駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

スケールメリット?

2014年06月01日 | 小考

     

 本当はスケールデメリットと書くべきなのだろうが、メリットを得る側から表現した。物事は尺度で見え方が異なってくる。物理学では極小になってゆくと成り立つ物理法則が変わってゆくのだが、人間社会では個人の身の回り感覚を越えて尺度が大きくなってゆくと、見えるものが違ってくると言うか、見えにくくなってくる。

 国家というものが、どんなものかがきちんと見えている人は少ないだろうし、国家を体現しているらしい政府のやっていることを把握している人も少なかろう。殆どの人は家族付き合いのある人仕事で関係のある人以外は、興味あるスポーツ芸能界の人に注意を払っている程度だろう。私も本屋やネットで、幅広い情報に接しなければ、政府のやっているような日常生活を越えた規模の策略には気がつかなかったと思う。策略としたのは、どうも政府のやろうとしていることが、庶民のためのものではないからだ。日本人はと言っていいか分からないが、我々は税金の支払いには敏感なのに、税金の使い途には鈍感である。その理由には、使い途が分かり易く提供されていないことと、スケールが大きいために一般人の感覚では理解しにくい為・・があるだろう。政府というか国家が、いつも庶民最優先であれば、それでいいかもしれないが、そうではないので要注意だ。

  試しに、金子勝さんの「原発は火力より高い」岩波ブックレットNo.880を読んでみられると良い。金子勝さんの指摘は事実で提案は建設的なものに思われる。何兆円などというスケールの問題は庶民感覚から離れている為に見逃されやすいが、「原発は安あがり」などというスケールの大きい虚言を見過ごしてはならんと思う。無言は賛成とみなすのは為政者の常套手段だからだ。

 

 

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