BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
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アカペラ

2010-03-04 21:50:05 | 読書感想文
最近借りた本が山本文緒の「アカペラ」という話だ。
「アカペラ」「ソリチュード」「ネロリ」という短編が3つ収録されてる単行本で、彼女の作品を初めて読みました。
まず、「アカペラ」。
両親に問題がある中学3年生と一緒に暮らす祖父とその担任教師が主な登場人物。
始めはこの中学生や先生の話す会話のノリがとにかく読みづらく、ケンタッキーフライドチキンを「ドチキン」と言ってるあたり、、、ついていけない。
今のチューボーと教師の会話ってこうなのかよ!って思った。
始めは読みにくかったが、けっこう我慢してると話の展開が面白くなってきた。
作者はどうやってこの言葉使いを知ったのだろうかと思った。
最後はボケかけてる祖父と孫娘の血のつながらない近親相姦まで出てきて、さすがに気持悪くなった。
「ソリチュード」
主人公の男の色男っぷりが、とっても気になる。
なんというか、とにかく女にもてるなぁと思った。
従兄であり昔の自分の恋人の娘にまでもてて(懐かれる)いるくらい。
でもまぁ、読んでて逆にいい女というのはこの男の母親ではないかなぁと思うのだ。
十数年前に家出した、父親の葬式にも来なかった息子をあたかも昨日出ていったかのように気さくに迎える。
話の後半になって主人公が従兄の娘の制服姿を見て、過去自分が犯した罪の深さに気付き、激しくショックを受けるシーンは好きです。
人の挫折感を知るのは、なかなか読みごたえがある。
最後に「ネロリ」。
病弱な弟と姉の話。
始めは母・息子かと思ってしまった。
その他人も入り込めないような濃密な姉弟関係が、近親相姦までいかずとも夫婦のような気配さえ感じる。
姉に惚れる真面目なサラリーマンや、弟を好きになる19歳の女子学生も絡んでちょこっとづつ楽しくなっていく。
ほかの2作に比べ、ほのぼのしてました。最後は意外な結末でしたが。

○アカペラ 山本文緒 新潮社