花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

一大勢力

2020年08月17日 | 学校
第2農場はビニールハウスや温室が立ち並ぶ施設農業のエリア。
その施設の間に、こんな畝を見つけました。
これはカボチャかもしれません。
盛んに花を咲かせていて、手前にはもう小さな実が見えます。
カボチャはウリ科。ウリ科はキュウリやメロン、スイカなど
メジャーな野菜が所属する大きな派閥です。
彼らの特徴は雌雄異花という繁殖システム。
一般に植物は、ひとつの花の中に花粉を出す雄しべと
それを受ける雌しべがあります。
手っ取り早く受粉できるので便利ですが、
同じ遺伝子を持つもの同士で交配していては
クローンしか生まれてきません。
これでは気候の変化にあったり病気に襲われると
みんな同じ弱点を持っているのでひとたまりもありません。
これは植物にとって不本意。それを避けるには
様々な遺伝子を持っている必要があります。
その工夫が雌雄異花。同じ植物体なのに
雄しべしかない花と雌蕊しかない花を離して咲かせるのです。
これは自分の花粉ではなく、他の株の花粉を利用して
遺伝子の違う子供を作ろうとする優れたアイデアです。
なお時には雄しべ、雌しべをもった両性花を咲かせることもあります。
これは、いざとなったらクローンでもいいから子孫を残そうというど根性でしょうか。
こんな強かさが、今なおウリ科が大勢力を保つことができる知恵かもしれません。
もし花を見る機会があったら、雄花と雌花を探してみてください。
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ひねり王子

2020年08月17日 | 学校
ここも第2農場脇のわずかなスペースで育っているトウモロコシ。
大勢力であるイネ科に所属しています。
イネ科はイネ、麦、コウリャンなどの穀類が多い個性的な派閥です。
派手なウリ科やナス科、アブラナ科と違って地味な感じがしますが
お米やパン、トルティーヤなど私たちの食生活を支えているものばかりです。
このトウモロコシも一段と変わった受粉の工夫があります。
それは雄花と雌花を持っていること。
茎のてっぺんに咲くのが雄花、茎中央について私たちが食べる部分が雌花です。
でもこれならウリ科と同じですが、トウモロコシはさらにもう一捻り工夫しています。
それは雄花と雌花の熟期の違い。雄花が先に出来上がり、
花粉を撒き散らしている時、実は雌花はまだ赤ちゃんで花粉を受け取れません。
逆に雌花が完成した時には、雄花はもうおじいさん。
雌雄異花にして、さらに熟期も変える。まさにひねり王子。
あの手この手で自家受粉を避けようという強い意志を感じます。
またイネ科にはサトウキビなど背の高いタレントも多く所属しています。
これはC4植物という個性が影響していますが
これについてはまた別の機会にご説明します。
美味しいトウモロコシが早く食べたいものです。
さてお盆も先週で終わり、今週からまた出校するハンターズ。
今日は会場の後片付け。長い間、お借りしたテレビを
校長室に返さなければなりません。
その後は、3年生のハンターズは今まで大会のために遅れていた
進路のための面接練習や願書の清書などで大忙し。
そして金曜日にはもう2学期が始まります。
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