駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

現場と行政の乖離

2018年10月24日 | 医療

           

 本格的に寒くなってきたが秋晴れが続かない。肌寒い曇り空の下を駅まで歩いた。

 もう長く生きてきたが、今頃になって政治の世界は策略に満ち、行政の世界は机上の作戦に満ちていることを知った。

 厚労省は増加する認知症患者対策として、認知症サポート医の育成を図かり始めた。曰く、かかりつけ医への研修・助言をはじめ、地域の認知症に係る地域医療体制の中核的な役割を担う医師として、認知症サポート医の養成を進めています。

 ところが、現実にはサポート医になった医師はたまたま医師会の役職に就いていたのでサポート医になった(させられた)だけで、認知症患者の世話などとんでもない、サポート医ではなく、周知啓蒙医であって、認知症は専門ではなく認知症患者を押しつけられる?のは御免被るなどと言う。気持ちはよく分かる、有り体に言えば認知症の患者さんは手が掛かり、周囲を困らせている患者さんを送り込まれても面倒見きれないということなのだ。

 サポートは名ばかりで、認知症を周知啓蒙するだけの医師なら、実臨床の助けにはならない。認知症の存在や問題点はマスコミ、ミニコミですでにかなり周知されている。形だけの体制作りが先行している感じを受けてしまう。勿論、無意味ではなく底上げや、意識改革にはそれなりの効果はあると思うが、自主的に率先してサポート医になろうとする医師が殆どいないため、認知症を専門としない医師会役員を機械的?にサポート医にしてしまったのでにこういうことになっている。受ける医師会側にこれでは有名無実になると行政に苦言抵抗する姿勢が少ないのも問題と思う。苦言抵抗するとあいつは五月蠅い奴だと言われる。世の中は難しい。

コメント
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