この鄙びた温泉に立ち寄ったのは2回目です。
湯から上がって、ロビーで寛いでいると、女将が話しかけてきました。
ネット上のものを含め、いろいろな情報から察するに、ここの女将は話が好きなようです。
客に対する気遣いという意味で、そうしているのかもしれません。
「前にも来たことがありますか?お湯はどうでしたか?」との問いに、私は率直に、
「この前より、熱かった。」と答えました。
聞けば、最近、源泉の温度が下がり湯の量も減っていたけど、数日前から今度は急に量が増え熱くなったというのです。
意外と不安定なんですねと訊ねると、今までこんなことはあまり無かったと、心配そうです。
その後、温泉についての話題が続きました。
「ここは、風光明媚なところではなく、湯以外に売り物はない。湯を目当てに、遠くから来て下さる人も多い。」
源泉掛け流し、加水無し、加温無し、がここの売りです。その泉質が自慢で、大事に温泉を守っているという感じが、女将の口ぶりからうかがえます。
「現在は自然に湧出しているが、動力が必要になったらどうしようか?温度が下がって加温するとなると設備も燃料代も大変だし、熱くなって加水が必要になるのも泉質を目当てに来て下さるお客に申し訳ない・・・」
いろいろ心配事もあるようですね。
くたびれた建物をそのまま使用している様子からは、みすぼらしいとかそういったことよりも、無欲、健気といった印象を受けます。新たに設備投資をすることには抵抗を感じるのかもしれません。
話は続きました。動力で汲み上げた場合、温泉の成分が濃い為、配管の目詰まりに対するメンテナンスが大変ではないのか?地震があった場合の影響は?女将が特に気にしている、近くの自動車道の工事の影響について、道路工事についての行政の対応について、などなど・・・
帰り際には、「温泉が枯れないうちにまた来てください。」
また行きたいと思っていますが・・・ その時のお湯の温度はどうなっているだろう?
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