血圧測定は何処の診療所でも毎日何十回と行われているが、血糖値や血色素測定と違い揺れ動いて判定が難しいものだ。測定する場所でも多少違い、一般に診療所での測定の方が家庭での測定よりも5mmHgくらい高く出るとしたものだ。まあこれは三分の二ほどの人で、診療所で測定すると20-30mmHg、時に50mmHgくらい高く出る人がかなりの割合で存在する。慣れると下がってくる人も居るが十年通っても駄目という人も居る。中には少ないけれども診療所の方が低いという人も居る。
こうした家庭血圧が高くないのに医院で測定すると高く出るのを白衣性高血圧症、高い血圧が更に高くなるのを白衣現象と呼んでいる。家庭血圧の測定を行えば鑑別が付くので、血圧の評価にはさほど困らないが、患者さんとのやり取りでは苦労することもある。
と言うのは、診療所で測定すると緊張するという患者さんが、肝っ玉が小さいというか神経が細かいというか、反論しない大人しい人とは限らないからである。思うに肝っ玉には二種類あって、危険に強い肝っ玉と人間に強い肝っ玉と二種類あるようだ。どうも女性に、この危険は怖いが人間には強いという肝っ玉の人が多いようで、診察室で緊張して血圧が上がる女性に「何よ」とか「「失礼しちゃうわ」と負けていない人が結構居られる。見た目も派手な感じでひ弱わそうではない方が多く、どうしてこの患者さんが緊張するのだろうと不思議な感じがする。
こうした女性には派手な感じでもオープンで根は気の良い人が多いようで、最終的には納得され、問題がこんぐらかるということは殆どない。付け足しだが、本当に恐いというか強い女性は大人しそうで優しそうな印象の人の方に多い。診察室での観察だが、当たらずとも遠からずだろう。