アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ぬくぬくと・・・ ‐ 鞍ヶ池植物園(2)

2022-02-08 06:00:03 | みんなの花図鑑
鞍ヶ池植物園(温室の植物)第2回は、アオイ科の花を3つ(正確には 4つ)。


ハイビスカス

ハイビスカスはアオイ科フヨウ属の花です。
というか、ハイビスカス(Hibiscus)は フヨウ属の属名で、私たちが ハイビスカスと呼んでいるのは Hibiscus rosa-sinensis(和名:ブッソウゲ)のことなんですが。



フヨウ属(Hibiscus)のシベは面白いです。
たくさんの雄しべが合着して筒を作っているんです。




しかも、雄しべ筒の中を雌しべが貫通して 雄しべ筒の先で柱頭を展開しています。



ウナズキヒメフヨウ?

銘板がなかったので、間違ってるかもしれませんが、京都府植物園の温室で同じような花を見たことを思い出しました。以下です↓

ウナズキヒメフヨウ
2020-12-06@京都府植物園・温室
学名:Malvaviscus arboreus var. mexicanus
マルバビスクス
「ウナズキヒメフヨウはヒメフヨウの変種と言われています。もともとのヒメフヨウは花が上向きですが、ウナズキヒメフヨウの花は生長するに従い、だんだん下向きになります。この様子を「うなずき」と呼んでいます。」(FlowerPark Kagoshima 花図鑑「ウナズキヒメフヨウ」より)





「花はずっとつぼみのままで、花びらが開くことはありません。このためスリーピング・ハイビスカス(眠ったハイビスカス)とも呼ばれています。花びらの基部がめしべに巻き付き、開かない構造になっています。」(同上)
フヨウ属の特徴で 雄しべ筒の中から めしべが出てきています。




めしべは雄しべ筒の中を貫通して出てきている部分を観察しています。




アブティロン

アオイ科イチビ属の常緑低木で、学名は Abutilon x hybridum。




地植えでは6月から10月ごろ、葉腋からランタンのような花を咲かせます。









これは 同じ鞍ヶ池植物園で、2017-1-04に撮った黄色のアブティロンです。





パヴォニア・ムルティフロラ

パヴォニア・ムルティフロラ検索しても バラ科の「ロサ ムルティフローラ」ばかり出てきます。




「パヴォニア」の綴りは Pavonia で、そちらで検索すると
英文ウイキの 「Pavonia (plant)」がヒットします。




でもこの花はよく園芸コーナーで「パボニア・インテルメディア」として売っている花にそっくりです。





鞍ヶ池植物園の温室で見たアオイ科は以上ですが、ついでに もうひとつアオイ科の花を。

これは何の花でしょう?


2020-11-06撮影
見えているシベは おしべ です。



花弁が白いものもあります。
雄しべの中心に めしべの柱頭が見えてます。




これは受粉後の果実です。袋果です。



答え

ワタでした !(^^)!






ぬくぬくと・・・ ‐ 鞍ヶ池植物園(1)

2022-02-07 06:00:04 | みんなの花図鑑
久しぶりに、豊田市の鞍ヶ池公園を訪れました。でも、外は北風がぴゅーぴゅーで何にも撮るものありません。
温室(植物園)へ逃げ込みました。
いつもの植物が迎えてくれました。


木立性ベゴニア

ベゴニアは雌雄異花で、この花は雌花です。
なぜ雌花とわかるのかというと、大きな子房が花弁の裏についているからです。




めしべに近づいてみます。




柱頭部分が渦を巻いています。





では、雄花はどんなのかといいますと、中央が雄花です。アリが雄しべの近くに来ています。
ただし、雄花は中央手前の一輪だけで、周囲は雌花です。





雄花は 花弁の部分は 雌花と同じような形をしています。大きな違いは花弁の後ろの子房が無いことです。
雄しべは 雌しべと同様、黄色です。




これが雄しべです。
近くで見ると 渦を巻いてないし、雌しべとは明らかに違うのですが、遠目に見れば 雌しべとおしべの付き方は同じなのです。これは めしべが雄しべの真似をして 虫を呼んでいるという説があります。




白い花弁の花もあります。





コチョウラン(胡蝶蘭)

植物園のエントランスにあり、観覧者を迎えてくれます。


















トケイソウ

鞍ヶ池植物園のトケイソウはゴクラクチョウのように鮮やかな赤です。ずっとこの色です。

















ハナキリン

ハナキリンはトウダイグサ科トウダイグサ属の植物で、杯状花序という独特な花序をもっています。
花弁のように見える2枚は 苞といって花序のいちばん近くの葉が変化したものです。
鞍ヶ池植物園のハナキリンの苞は 3色あります。




