Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

「橋」

2021-04-28 14:54:22 | パネル
ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思いました。そしていきなり近くの人たちへ、「何かあったんですか。」と叫ぶようにききました。「こどもが水へ落ちたんですよ。」(中略)

ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。(『銀河鉄道の夜』九 ジョバンニの切符)

 

『銀河鉄道の夜』ラストシーン「橋」。背景の青と黄色の混ざったガラスは、今回新たに購入しました。橋の上に川に落ちたカムパネルラを探す人々の明かりが沢山浮かんでいる様子をイメージしました。牛乳瓶を手に、銀河のはずれにいるカンパネルラを想うジョバンニ。米津玄師の「カンパネルラ」も思い浮かべつつ作りました。








Joyeuses Pâques!2021

2021-04-05 16:00:16 | 教会関係
2021 イースターおめでとうございます!岩手にもやっと春が巡ってきました

  

今年も寄せ植え作りましたイースターガーデンのほうはちょっと地味目になっちゃった…やっぱり黄色系は必須ですねイースター当日は雨予報だったので、写真は前日のうちに撮影しておきました

 

ステンドグラスもイースター仕様に。イースターのキャンドルホルダーと、典礼色(白)のミニチュアチャーチ、バラのオーナメント

 

大仕事を終えて岩手へ戻ったら色々咲いていてびっくりしました。クリスマスローズもいっぱい出てきてます。でも時期的には最早イースターローズ桜ももうすぐ咲きそうです



今年も残念ながら愛餐会はナシ、茹で卵の配布もナシ代わりに食べられない卵、エッグポマンダーを作りました。卵の殻に目打ちで穴を開けて中身を出して洗浄、乾燥。ラベンダーを入れ、穴をレースで塞いで、ピンキングばさみで切った布をひたすら貼り付けていくだけ。簡単なのでCSの工作にも良いかも(ただし、布を貼り付けるだけでも結構時間はかかる



そして、イースターエッグの代わりに何故か愛知でもらったしるこサンドを配る私…(笑)

今年度もなかなか先の見えない1年になりそうですが、主のご復活の喜びが、皆様と共にありますように。皆様の新年度の歩みの上に主の祝福をお祈りいたします

残りガラスでキャンドルホルダー

2021-04-05 15:26:15 | コパー作品
幼稚園のパネルを作った残りのガラスを使って、パネルと同じモチーフのキャンドルホルダーを作りました。

        

暗がりでキャンドルを灯すとこんな感じ。

       

同じものを3つ作って、1つは今回の依頼者さんにプレゼントしました。同じモチーフ、ガラスを自然光とキャンドル、両方で楽しんで頂けたら幸いです

豊橋・ステンドグラス取り付け

2021-04-05 11:11:14 | 教会巡り
受難週の最中でしたが3月29日、我が家の車にステンドグラス4枚を積んで、豊橋へ向かいました。長距離運転は大変ですが60×60cm×4枚を一人で持って公共交通機関で移動するのは難しいことと(飛行機だと手荷物で持ち込めないかと)、新型コロナの心配もあったため、エアキャップとベニヤ板でパネルをしっかり梱包し、万が一急ブレーキを踏んでも倒れないよう大量の座布団で固定して…この1年、実に私も連れ合いも岩手県を一歩も出なかったので(!)久々の遠出でした🚗💨

コロナについては緊急事態宣言が解除されたとはいえまだまだ予断を許さない状況なので、道中の飲み物やおやつも花巻で予め買っておいてSAはトイレのみ使用、食事は車内で、宿でも2食付きにして外食しないようにし、アルコールを見かけたら即消毒!!途中で寄りたい場所、会いたい人も沢山でしたが、今回は全て我慢我慢…ほぼ車の窓から春の景色を楽しむだけの旅になりました。全国的に感染者数が増えているにも関わらず、人の移動の多い時期だからかSAはどこも混んでいて怖かったですが…

 

初めての首都高運転も無事守られ、1日目は御殿場のYMCA東山荘に宿泊。2日目のお昼前、取付先の幼稚園へ到着しました。花巻から豊橋まで破損せずに運べるか心配でしたが、着いてみたら全部無事でした

 

設置場所は2階へ上がる階段の踊り場部分。今までは手の届くくらいか、せいぜい梯子で何とかなるくらいの場所ばかりで、高所作業車を使っての取り付けは今回初!サイズが合うかどうか、ちゃんと窓にはまるかどうか(万一はまらなかった場合、その場で微調整をしなくてはならないので)心配でしたが、4枚とも無事に窓に入ってホッとしました取り付けをご自分でされる作家さんもいますが、私はいつも業者さんにお任せで立ち合いのみしています。今回も見守るだけではありましたが、ジャンルは違えど職人さんが手を動かして何かが出来上がっていくのを見るのはとてもわくわくします

   

 

無事に取り付け作業が終了!外側と内側から強化ガラスが入っているので安心です。

天候や季節、時間帯によってガラスの色合いが変化していくところ、また、外の木々などの風景も映り込んで作品の一部になることがステンドグラスの面白さだと思います。窓へ取り付けるパネルの依頼は年に1度あるかないか位ですが、まさに「神の見えざる手」と言うべきものなのか、毎回毎回作り手の意図や予想を超えることが必ず起こります。勿論「もっとこうすれば良かった」ということは沢山あるのですが、それを補って余りある力が働くのを毎回必ず感じます。だから面白くてまた作り続けられるのかもしれません。

