Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

10月お花

2024-10-24 10:32:07 | お花
急に声がどこか別の世界に行ったらしく聞こえなくなってしまいました。そしていつか十力の金剛石は丘いっぱいに下っておりました。そのすべての花も葉も茎も今はみなめざめるばかり立派に変わっていました。青いそらからかすかなかすかな楽のひびき、光の波、かんばしく清いかおり、すきとおった風のほめことばが丘いちめんにふりそそぎました。
(宮沢賢治「十力の金剛石」)



今回のお花は剣山なしで水盤に生けるのに初挑戦!ノイバラ3本を絡ませて安定させ、間にりんどうとカスミソウを挿しました。予想はしていたけどやっぱり難しい。2箇所だけこっそりワイヤーの力も借りました
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9月のお花

2024-10-16 17:19:28 | お花
さわやかな九月一日の朝でした。青ぞらで風がどうと鳴り、日光は運動場いっぱいでした。黒い雪袴をはいた二人の一年生の子がどてをまわって運動場にはいって来て、まだほかにだれも来ていないのを見て、「ほう、おら一等だぞ。一等だぞ。」とかわるがわる叫びながら大よろこびで門をはいって来たのでしたが、ちょっと教室の中を見ますと、二人ともまるでびっくりして棒立ちになり、それから顔を見合わせてぶるぶるふるえましたが、ひとりはとうとう泣き出してしまいました。というわけは、そのしんとした朝の教室のなかにどこから来たのか、まるで顔も知らないおかしな赤い髪の子供がひとり、いちばん前の机にちゃんとすわっていたのです。そしてその机といったらまったくこの泣いた子の自分の机だったのです。(宮沢賢治「風の又三郎」)



今年からお花の先生に勧められて、ステンドグラスといけばなのコラボをしています。おかげで、以前よりも何をどう活けようか、より積極的に自分のやってみたいことを模索できるようになりました。それだけでなく、道を歩いていても今はどんなお花が咲いているのか目に入るようになり、歩く楽しみが増えました。

又三郎君が転校してきた翌日にあたる9月2日、ちょうど庭に咲いていた(秋海棠と水引、何もしなくとも毎年必ず出てくる強い人達!)お花を中心に生けてみました。菊みたいなエゾアスターだけは産直です(何と、青虫さんが2匹も潜んでいた〜!

「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」カムパネルラが、窓の外を指さして云いました。
 線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていました。
「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗ってみせようか。」ジョバンニは胸を躍らせて云いました。
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから。」
(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)



線路や列車を連想させるようなお花器に、「銀河鉄道の夜」に登場するすすきとりんどうを生けました。お花器と天の川がうまい具合につながった!今回は足元を葉っぱで隠さずにあえて見せています。すすきがもう少し長くても良かったかも…。

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蠍の火(お花)

2024-08-26 19:05:17 | お花
どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸いのために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん仰ったわ。ほんとうにあの火それだわ。
(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)



ステンドグラスとお花、今回は「蠍の火」。時期的にお花屋さんではお盆の花が多かったのですが、これも夏から秋へ移りゆく季節を感じるので悪くないかも。左側は敢えて大きく空けて空間を残しています。
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貝の火(ステンドグラスとお花)

2024-06-28 11:55:01 | お花
子兎のホモイは、悦んでぴんぴん踊りながら申しました。
「ふん、いいにおいだなあ。うまいぞ、うまいぞ、鈴蘭なんかまるでパリパリだ」
風が来たので鈴蘭は、葉や花を互いにぶっつけて、しゃりんしゃりんと鳴りました。
                (宮沢賢治「貝の火」)



昨年の正月頃干支にの兎に合わせて作った、宮沢賢治の「貝の火」をイメージしたステンドグラス。作中に登場するスズランが5月の初めに咲いたので、ステンドグラスの兎と一緒にしてみました。スズランは丈が低いのでなかなか生け花の花材として使われることはないかもしれませんが、いっぱい集めてマッス(塊)にしてみました。もうドライフラワーになってしまった兎のしっぽも一緒に。庭のワイルドストロベリーも白い花を咲かせていたので、百合などと一緒に活けてみました。

…ところで、「貝の火」には、兎たちがスズランの実を食料にしている描写があります。スズランは有毒らしいけど大丈夫⁉
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水仙月の四日(お花)

2024-05-11 19:36:31 | お花
しばらく年に一度だけになっていたお花ですが、今年から定期的に活ける機会を与えられ感謝です。今年は暖かい日が多く、この日も外を歩くと汗ばむ程の陽気だったのですが、ちょっと冬に逆戻りして宮沢賢治「水仙月の四日」をイメージしたお花を。



「もういゝよ。」雪童子は子供の赤い毛布のはじが、ちらつと雪から出たのをみて叫びました。
「お父さんが来たよ。もう眼をおさまし。」雪わらすはうしろの丘にかけあがつて一本の雪けむりをたてながら叫びました。子どもはちらつとうごいたやうでした。
                                                               (宮沢賢治「水仙月の四日」)

水仙とユキヤナギは教会員さんから頂きました。赤のラナンキュラスは、物語に登場する子供の、赤い毛布(けっと)のイメージです。
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