Vers la lumière 光ある方へ・・・

AtelierGrace発、ステンドグラスと教会のブログ。

ニース&ロザリオ礼拝堂('09年7月)

2020-07-25 15:48:26 | フランス
久々の「私が見てきたステンドグラス」、今回はニースのシャガール美術館とヴァンスのロザリオ礼拝堂をご紹介します。HPの国内編はずっと工事中のまま…いつ完結するのかわかりませんがどうか気長にお待ちください

'09年7月10~14日、友人2名と共に南仏へ。フランスでどの地方が好きかと問われたら私は即南仏と答えていますが、ちょうどラベンダーの咲き誇る時期でとても印象深い旅でした。13日、午前中ニースのマティス美術館とシャガール美術館を見て、午後はロザリオ礼拝堂を見に行きました。

気合を入れて朝早くマティス美術館目指して歩いて行ったらまだ開館時間前だったので近くのシミエ・フランシスコ会修道院を見に行きました。

 

教会には墓地が隣接しています。立派なお墓が多い!

   
 
 

何と、ステンド入りのお墓!!フランスで初めて見たときはびっくりしたのですが、最近は日本でもお墓にステンドって増えてきてますよね。現に私もお仕事で作ったことありますし…。そしてこの時は知らなかったのですが、マティスのお墓もこの近くにあったようです。見逃しちゃった…。

 

その後マティス美術館を見て、シャガール美術館へ。旧約聖書を題材にした絵を中心に展示されています。美術館って大抵薄暗くて混雑するイメージがあって日本ではあまり好きではなかったのですが、ここは光が燦燦と降り注ぎ開放感れる場所でとても気に入りました。



ちなみに、シャガール美術館へは2013年に新婚旅行で再訪することができました。画像はその時と変わらないのでこちらからどうぞ。ご覧ください。

新婚旅行記②ニース

お昼ごはんの後、ニースの長距離バスターミナルからバスに乗り、ロザリオ礼拝堂のある「ヴァンス」という村へ向かいます。バスに乗ってる間にだんだん雲行きが怪しくなって来ましたが、バスを降りて歩くこと15分。礼拝堂到着です。

記憶が定かではないのですがロザリオ礼拝堂は多分テレビで見てその存在を知ったように思います。南国の青空と緑の中に佇むその白い会堂は、今まで自分が抱いてきた「華麗なステンドグラスの入ったゴシックの大聖堂」という教会に対するイメージを真っ向から覆すものでした。名前も場所もわからないけれどいつかこの小さな教会を訪れてみたい・・・!!!その時からそんな思いをずっと心の片隅に抱き続けて来ました。

 

入り口のかわいらしい魚と星のステンドグラスに迎えられ階段を降りて行くと・・・時折人の足音と息遣いだけが聞こえる静謐な空間。装飾的な要素が極力排除され白で統一された会堂、床には青やレモンイエローの光が零れ、壁には力強い黒の素描・・・華やかなゴシックの大聖堂とはまた対極的な、そぎ落とされ、選び抜かれた美しさを感じました。天気が曇り空だったことが少し残念でしたが、特にマティスが選び抜いたブルー、グリーン、レモンイエローの3色のガラスを用いたステンドグラスは、見ているとまるで海の中を漂っているような安らぎを感じました。残念ながら写真撮影禁止だったので、ステンドグラス紹介と言いながらお見せできないのがもどかしいですが、できればいつかもう一度、夏のプロヴァンスを訪れてこの空間に立ちたいものだなぁと思います。

マティスはこの礼拝堂について、こんな言葉を残しています。「陽気さのあふれた教会。人々を幸せにする空間」

まだ勉学の真っ最中ではありましたが、ロザリオ礼拝堂のステンドグラスの前で、自分もあわよくばマティスの言うような、「人々を幸せにする空間」を作る人間になりたいと思ったのを覚えています。それから10年が経ち、その理想通りになっているかと聞かれれば未だ心もとないものがありますが、それでも自分がかつてお仕事をさせていただいた先の方が、ステンドグラスがご自宅にやって来たことで心慰められ、癒されているというお話をして下さることがあり、それが救いと同時に制作を続けるエネルギーになっています。たとえ完全ではなくとも、全ての人を満足させることはできなくとも、生涯をかけて自分ができる限りのことを追い求めていくだけだろうなと、今は思っています。

 

   

その後またバスでニースに戻って、海で1時間半ほど自由行動。丸い石ばかりだったので裸足で歩いてもそんなに痛くはなかったです。日本海側で育った私にとっての海は荒くて冷たいイメージが大きいのですが、南国ニースの海はすごく穏やかで暖かく、優しい感じがしました。砂浜ですりガラスもいっぱい拾いました。やっぱフランスだからなのか、ワインの瓶らしき緑のガラスが多かったです。日本のビール瓶のような茶色いガラスは全然ありませんでした。やっぱり所変われば・・・なんですね、こんなのも。

