだ。医療の世界でもIT化が進み、電子情報によるネットワークが張られるようになったが、追いついていけるのは四分の一に過ぎない。これは公式見解で実態は五分の一にも達していないのではないかと思う。私は登録はしているが使っていないので、実態不使用の中に入っている。、使わないのは便利ではないからだ。パスワードを入れマウスを五回も六回もクリックして、情報を読むのは時間が掛かる。そして得られる情報は生なので、専門的な所はよくわからないところもある。遅れてもわかりやすく書いてある主治医からの文書の返事を待つ方を選択してしまう。二十年若ければ、意欲的に取り組んで使いこなしたかも知れないが、診療で疲れた上に書類記入などの事務仕事が多い老い始めた身には難しい。
あと十年もすれば引退と考えている医師は新しい波を横目で睨むんでいるのが本当のところだろう。