花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

彩度と明度

2019年11月24日 | 学校
初冬を迎えた青森県に黄色の小菊が咲いています。
数十万種もある花。いったい何色の花が多いか調べた人がいるようで
その結果、真偽はわかりませんが、白が1番。黄色が2番だったそうです。
そういわれると人の手が入っていない野に咲く花は
園芸種のような赤や青というよりは白や黄色が多いような気がします。
それはどうしてでしょう。以前、ある本で読んだことがあります。
そこには明度が理由ではないかと書かれてありました。
色には明度、彩度という言葉があります。
彩度とはベースである白や黒に対して
どれぐらい純色が入っているかを表す用語です。
例えば純色を黄色とした場合、彩度が高いほど
純色が多くなるので黄色は鮮やかさを増します。
逆に彩度が低い、つまり純色が少なくなれば黄色は薄れ白や黒に近くなります。
それに対して明度は、純色に対する白や黒の量をいいます。
明度が高くなれば白が多くなり、低くなれば黒くなるのです。
さて話は花の色に戻りますが、白や黄色が多いのは
明度が高いからではないかと作者は書いていました。
確かに濃い赤など彩度の高い色も目立ちますが
白や黄色など明るい色はもっと目立ちます。
この写真はそれがよくわかります。曇り空の下で撮りましたが、
奥のピンク色の菊に比べ、黄色の方が浮かび上がって見えるのです。
春も秋も虫が少ない時期。もし虫を呼ぼうとしたら目立つのが一番。
純色の濃さである彩度よりも明度が重要なのはわかるような気がします。
では人間は何色の花が好きなのでしょう。
花屋さんの調査では1位ピンク、2位は赤と紫でした。
どうやら人は明度よりも彩度が高い鮮やかな花を好むようです。
野に咲く花が人のために咲いているのではないことがよくわかります。
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冬の香り

2019年11月24日 | 
冬が近づくとこのような果実をよく目にします。
リンゴよりも大きな楕円の黄色い果実。
これは「カリン 」(花梨)です。
カリンの特徴はなんといっても甘い香り。
自動車やトイレの芳香剤として飾る人もいるぐらいです。
またカリン酒やハチミツ漬けなどに加工して食べることもあります。
カリンの実を手にしたことがある人はわかると思いますが
実がむちゃくちゃ硬いのも特徴です。
理由はナシと同じ石細胞。ジャリジャリ君なんてもんじゃなく
硬いので生食などできません。
また加熱加工などしないと毒性もあるらしく
これも生食されない理由のようです。
さてカリンによく似ているのがマルメロ。
こちらも香りのよい似たような果実が実ります。
しかしマルメロには毛があり、カリンは無毛と見分け方は簡単です。
どちらも化粧品に用いられるほど良い香りがします。
カリンは庭木に用いられることが多い樹木。
ぜひ散歩しながら探してみてください。
寒くなりました。
風邪気味の方はのど飴でもなめましょう。
もちろんこの時期のオススメはカリンの香りです。
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絶対に譲れない戦いがそこにある

2019年11月24日 | 環境システム科
施設園芸実験室です。
学校の施設を設計された経験のある方はお分かりだと思いますが
設置するのは青森県。したがって予算の関係もあり
こちらの希望どおりにいかないのは当たり前です。
この温室も当初より少し小さくなってしまいました。
それでも最後まで譲らなかったのがこの場所。
クーラーが入っているわずか3畳ぐらいの個室です。
水耕栽培を学ぶ際、どうしても育苗しなければなりません。
それは大規模に栽培する時も、数株で実験する時も同じです。
ところが発芽には適温があり、このところの猛暑では芽も出てきません
また育った苗も猛暑では育ちません。
北国の青森県。寒いため暖房は備え付けてくれますが
夏場を適温にするための冷房装置は贅沢と捉えられるのか
なかなか許可がおりません。もちろんこの時もそうでした。
しかしこの温度制御できる育苗室がなければ
環境システム科の学習自体できなくなるので猛烈に設置をアピール。
そのおかげで必要性を理解くださり、
クーラーの入った小さな部屋ができたのです。
またLEDの波長を制御できる水耕栽培装置も2台入っており
24時間365日、とても便利に名農生によって使われています。
先日、ハンターズが育苗のために播種した育苗マットを持参すると
他の研究班や授業で使うマットでいっぱい。
おそらく名農で一番活用されている実験室ではないでしょうか。
さてそれはともかく、名久井農業高校のある南部町には
全国でも珍しい「鍋条例」があります。
毎月22日はフーフーいいながら家族で鍋を囲み、
コミュニケーションを深めましょうという意図ですが
その一環として「あおもり鍋自慢」というイベントが
23日と24日、南部町で開催されます。
みなさんお馴染みのせんべい汁の他、青森県には美味しい鍋がいっぱいあります。
たくさんの鍋が並ぶようなのでぜひ参加して見てください。
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実験室の記憶

2019年11月24日 | 環境システム科
ここは環境システム科の施設園芸実験室。
長い間勤めているといろいろなことがあるもので
この実験室は環境システム科が新設される際に設計を担当しました。
当時、開設スタッフが二人いましたが、一人は同じく新設される工業実習棟を担当。
したがってぞれぞれが手分けして設計することになったのです。
当初の計画より建物自体がひと回り小さくなり、ちょっと収納に難はありますが
環境システム科の本拠地として今も大切に使っています。
またこの施設の中に入れる設備を選択するのも担当。
全国でも例のないLEDなどを活用した水耕栽培を学ぶ学科なので
参考にする事例が大学にしかなく困ったものです。
愛媛大学に視察に行ったのは2011年3月10日、
つまり東日本大震災の前日。そして被災したのは帰りの羽田空港。
ほぼ一日、空港のロビーで野宿したのでよく覚えています。
そんな強烈な体験をしながらの視察もあって
この実験室には小さいながら便利な装置がたくさん入りました。
暗い実験室の中で光っているのは水耕栽培装置。
1年生が学ぶための小型装置で、たくさん用意されています。
また中段の白いキューブ状の冷蔵庫のようなものは
温度と波長が制御できる植物栽培装置。
この他に風力発電機、ソーラーパネルの発電状況がわかるモニターはもちろん、
隣に建てたガラス温室の中からタブレットでこの温室にwi-fiで繋げ
インターネットの閲覧やサーバーへのデータ送信ができるという
スマート農業が大好きな方なら大喜びそうなシステムも装備しています。
残念ながら担当が変わり、今は自分で設計したこの実験室で
授業をすることはありませんが、たまに来ると当時を思い出します。
さて今日は京都大学で開催されるテクノ愛にチーム名農が出場します。
応援よろしくお願いします。
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