この翌日、香水産業で有名な「グラース」という街へ行き、夜行でアトリエへ戻りました。 次回はロンシャン礼拝堂をご紹介したいと思います

「銀河鉄道の夜」ミニパネル

2020-07-21 22:02:52 | パネル
6月から、「銀河鉄道の夜」のミニパネルの制作を始めました。18㎝×18cmの小さな作品です。思いついた順に作っているので実際の物語と順序がバラバラで、何枚できるのか、いつ完結するのかわかりませんが、将来まとめてどこかで展示できるようにしたいと考えています。

「銀河鉄道の夜」をテーマにした作品作りのために物語自体は何度も読んでいて、作品の構想自体はぼんやりと2、3年前からありました。ただ、自分の中でカンパネルラのイメージが割と早くに思い浮かんでいたのに対して、ジョバンニのイメージがなかなか固まらず、ずっとそのままになっていました。私の中でジョバンニのイメージが明確になり、最近作っていたキャンドルホルダーがある程度完結した辺りで以前描いていた絵を引っ張り出し、再度「銀河鉄道の夜」に向き合うことにしました。

そしてなかなか「銀河鉄道の夜」をテーマにできなかった理由として、あまりに有名作品すぎて、既に多くの方が絵にしているがために逆にオリジナルのイメージが浮かびづらかった…ということもあります。ちなみに私の中で銀河鉄道と言うと、ますむらひろしさんの猫のイメージが強烈にあります。子供の頃家にアニメのビデオがあって、何百回(!)見たことか…子供だったので断片的にしか覚えてはいないのですが、ジョバンニが帰宅した際に、お母さんが声だけして姿が全く見えなかったり、牛乳屋さんへ行くシーンが子供心に怖かった記憶があります。最近改めてDVDを見直して色々納得

まずは、先にイメージの固まっていたカンパネルラから作り始めました。ジョバンニが汽車の中で、カンパネルラに会うシーンです。



「すぐ前の席に、ぬれたように真っ黒な上着を着た、せいの高い子供が、窓から頭を出して外を見ているのに気が付きました。」



「みんなはねずいぶん走ったけれども遅れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追いつかなかった。」



↑この2枚が、6月に出来上がったもの。初めての試みですが、ティファニー作品のように人物にのみ絵付けを施し、背景はガラスのテクスチャーで表現することにしました。7年ほど前、ステンドグラスをしていた方の遺品整理でガラスを沢山頂いたのですが、自分が普段使うものとは違ったタイプのガラスが多くてなかなか使う機会がなかったのですが、今回それらが一気に日の目を見ることになりました。まず、青と緑の混じった分厚いガラスが宇宙空間として大活躍。黒に見えるガラスは実は茶色です。思ったよりも強い色のガラスでしたが、逆に夜の車内の雰囲気が出て良かったかも。

前後しますが、次に作ったのは物語冒頭部分の「午後の授業」。ジョバンニの髪は茶色いアンティークガラスで適当なものがないので、帽子と同じオレンジのガラスの裏からトンシェールという茶色い顔料を入れてみたんですが、予想以上にオレンジっぽさが消えて自然な感じに仕上がりました。



「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」

そして、白鳥の停車場で途中下車して、水晶の河原に来たところ。先の天の川の白い流れの入ったガラスと、水色のボコボコしたガラスは、やはり昔ステンドグラスをされていたという方が最近送ってくださったものです。人からガラスをもらうと自分の作品の幅が広がって良いかもしれない…。絵付け部分には手持ちのアンティークガラスを使っていますが、だんだん手に入りづらくなってきているのが悩みどころです。



「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」



6月に作ったのも左から物語の順序通りに並べてみました。



今窓の外は紫陽花がきれいに咲いています。四季折々の窓の外の景色も作品の一部になるのが、ステンドグラスの面白さだと思います。

雅歌Ⅱ・キャンドルホルダー

2020-07-21 21:44:01 | コパー作品
「雅歌Ⅱ」のキャンドルホルダー、やっと完成!前のを作っている途中で別のバージョンも思い浮かんだので、続編を作ることにしました。こちらもウエディングに良いと思います

8×8×8cmの小さな作品ではありますが、その小ささゆえに今回もなかなか大変でした。いざ完成したと思ったら、ガラスの色を間違えていたところがあり(白と黄土色。多分夜間でよく見えてなかった💦)、小指の爪以下の大きさだけど見つけてしまうとどうしても気になるので取り外して修復しましたそして、予備にもう1個作ったやつはフランス語のスペルミス発見&底が割れていたーまた後日ゆっくり直します…

   

   

今回もフランス語で旧約聖書・雅歌の言葉を書き入れています。偶然ですが、周辺に使ったピンクのガラスでハートっぽく見える部分があったので細心の注意を払ってその部分を切り出しました。ピンクにブラウンが混ざったガラスなんですが、暗がりだとまた全然印象が変わってびっくりします。こういうのもステンドグラスの醍醐味かと



聖母子のおやすみランプ

2020-07-21 21:18:50 | コパー作品
6月上旬に作ったものですが、聖母子のおやすみランプです。周囲のガラスが暗いので逆に聖母子がよく映えます。多分茶色以外は全部人からもらったガラスかもしれません(笑)クリスマスにも良さそう

 

 

実は、おやすみランプは初めてステンドグラス体験をした時に作って以来で、自分では初!この次は立体も作ってみます。今後聖家族とか天使とか、色々できそう