駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

イッツ ナオ オア ネバー

2015年11月29日 | 人生

                 

 イッツ ナオ オア ネバーとプレスリーが歌っていた。この歌詞の意味が分かるには年月が掛かる。

 シルビーバルタンそしてバーブラストレイザンドのコンサートを聞き逃し、伯母と話をする機会の先送りにして逃し、今度はもうないことを学んだ。身に滲みて後悔している。

 伯母が十年ほど前に亡くなってから母のことを知る人はもうこの世には居ない。父に比べ余り自らのことを語らなかった母のことを少し聞いておきたかった。心臓を悪くして入院され、一時小康を得て退院された時、お見舞いに行けばよかった。病み上がりに悪い、又今度と思い機会を逃してしまった。

 何度でも読める作品こそ、私にとっての名著であり、折に触れて十人ほどの著者を呼んできた。小平邦彦 洲之内徹 開高健 吉村昭 小野寺健 津野海太郎 野田知佑 川本三郎 椎名誠 村上春樹 ・・・既に何名かは故人になった。最近これに初めての女性、多和田葉子さんが加わった。

 どちらかと言えば小説よりもエッセイの方が好みで、広い世界から見付けた著者達を師のように隣人のように友人のように感じてきた。どのような影響を受けたかは分からないが私の世界を豊かにしてくれた人々なのは確かだ。この誰にも会ったことがない。会う必要がないという気持ちもあるが、「こんにちわ」と直接挨拶したい気もする。元よりどのような印象であれ、今までの気持ちが壊れることはないと思う。宇宙船地球号に乗り合わせた縁を身近に感じてみたい。

コメント
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