Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

家路

2024-07-10 17:59:43 | パネル
ジョバンニはおじぎをすると扉をあけてさっきの計算台のところに来ました。するとさっきの白服を着た人がやっぱりだまって小さな銀貨を一つジョバンニに渡しました。ジョバンニは俄かに顔いろがよくなって威勢よくおじぎをすると台の下に置いた鞄をもっておもてへ飛びだしました。それから元気よく口笛を吹きながらパン屋へ寄ってパンの塊を一つと角砂糖を一袋買いますと一目散に走りだしました。(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)



仕事終わりにパンと角砂糖を買って家路に着くジョバンニ君。銀貨を貰って嬉しかったのか、鞄を忘れちゃったようです(笑)

San Jovannni Battista

2024-07-10 17:48:08 | パネル
神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。
(ヨハネによる福音書 1章6節)



San Jovanni Battista、洗礼者ヨハネ。ケンタウル祭が近いのでジョバンニつながりでヨハネのパネルを作りました。洗礼者ヨハネはその誕生日である6月24日が祝日とされています。この時期は夏至とも重なることから、ヨーロッパ各地で行われていた夏至祭が、キリスト教受容後に重ね合わせられるようになったそうです。



↑イタリアに古くから伝わる「ヨハネの聖水」。今年初めてその存在を知り、とりあえず庭にあるバラやハーブ類で作ってみました。ジャパニーズハーブのドクダミも入れてみた(笑)来年はカモミールや黄色いお花があると嬉しいな~。



↑後日、生け花ともコラボ。水辺のイメージを大切に、庭のアナベルと近所から頂いた紫陽花で花手水っぽいものを作ってみました。水盤は最初ブルーを使おうと思いましたが、これまた素敵な赤紫もあってこちらも捨てがたく、両方使ってしまいました。最近じめじめ蒸し暑い日が続いているので、これで涼を感じて頂ければ嬉しいです

聖霊降臨の日

2024-06-28 12:29:17 | パネル
五旬祭の日が来て、皆が同じ場所に集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から起こり、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、他国の言葉で話しだした。(新約聖書 使徒言行録2章1−4節)



フランスでステンドグラスを学んでいた頃、課題の一つになっていた「聖霊降臨の日」。オリジナルは19世紀のものでフランスのどこかの教会に入っているのですが、残念ながら私は実物を見ていなくて、どこの教会かもわかりません。いずれ判明したら…キリスト教の三大祝祭日の一つである聖霊降臨日(ペンテコステ)、イエス・キリストが復活して昇天された後、残された弟子たちの上に聖霊が降った出来事を描いたものです。他の生徒さん方が取り組んでいるのを見て、自分も作ってみたいと思い制作を始めました。本当はもっと大勢の全身像が描かれているのですが、一部分だけ取り出して模写しました。

正直な所模写や写実絵は得意ではないので、この作品はステンドグラスの先生にご指導を仰ぎながら作ろうと思っていたのですが、最初の調子付けが終わったあたりで先生が亡くなられてしまいました。その後は心細い思いを抱えつつも、一人で制作を続けました。普段の小さな作品と同時進行で少しずつ進めていたので何年もかかってしまいましたが、やっと完成です。



今年の聖霊降臨日はこの作品を飾ってお祝いすることができました



↑聖霊の炎。神秘的な写真が撮れました。



賢治さんゆかりのバラ、グルス・アン・テプリッツも、聖霊降臨日に合わせるように咲いてくれました

ざしき童子のはなし

2024-06-28 12:09:50 | パネル
また、北上川の朗妙寺の淵の渡し守が、ある日わたしに言いました。
「旧暦八月十七日の晩、おらは酒のんで早く寝た。おおい、おおいと向うで呼んだ。起きて小屋から出てみたら、お月さまはちょうどそらのてっぺんだ。おらは急いで舟だして、向こうの岸に行ってみたらば、紋付を着て刀をさし、袴をはいたきれいな子供だ。たった一人で、白緒のぞうりもはいていた。渡るかと言いったら、たのむと言った。子どもは乗った。舟がまん中ごろに来たとき、おらは見ないふりしてよく子供を見た。きちんと膝に手を置いて、そらを見ながらすわっていた。」
(宮沢賢治「ざしき童子のはなし」)



長くいた家を出ていくざしきぼっこ。ステンドグラスにする都合で髪型を変えたけど、市松人形の男の子をモデルにしました。写真だと見えないけど、着物には花菱模様を彫ってあります。



端午の節句を少し過ぎてしまったけど、頂き物のアヤメと庭のつつじを一緒に活けてみました。花代0円自画自賛だけどつつじで剣山が上手いこと隠れて、上から見ても面白い作品になったかも…。

          

たしかにどこかで、ざわっざわっと箒の音がきこえたのです。
も一どこっそり、ざしきをのぞいてみましたが、どのざしきにもたれもいず、ただお日さまの光ばかりそこらいちめん、あかるく降っておりました。
こんなのがざしき童子です。
(宮沢賢治「ざしき童子のはなし」)





その後、女の子も完成。今回は賢治さんの文章に忠実に、ほうきを持ったバージョン。姪っ子にほうきを持ってもらって原画を描きました。2月に作った女の子とは背景のガラスを変えました。そして、今回は着物に鹿の子模様を彫っています。前回に引き続き手が攣りそうだったけどすごく頑張りました…。着物の赤いガラスはもうあまりなくて、ギリギリでどうにか取れました。

写真だと見えないし、実物もよくよく目を凝らして見ないとわからないのですが、実は髪の細い部分が割れてしまいましたしかし、無理に取り出そうとすると収拾がつかなくなりそうなので、まぁいいか…と。あまりに細すぎるピースや極端なエグレのあるピースは、たとえガラスカットに成功しても結局そこから破損することが多いというのを実感しました。でも多分、また作ると思います。おかっぱのざしきぼっこちゃん。そしてこの子にも合うお花を考えたいと思います。

サンタ・マリア(「オツベルと象」より)

2024-05-11 19:31:44 | パネル
その晩、象は象小屋で、七把の藁をたべながら、空の五日の月を見て「ああ、つかれたな、うれしいな、サンタマリア」と斯う言った。
                                                       (宮沢賢治「オツベルと象」)



象が見上げていた月とマリア様をイメージした吊り下げパネル。ボーダーは色んな黄色系のガラスを集めました。よく見たら、お腹にベルトを付けるつもりだったのに忘れてた~またいずれ