5月下旬、超奇跡的に!チケットが取れて、SL銀河に乗って来ました
昨年夏も苦労してチケット取ったのにコロナに感染し、せっかくの夏期休暇が療養で終わってしまったので
超遅い(早い?)夏休み。
あっという間の4時間、沿道は写真撮影&手を振る人達でいっぱいでした。遠野で1時間停車したのでお昼は駅の外で。釜石滞在時間は40分ほどで、お土産買ってすぐ帰りの電車に乗りました
普段は電車に乗ると読書かスマホなので、こんなにのんびり純粋に電車の旅を楽しんだのは初めてかも…。お陰様で新作のイメージも沸き上がってきました。
俄かに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたような、きらびやかな銀河の河床の上を水は声もなくかたちもなく流れ、その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射した一つの島が見えるのでした。その島の平らないただきに、立派な眼もさめるような、白い十字架がたって、それはもう凍った北極の雲で鋳たといったらいいか、すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久に立っているのでした。(『銀河鉄道の夜』七 北十字とプリオシン海岸)
「ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青や橙やもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立ってかがやきその上には青白い雲がまるい環になって后光のようにかかっているのでした。」(『銀河鉄道の夜』九 ジョバンニの切符)
SLに乗る前から着手していた北十字(Northern Cross)と南十字(Southern Cross)、完成。今回改めて「銀河鉄道の夜」を読み直した際に、北と南で登場する十字架の描写が違うことに気付き、両方作ってみました。絵付けは後光の部分のみ。北十字の黄色いガラスは焼くと色がオレンジっぽい色から鮮やかなレモンイエローに変わります。
ステンドグラスのデザインを考える時は、何百年も前の無名の職人たちが作った作品に学ぶことが多いです。今回も後光がどのように描かれているか色んな写真を見返しましたが、基本量産品な中でも星を描いたり花模様を描いたり、中には10人位の聖人達がみんな違った後光を背負っていたり、職人さんの遊び心が見て取れる部分だなぁと…。
背景の青いガラスは宇宙空間を表現するのにぴったりで、銀河鉄道の夜で大活躍だったんですが、沢山あったのについに細切れだけに…今後これらをどう使っていくか考えなければ。十字架の白いガラスは、よく見ると北と南で違うものを使っています。南十字には玉虫色に輝くガラスを使い、「ありとあらゆる光でちりばめられた」様子を表現してみました。
4月から、白鳥の停車場さんでミニパネルの展示をしています。5月末からはこの北十字と南十字を飾っています。今後、月に1、2枚ペースで新作を出していけたらと考えています。