始めはピンクの苞。
苞の中には貝殻のような5枚の蜜腺があり、その中にまず雌しべが生まれてきます。




苞がクリーム色のハナキリンです。




この花も 苞の中からまず雌しべが生まれてきます。




3つめは 白色の苞です。




この白色のほうの中からは こんどはおしべが出てきています。





トウワタ

トウワタ(唐綿)は今ではキョウチクトウ科に属していますが、かつては ガガイモ科でした。
ガガイモと同様の綿毛のイモができるのです。




トウワタも副花冠を持つ独特の花序をもっています。




「雄しべと雌しべは合体して蕊柱(ずいちゅう)を形成。濃黄色の副花冠は蜜を貯めるカップ状の裂片 cup とカップ内側の角状の突起 horn で構成され、雄しべの背面につける。」(続・樹の散歩道「奇妙なトウワタの花の観察」)
その cup からあふれた蜜が蕊柱の壁も覆っています。





クレロデンドルム・ウガンデンセ

最後はシソ科の「クレロデンドルム・ウガンデンセ」です。
単に「ウガンデンセ」で、この植物のことらしいです。




シソ科の植物です。
そういえば、シソ科には ツリガネソウとかよく似たさわやかな花が多いですね。




花冠は5つに裂け、4枚の裂片の色は淡く、真ん中の裂片は濃い青紫色で内側に巻いて袋状となります。


次回は
鞍ヶ池植物園(温室)のアオイ科の花を特集します。


オダマキ - ミヤマ?セイヨウ?

2022-02-06 06:00:03 | みんなの花図鑑

オダマキはキンポウゲ科の多年草ですが、元々の分布域が3地域あります。
日本の高山地帯に分布するミヤマオダマキの系譜と、
ヨーロッパからシベリアにかけて広く分布するセイヨウオダマキの系統と、
あと、カナダからアメリカのテキサス州に分布するカナダオダマキ
3系統です。




それで、この園芸品種は?というと、私は門外漢なのでよく分かりません(T△T)
ただ、日本で単に「オダマキ」というと ミヤマオダマキを園芸化したものを指すのが一般的なようです。
そしてどのオダマキにも言えることですが、
「花は5枚の萼(がく)と筒状の花びらからなっており、がくの後ろ側には距(きょ)が角のように突き出て」いることが特徴のようです。(ヤサシイエンゲイ「一度見ると忘れないユニークな花 オダマキとは」)

撮っているときはそのことを忘れていて、アップする段になって距の分かる画像を探したのですが、皆、シベのほうばかり撮ったものばかりでした。
そういうわけで、距がよくわかる図がありましたので、お借りします。↓





花弁の奥が細長い筒になっていて、この筒の奥に蜜が出ています。
蜜を目当てにやってきた虫は 距の中に入ろうとするとどうしてもその手前の花粉に触れずには蜜にありつけません。





これはたぶん同じ園芸品種の白花バージョンでしょう。
園芸種の多くはヨーロッパ原産だそうですが、
いっぽう 距が鉤のように曲がっているのは ミヤマオダマキの特徴だという話もあります。





おさらいです。

オダマキとは
日本原産のミヤマオダマキと、ヨーロッパなどが原産の西洋オダマキの2グループに大別されます。ミヤマオダマキは白から紫までの色幅があり、変わったところでピンクがかった園芸品種もあります。草丈は20-30cmで、径4cmほどの花をつけます。それに対して西洋オダマキは、草丈70cmに達し、花色も、赤・桃・白・黄などカラフルです。花はおおよそ5月~6月頃の初夏に咲きます。(同上)






赤色のもあるようです。つぼみのときから 距が出ています。




〔追記〕
この園芸品種の出所を知りたかったので、教えて!goo に質問しました。
このオダマキはミヤマオダマキ系ですか、セイヨウオダマキの系譜ですかと。
結果、草丈からすると 30cmに満たないので ミヤマオダマキの系譜ということになるが、
総合的に判断して セイヨウオダマキの系譜ということになりました。
↓ 私がアップした参考画像3枚に対して セイヨウオダマキの対応する画像を提示してくださいました。
その回答画像を左に、
今日私が とくに「距」を撮り直してきた画像を右においてまとめてみました。



園芸種の中には、ミヤマ系と西洋系の交雑した品種もあるそうなので、
そうなると どちら系か分類すること自体無意味になってきています、、、
ということが質問の結果分かりました。


