2024年明けましておめでとうございます。
在宅時はなるべく制作をしたいと思っていて、元旦も絵付けをしていました。その日の作業が終わってほっと一息ついていたらテレビが地震情報一色に…。元旦からの大災害に驚き、また心を痛めております。どうか被災された方々に必要な助けが速やかに行き渡り、皆様の安全が守られますようお祈りしております。
むかし、あるところに一疋の竜がすんでいました。力が非常に強く、かたちも大層恐ろしく、それにはげしい毒をもっていましたので、あらゆるいきものがこの竜に遭えば、弱いものは目に見ただけで気を失って倒れ、強いものでもその毒気にあたってまもなく死んでしまうほどでした。この竜はあるとき、よいこころを起こして、これからはもう悪いことをしない、すべてのものをなやまさないと誓いました。(宮沢賢治 「手紙一」)
「よいこころを起こした竜」。昨年末に作って元旦に公開しました。角と髭は銅線で後付け。鱗が大変でした。何せ数えたら108枚、煩悩の数だけ頑張った!
昨年干支のミニフレームを手掛けた際、宮沢賢治の作品に「竜のはなし」というのがあると教えて頂き、早速全集で探したのですが見当たらず…調べたところ、「手紙一」というタイトルで収録されている話だとわかりました。戸田幸四郎・画「竜のはなし」(戸田デザイン研究室、初版1983年12月1日)は、「手紙一」が絵本化された唯一の作品とのことです。こちらの絵本は残念ながら私はまだ手に取れていませんが、一から四まである手紙の中で、四は大学時代、宮沢賢治の作品を読む授業で読んだ記憶がありました。唯一手元に残していた大学時代のレジュメを改めて見返してみたら…やっぱり読んでいた
まだ物語になる一歩手前といった感じのこの手紙が後の「銀河鉄道の夜」につながっていく、ということで引用されていたのだと思います。手紙一の周辺に何もメモッた形跡がないのは、多分寝てたからかも…
世のあらゆる生き物を凌駕する力を持ちながらそれを振るうことなく、皮も肉も他者に与えて命を落としてしまう竜の姿は、イエス・キリストに重なるようだと、今年の元旦礼拝の説教を聞きながら改めて思わされました。
クリスチャンなので干支はずっとスルーしてきたのですが(キリスト教では竜、蛇の扱いが酷い?退治されたりサタン扱いされたり…
)、こういうこともあってご縁を感じ、昨年元旦にうさぎの作品を公開したこともあって今年も干支モチーフにチャレンジしてみました。今までの私にない作品ができたと思います。全部揃うのにあと10年かぁ…。
新しい年も良い作品が出来るように励みたいと思います。Blogも月一を目安に更新できたらと思います。今年もAtelier Grace♰をどうぞよろしくお願いいたします。