お仕事以外はなるべく人と会わないように、寄り道しないように気をつけていましたが、業者さんの昼休憩中に、国重要文化財の豊橋ハリストス正教会を見に行きました…が、まさかの修復工事中どんな建物なのかまっっっったく見えなかった〜。次回のお楽しみにします

2日目も御殿場の東山荘にお世話になりました。朝食後、周辺をお散歩。目の前にどーんと富士山が!敷地内に「黙想館」という小さなチャペルがあり、思いがけず教会巡り

  

   

私は東山荘2回目だったのですが、黙想館へは初めて入りました。連れ合いは5回くらい来ているのに初めてだったらしい。ごくごく小さい建物だけどリードオルガンもあり、窓にはダルが入ってる!しかも正面に十字架と富士山!一目で気に入ってしまいました…こういう小っちゃいチャペル作るとか、いつか携わってみたいなぁ

 

東山湖。ここからの富士山の眺めも◎。岩手を出てきた時はまだ桜は咲いていなかったのですがこちらは満開。大仕事を終えた実感がじわじわ湧いてきました

そしてまた岩手までひたすら移動、移動…色々と心配の多い旅ではありましたが、体調を崩すこともなく無事に帰宅することができました。打ち合わせから取り付けまで、本当に楽しいお仕事をさせて頂いてありがとうございました!感謝! 


豊橋・幼稚園のステンドグラス

2021-04-04 18:58:49 | パネル
全て終わったら書こうと思ってずっとブログには書いていませんでしたが、昨年6月より豊橋市のキリスト教幼稚園からステンドグラスの依頼を受け、制作をしていました。60×60cmのパネルが4枚、モチーフは「鳩と虹」「ぶどう」「野の花」「迷子の羊」とのことで、12月上旬には4枚とも完成して1月中旬に取り付け予定だったのですが、愛知県にも緊急事態宣言が出たために3月に延期になっていました。

今回の記事では、それぞれのパネルにどんな思いを込めて制作したかを書きたいと思います。



「鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。」創世記8:11

「すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。」9:13

旧約聖書の「創世記」に、有名なノアの洪水の話が出てきます。洪水が引いた時ノアが舟から鳩を放したら、オリーブの葉をくわえて戻ってきたのを見て、人々は洪水が終わったことを知りました。また、この後神様は、もう二度と洪水によって地を滅ぼすことはしないと言われ、契約のしるしとして、雲の中に虹を置かれました。そのため、鳩と虹はどちらも平和のシンボルとして、教会でよく用いられています。このパネルでは鳩の部分のみ絵付けをして、くちばしの部分に別に作ったオリーブの葉をハンダでくっつけています。また、鳩の足も捩じった銅線で作り、後付けしています

 

「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。」ヨハネによる福音書15:5

ぶどうはイスラエルの人々にとってとても身近な果実だったようで、聖書に沢山の記述が出てきます。教会においても非常によく用いられるモチーフで、私も何度も作っています。イエス様ご自身が仰った「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。」というメッセージが子どもたちに伝わればと願って作りました。また、今回依頼されたモチーフに「十字架」はなかったのですが、背景の分割の仕方を工夫し、ガラスの種類を変えることによって、ぶどうの背後に十字架が浮かび上がるようにしてみました(実は使おうと思っていたガラスが若干足りなかったんですがそれを逆手に取り、十字架の部分を違うガラスにしたらそれが予想以上の効果を生んだという)。また、ぶどうの蔓は真鍮で後付けしてあります。ちなみに取り付け工事の際「真ん中の大きいぶどうがイエス様で、両隣の小さいのが二人の強盗?」と聞かれましたが、実はそこまでは考えていなかった…確かに、言われてみればそんな見方もできますね。

 

「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」マタイによる福音書6:28-30

「野の花」ことで依頼されたのですが、聖書で「野の花」というと「アネモネ」を指すという説があります。まだ行ったことはないのですが、イエス様が野の花の例え話をされたガリラヤの丘をイメージしました。アネモネは季節柄実物が手に入らず、写真を頼りに描きました。今回のステンドグラスは大きさもあり、高い場所に取り付けるものだということで、結構大胆に絵付けをしてみました。花の中央はサンドブラストでガラスの赤色を抜いてありますが、うちにはサンドブラストの機械がないので恩師に依頼しました。聖地のこんな春の風景をいつか見てみたいと思っています。



「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。そして、見つけたら、喜んでその羊を担いで、家に帰り、友達や近所の人々を呼び集めて、『見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください』と言うであろう。」ルカによる福音書15:4-6

私の所属教会で一昨年洗礼を受けられた若い方は、キリスト教学校の聖書の授業でこの箇所に出会って受洗を決意されたと言っていました。どのパネルも全力を注いで制作したつもりですが、実は私が一番強い思い入れを持って作ったのがこの「迷子の羊」でした。讃美歌21-200「小さい羊が」やコリン・ギブソンの「強いとき認められて」といった賛美歌を思い出しながら作っていました。羊のお尻と羊飼いの服にはわざと汚しを入れ、どこかで転んできた感、夕暮れになるまで泥だらけになって探した感を出しました。このパネルは一番下の窓で丁度人の目線の高さで見ることができるので、子どもたちの目に留まりやすいのではないかと思います。現代社会においては「1匹くらい仕方ない、99匹を守る方が大事」になりやすいものだと思いますが、その1匹の存在を決して切り捨てない神様が、いつも共にいてくださるというメッセージが子どもたちに伝われば良いなと願っています。

3月29日、この4枚のパネルを車に積んで、豊橋市まで搬入に出かけました。その模様はまた次回お伝えします