ロシア軍、クルスクで攻勢 ガス管潜入し奇襲攻撃か
国防省の発表に先立ち、ロシアの軍事ブロガーは、ロシア特殊部隊がクルスク州スジャ近郊のガスパイプラインの中を移動し、ウクライナ軍に対する奇襲攻撃を仕掛けようとしたと明らかにしていた。
国防省は対話アプリ「テレグラム」に掲載した声明で「ロシア軍はクルスク州でウクライナ軍の掃討を継続している」と表明。新たに掌握したとしている3つの集落はいずれもスジャ北方に位置している。
ウクライナ生まれの親ロシア軍事ブロガー、ユーリー・ポドリャカ氏によると、ロシア特殊部隊は幅1.5メートルのガスパイプラインの内部を約16キロにわたり移動し、数日間パイプラインの中に潜伏した後、スジャ付近でウクライナ軍の背後から奇襲攻撃を仕掛けた。
同氏によると、ロシア軍の進撃が速すぎて状況の推移を追いきれない状況で、ウクライナ軍部隊はクルスク州のいくつかの場所で身動きがとれなくなっているという。
ロシア国防省に近いブロガーは、この4日間でロシア軍による奪還が急速に進み「前線が突破された」と指摘した。
ロシアの戦争ブログ「トゥー・メジャーズ」も、スジャの攻防を巡り大規模な戦闘が行われる中、ロシア軍がガスパイプラインを利用した奇襲作戦を実施したと伝えている。ロシア軍はクルスク州のウクライナ部隊を包囲する形で少なくとも7方向から進撃しているという。
ウクライナ空挺攻撃部隊は、ロシア軍はガスパイプラインを利用して足場を確保しようとしたが、ウクライナ軍が迅速に発見し、ロケット弾やドローン(小型無人機)で反撃したとしている。
ウクライナ軍参謀本部も、クルスク州でロシア軍の15回にわたる攻撃を撃退したと表明。ただ、戦闘はまだ継続しているとしたほか、ウクライナ軍の陣地が12回にわたりロシア軍による空爆を受けたとも明らかにした。
こうした中、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は10日、ウクライナ軍がクルスク州でロシア軍に包囲される危険は迫っていないと表明。状況は制御下にあるとの見方を示した。
ロシアはクルスク州でのガスパイプラインを利用した奇襲作戦について公式に言及していない。