Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

レント2021

2021-03-01 12:50:07 | 教会関係
今年のレント(受難節)は2月17日から。昨年のこの時期は何をしていたのかと過去のブログを見返したら、新型コロナウイルスの影響により教会でも様々な集会が中止になり始め、アルコール消毒やマスクの着用といった「新しい生活様式」が求められるようになってきた時期でした。2020年に計画していた受難劇の件もキャンセルになりがっくり…毎年開催されていたGWのハンドメイドイベントも今年は既に中止が決まっています。まさか1年経った今でもこのような状況が続いているとは夢にも思いませんでした

教会の方では現在も、日曜の礼拝と水曜日の祈祷会のみを開催、それ以外の集会は全てストップしています。礼拝中の賛美歌も最初と最後の節だけにし、交読詩編は司式者が全て朗読、聖餐式は中止、という形式が続いています。ただ、今年は東日本大震災、原発事故から10年という年でもあり、3月7日は動画配信で震災を覚えての礼拝を守る予定です。また、昨年はイースター前の洗足木曜日、受難日の礼拝共に中止でしたが、今年は感染対策を取りながら開催予定でいます。

 

今年のレントの様子です。今年もレントの期間、ロウソクを毎週1本ずつ消していく消火礼拝を行なっています。新たな試みとして、悔い改めの印である「灰」を用意してみました(フライパンで紙を燃やして作りました)。カトリック教会では前の年に使った棕櫚の枝を燃やした灰で額に十字を書くという儀式をするのですが、カトリックの方に聞いた話では今年はコロナ感染防止のためパラパラと頭に灰を振りかける形式だったとのことでした。うちでは灰を皆さんにお見せして、その意味を説明するに留まりました。それと、今年はまだイースターガーデンを作れていないのですが、あと5週あるのでその間には

主の十字架に想いを馳せるこの時期、災害やコロナウイルスにより困難の中、大きな痛みの中にある方々の上に主のお支えがありますように祈ります。

2月に作ったミニパネルまとめ

2021-03-01 11:56:16 | パネル
順番は前後しますが、「銀河鉄道の夜」この2月は3枚のミニパネルを作りました。

「鳥を捕る人」

 

「こっちはすぐ喰べられます。どうです、少しおあがりなさい。」鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。「どうです。すこしたべてごらんなさい。」鳥捕りは、それを二つにちぎってわたしました。
(『銀河鉄道の夜』八 鳥を捕る人)

子供の頃に何度も見た、ますむらひろしの『銀河鉄道の夜』のアニメ。あの中で何故か子供心によく覚えているのが、二人が怪しげなおじさんから鳥の足(お菓子?)をもらう、この場面でした。鳥の足だけ、黄色のエマイユを焼き付けています。

「ほんとうのさいわい」

 

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
(『銀河鉄道の夜』九 ジョバンニの切符)

以前使った青と紫の混じった凸凹のガラスの、紫の部分を背景に使いました。このガラスは素直に切るのが難しいのでひたすらルーターで削る、削る…勿体ないけどその方が確実かも左上の青いガラスに、さそり座をペンルーターで彫っています。

「活版所」

 

「ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函をとりだして向うの電灯のたくさんついた、たてかけてある壁の隅の所へしゃがみ込むと小さなピンセットでまるで粟粒ぐらいの活字を次から次と拾いはじめました。(中略)ジョバンニは何べんも眼を拭いながら活字をだんだんひろいました。」
(『銀河鉄道の夜』ニ 活版所)

今まではティファニー風に人物だけ絵付けをして背景はガラスのテクスチャーで表現してきましたが、この作品は全てのガラスに絵付けをしています。ラトゥールのように周辺は暗く、ロウソクの炎の中で人物が浮かび上がるようなイメージです。背景の文字の滲みは油絵のオイルで描いたら偶然生じたものでしたが、この方がジョバンニの眼が霞んでいるという記述に合っていると思い、そのまま焼きました。

「銀河鉄道の夜」シリーズ、あと4、5枚作れたらいいなと思っています。