奥高尾“日影林道”の林縁に生えている「クサボタン(草牡丹)」。キンポウゲ科センニンソウ属の落葉低木で日本固有種。雌雄異株で9~10月に茎先や葉腋から集散花序を出し萼片がカールした可愛い花を咲かせる。果実はセンニンソウの仲間らしく冠毛の付いた痩果になる。
長沼公園“殿ヶ谷の道”に生育している「トキホコリ(時繁)」。イラクサ科ウワバミ属の多年草で草丈は10~20センチ。茎は斜上し9~10月に葉腋に直径12~13ミリの団子状の花序を付ける。雌雄同株で雌花と雄花が混生している。写真は花序を拡大したもので白いひげ上のものはおそらく雌花の花柱だろう。白い半透明のものは花被片と思われる。褐色の楕円球は長さ0.5ミリほどだが果実だろうか。
奥高尾“日影林道”の道端に咲いている「アキノノゲシ(秋の野罌粟)」。キク科アキノノゲシ属の多年草で草丈は1メートルを超えるほどになる。秋に茎の上部に円錐花序を出し直径2センチほどの頭花を多数咲かせる。カントウヨメナやノコンギクなどの野菊は白色~淡青紫色だが本種は淡黄色になりひときわ目立つ。
キク科シオン属の「カワラノギク(河原野菊)」。関東地方の相模川や鬼怒川など一部水系の砂礫地に分布する一稔性二年草で花期は10~11月。晩秋に種子が散布されるとその株は枯死し、種子は翌年の3~4月に発芽し1年目は写真のようなロゼットの状態で過ごす。2年目の秋に開花して種子を散布するというサイクルを繰り返す。一稔性植物は多年草にもあり、シシウドは発芽してから4〜5年目で開花し果実を稔らせて一生を終える。またタケの仲間は60年や120年掛けてやっと開花し種子を作ると枯れていく。これは羽村市の多摩川河川敷のもの。
ハイノキ科ハイノキ属の「サワフタギ(沢塞木)」。日本全土の山野に分布する落葉低木で樹高は2~6メートル。5~6月に枝先に円錐花序を出し白い花を多数咲かせる。果実は核果で秋に藍色に熟す。果実が稔る様子がカマツカ(ウシコロシ)に似ていることから「ルリミノウシコロシ(瑠璃実牛殺し)」の別名がある。
多摩川"羽村堰”付近の河原に生育している「カワラノギク(河原野菊)」。キク科シオン属の一稔性二年草で関東地方の相模川、鬼怒川、多摩川など一部の河川にのみ自生している。東京都レッドデータによると23区では絶滅(EX)、北多摩・南多摩では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、ここ西多摩では準絶滅危惧種(NT)だったが、羽村市内では自生地の帰化植物の除去など、地元ボランティアの保護活動により群落が戻りつつある。カワラニガナの学名は"Ixeris tamagawaensis”で"多摩川”の名が付いている。
カワラノギクは丸い石がゴロゴロ転がっているような河原を好み、時々発生する洪水が土砂を運び植生をリセットすることによって群落ができる。しかし現在は上流のダムで流水量が制御され河川敷が水没するような事態は少なくなっている。そのため帰化植物が永住するようになりカワラノギクの生育地が狭められているようだ。
この日は自宅から片道21キロを自転車を漕いで自生地を目指した。以前、カワラニガナを探索した場所に近くそのルート(南大沢ー北野ー左入町交差点ー拝島橋ー羽村堰)はしっかり頭に入っている。自生地は羽村堰の600メートル上流の宮の下運動公園近くでコセンダングサとクモの巣の藪を抜けると丸石が転がっている河原に出た。そこで探すこと10分。開花株を見つけるとその一帯に数十株が確認できた。まだ蕾が多いので満開は来月上旬だろう。
タコノアシ科タコノアシ属の「タコノアシ(蛸の足)」。本州~九州の湿地や水田に生育しているが全国的にタコノアシの生育環境に合うような湿地が減少しており準絶滅危惧種(NT)に指定している都府県が多い。草丈は70~80センチで茎の先に放射状の総状花序を数本出して9月頃に小さな花を多数咲かせる。果実は秋に赤く熟しまるでタコの足を茹でたような色になるので名付けられている。
小山田緑地付近の林縁に生えている「クサボケ(草木瓜)」。バラ科ボケ属の落葉小低木で背丈が低いので“草”の名前を付けられている。普通のボケは中国原産だが、クサボケは日本在来種で本州~九州の山野の分布している。3~5月に直径3センチほどのオレンジ色の花を咲かせ果実は秋に稔る。果実は直径3~4センチで柑橘系の香りがするが果肉は硬く酸味が強いので生食には向かない。
奥高尾“日影林道”で咲いている「セキヤノアキチョウジ(関屋秋丁子)」。シソ科ヤマハッカ属の多年草で日本固有種。関東地方~中部地方の山地のやや木陰に分布している。9~10月に茎先や上部の葉腋から集散花序を出し長さ2センチほどの青紫色の筒状の花を咲かせる。関屋は関所の意味でこれは“箱根の関”を表している。同属のアキチョウジは岐阜県以西に分布しており当地には自生は無い。
神明谷戸の水田で見られる「タウコギ(田五加木)」。キク科センダングサ属の一年草で日本全土に分布している。草丈は1メートルを超えるものもあるようだが、水田などでは刈られることが多くせいぜい30~40センチほど。頭花は全て筒状花から成り咲き初めは直径7~8ミリだが咲き進むにつれて直径2~3センチになる。頭花の下に放射状に拡がる総苞がありアメリカセンダングサに似ているが、タウコギの花はややくすんだ黄色になりまた茎はアメリカセンダングサよりも太い。