花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

メガソーラー農園化計画

2020年08月20日 | 研究
2018年、ストックホルム青少年水大賞で世界準グランプリを受賞して大騒ぎした頃、
ファイナルフローラが取り組んでいたのがメガソーラー農園化計画。
地域にたくさんあるメガソーラー発電所内でカボチャの有機栽培をして
電気とともに農作物も得ようという二毛作でも二期作でもない異物同時耕作プロジェクトです。
ソーラー発電所はどこも数haもありますが
北国では影が長くなるため、パネル間の距離を広く開ける必要があり、
広大な発電所の割には土地の利用率は70%もありません。
さらに背の高い草が繁茂するとパネルに影を落とし
発電量が低下するため、管理者は広い面積を業者委託して除草しなければなりません。
そこで考案したのは、農家が無償で除草を請け負う代わりに、使っていない土地を無償で借り
グランドカバーの機能も持つカボチャを育てるというアイデアでした。
このアイデアは農地を持たない企業や若者の新規就農を促進する効果もあるとして
高校生ビジネスグランプリで上位入賞を果たしました。
本校にもソーラーパネルがありますが、先日覗いてみたら
なんとご覧のように、カボチャが栽培されているではありませんか。
まさにメガソーラー農園化計画です。フローラの計画通り、
一切除草などしていないようですが、ゴロゴロとちゃんと実っています。
ぜひ頑張って実現してほしいものです。フローラはこの計画を発表する際、
カボチャだけでなくレンゲを植えて養蜂をしたり、
パネルの下を利用してキノコ栽培をするアイデアも披露していました。
キノコに必要な水分はパネルに取り付けた雨樋で確保する必要がありますが
まんざら無理な話ではないはず。広い空き地をキレイなレンゲ畑に変えたら
インスタ映え間違いなし。素敵な食育や環境教育の場となるはずです。
ぜひこちらにも取り組み、世の中に提言してほしいものです。
明日は始業式です。
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不都合な真実

2020年08月20日 | 環境システム科
これは水耕栽培で育つ焼肉でお馴染みのサンチュです。
環境システム科では水耕栽培温室そのものを教材として
栽培法、販売法、さらに工業的な視点から環境制御や電気関係などを学びますが
露地栽培と比べあっという間に成長する水耕栽培を初めて見た1年生はみんな驚きます。
なぜこんなに早いのでしょうか。外界から隔離された空間で
環境をある程度自動的に制御されて育つのが理由ですが、
肥料の濃度の違いも大きな理由としてあげられます。
一般に露地で栽培する場合、イチゴやレタスのECは0.4〜0.8mS/cm。
大きな実をつけるトマトでは0.8〜1.5で育てます。
ECは肥料の濃度と考えてよいので、イチゴやレタスよりトマトの方が
肥料のいっぱい入った畑で育てていることがわかります。
では水耕栽培ではどうでしょう。なんとイチゴは0.8〜1.5mS/cmと露地の2倍。
レタスやトマトに関しては、1.2〜3.0まで高くなります。
確か東日本大震災で津波被害にあった圃場のECが3.0程度。
つまり水耕栽培は塩害寸前の高濃度の肥料の中で強制的に育てるから生育が早いのです。
あまり話題となりませんが、水耕栽培で問題になるのはこの養液の廃棄処理。
処理せずに廃棄すると周囲の水質汚染につながるからです。
環境システム科ではこの廃液をどのように処理しているのでしょうか。
今まであまり気にしませんでしたが、ちょっと心配になります。
今年、ハンターズの元で研究をしているJr.の女子二人は環境システム科。
水耕栽培に興味があり入学したといいます。彼女たちの夢を壊す気はないのですが
ハンターズは、この意外に知られていない水耕栽培の問題点を彼女たちに正直に説明し
その対策研究を、一緒にサポートしながら取り組んでいます。
水耕栽培を学ぶ環境システム科ならではの環境研究。荒削りですが結果は秋に出ます。
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