ミツマタ - ジンチョウゲ科

2022-02-05 06:00:01 | みんなの花図鑑

ジンチョウゲ科のミツマタ(三叉・三椏)は中国〜ヒマラヤ原産。
「ミツマタの名前は、1本の枝から3本の枝が分かれることに由来します。これは、他の植物には見られないミツマタ特有の方式です。」(■ミツマタ




お札用の和紙の原料の木です。




今はまだつぼみで、花が咲くのは花期は3〜4月。








学名は、Edgeworthia chrysantha
「属名の学名「Edgeworthia(エッジワーシア)」は、アイルランドの植物学者マイケル・パケナム・エッジワース(Michael Pakenham Edgeworth / 1812~1881)とその妹のマリア・エッジワース(作家)の名前にちなみます。」(「ミツマタの花言葉」)
種小名の chrysantha は chrysanthus(黄色花の、黄金色の花を着ける)より。




「英語では「Paper bush」や「Oriental paper bush」と呼ばれます。」(同上)


ジンチョウゲ - 2月の花

2022-02-04 06:00:04 | みんなの花図鑑

2月になると ジンチョウゲ(沈丁花)の花が咲きだします。




ジンチョウゲは ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木。




「沈丁花という名前は、香木の沈香のような良い匂いがあり、丁子(ちょうじ、クローブ)のような花をつける木、という意味でつけられた」(wiki 「ジンチョウゲ」)




「日本にある木は雄株が多く、雌株はほとんど見られない。挿し木で増やす。」(同上)




学名:Daphne odora。
属名の Daphne はギリシア語で 月桂樹の daphneに由来します。
種小名の odora は「芳香のある」の意です。

「枝の先に20ほどの小さな花が手毬状に固まってつく。花を囲むように葉が放射状につく。葉の形は月桂樹の葉に似ているが月桂樹よりも軟弱。」(同上)




シロバナジンチョウゲ

ジンチョウゲの花は ちょっとキンモクセイやギンモクセイに似たところがあります。




日本にはかなり古くから入ってきたようですが、雄株だけというのも、キンモクセイに似ています。





ジンチョウゲ (信濃錦)

中斑の入るジンチョウゲです。

木の実(の殻)を見て名前を当てよう!

2022-02-03 06:00:01 | みんなの花図鑑
1月中、木の実の種が落ちた後の殻の形が面白いのでいくつか撮っていたのですが…
どういう風にまとめようか?迷っているうちに2月に入ってしまいました。

春の花が出て来る前に、まとめてアップします。
全部で 7問あります。
最初に 木の実(の殻)の画像を2枚出します。とても地味です。
その後に、花を見ながら答えを出します。


では、地味な画像をどうぞ (´∀`)

Q1.

これは簡単かも?



クズではありません。



A1.

マメ科の ネムノキでした !(^^)!
撮影日:20-6-26





Q2.

風がぴゅーぴゅー吹いていたので、ブレまくりですが。。。



袋果のようです。



大ヒント

出来たときは こんな袋。
撮影日:20-7-07


A2.

答え:ムクロジ科の モクゲンジでした。
撮影日:19-6-22





Q3.

これは似たのがあるので難しいかも。




「マ」ではなく 「ト」 で始まる名前です。



A3.

答えは マンサク科のトサミズキでした。
撮影日:20-3-29



トサミズキの花は おしべの紅い葯がキレイ。
撮影日:19-3-12




Q4.

枯葉みたいなのが。。。



集まって ミノムシの家みたいです。



A4.

答えは 樹名板の通りです(^^ゞ
撮影日:21-4-01 @愛知県緑化センター





Q5.

これも上と同じくカバノキ科です。
あいにく果実の画像は これ一枚しかありません。



こちらは 枯れた葉と冬芽の画像。



A5.

カバノキ科の雄花はみたこのような感じ。風に吹かれて花粉を飛ばします。風媒花。
答えは イヌシデ でした。
撮影日:21-4-01 @愛知県緑化センター





Q6.

まだどんぐりが残ってますが、どんぐりの中でも大きいほうです。






大ヒント?

神社の境内で 下にたくさん落ちていたのを拾い、自転車のサドルに載せて撮ったものです。



A6.

クヌギだと思います。(画像は 2021-4-01 愛知県緑化センターで撮ったクヌギです)
実はよく似たのに アベマキ があって、もしかすると 神社の境内のほうは アベマキなのかもしれません。






Q7. 最後は 友人が送ってきた ピンボケの花から

これは手前の花を撮ったつもりが後方の小さい花のほうにピントが合ってしまってる。
だいいちサザンカでもツバキでもないので、この時期に咲く花ではなく、前回のウスギモクセイのような狂い咲きではないかと思いました。
そうだとすると、本来の咲き方をしてないので、花だけ見ても分かるはずがありません。

「もっと樹形とかよくわかる写真を撮り直してきておくれ!」
と言ったら、↓こんなのを送ってきました。

私は これを見て はたと手を打ちました。

期せずして同じ日、安城デンパークの花木園で この木を撮ってきたのです。(↓)


↓近づいて 木の実の殻を撮ったものです。




前から見れば 5角形をしています。



大ヒント

まだ青年期の果実です。
撮影日:20-6-10 @安城デンパーク



A7.

答えは バラ科のリキュウバイ(利休梅)でした。
撮影日:18-3-30

友人に 答えを伝えたら、同じLINE仲間の別の友人が こんなコメントと写真を送ってきました(^^ゞ

「おはようございます。またまた驚きました。あの白い花が利休梅だったなんて!早速我が家の裏にある、利休梅の写真を送ります。まさか?こんな時に咲いているなんて!アブリルくんの写真のごとく、とても清楚で媚びず、よくぞ利休梅と昔人は名付けたものよ!私は桜もいいが、この利休梅はもっと好きです。アブリルくん、見事❗️よくぞ謎を解いて下さいました。」

ウスギモクセイ - 狂い咲きですか?

2022-02-02 06:00:03 | みんなの花図鑑

1月23日の撮影です。個人宅の庭先にありました。
花がつぼみをつけているので、なんだろうと思いました。




木肌や葉の雰囲気からモクセイ科のギンモクセイかな?とも思いましたが、こんな時期に花が咲くものですか?




葉はこんな感じで、キンモクセイの葉よりいくぶん集めで、細かい鋸歯があります。




特長的な木肌をしています。
樹高は 2mちょっとあります。
この木は何の木でしょうか?

。。。と「このきなんのき掲示板」に質問してみました。
得られた回答は
「モクセイ科ウスギモクセイと思います。」
とのことでした。
名前を教えてもらえば、こっちのもの(^_-)-☆
早速ネット検索してみると、あります、あります、キンモクセイ、ギンモクセイ、ヒイラギモクセイは見えてたのに、どうして今まで見えてなかったんでしょう(´v_v`)


「キンモクセイの中に時折、色の薄いものがあって、ウスギモクセイ(薄黄木犀)と呼ばれている。
(中略)白い花を咲かせるギンモクセイも植えられていることがあるが、ギンモクセイは葉の幅が広いので、花が咲いていて葉を見れば簡単に区別できる。」(植物雑学事典)


「ウスギモクセイは果実を付ける。(中略)葉の形はキンモクセイとウスギモクセイは区別できないが、果実をつけていれば、ウスギモクセイを疑って見るべきである。」(同上)


こちらに葉による「キンモクセイ ギンモクセイ ウスギモクセイ」の詳しい比較が載っています。


しかし、名前が分かっても、上の3種とも
花期は9~10月。
とあります。
キンモクセイの2度咲きはよく聞く話ですが、秋のうちです。
こんな晩冬になって咲くモクセイ科はギンモクセイであれ ウスギモクセイであれ見たことがありません。
毎年のことなのか?
こんどご主人がお見えになったらお伺いしたいものです。

これはヒューケラですか?

2022-02-01 06:00:01 | みんなの花図鑑

場所は幸田町JA憩いの農園。
大きな鉢にこんな葉のきれいなプランツが。




細長い茎が上に伸びて こんな花が咲いています。
背が高いので、カメラを片手で持ち上げて何枚か撮った内の一枚です。




ヒューケラの花の記事を検索するとこんな記事がありました。
「花弁に見えるのは、じつは萼片で、実際の花弁はその中にある小さな白い部分です。」(GARDEN STORY「ヒューケラってどんな植物?」)




背景がごたごたしてて花がよくわからないですが、画像検索すると
たとえば、「ヒューケラ:ファイヤーチーフ」なんて種類がよく似てると思いました。




通販カタログの解説より
「ファイヤーチーフは鮮やかなワインレッドの葉は寄せ植えにおすすめです。葉色は季節や置き場所によって変化します。株はこんもりとまとまるタイプ。ピンクからホワイトの花が連続して咲きます。花が魅力的な品種です。」





また別の記事より
「ヒューケラは常緑多年草なので、一年を通して楽しむことが出来ます。」
「耐寒温度が-10℃~-15℃までと非常に強く、冬の寒さは気にしなくてもよい品種です」