首飾りやアクセサリーなどを買い集めていて、家では女装していると疑われたまま転校していった少年の思い出を、同級生だった主人公の視点で書いた作品です。
実際は、その少年は、隣に住む脳性マヒで寝たきりの女の子のために、彼女が喜ぶアクセサリー類を修学旅行先などで買い集めていたのです。
正直言って、三十年ぐらい前に読んだ時の印象は、すっかり忘れていました。
短編集の他の作品に比べて、完成度が低いように思われます。
少年の秘密が、近所に住む老婦人から学校へ送られてきた手紙で明らかになるのは、書き方としては安易ですし、安手の美談のように感じられました。
また、そのことを知った主人公たちクラスメートが、少年をからかっていたことを反省して改心するのも、また二重の美談のようで、作者のいつもの批判精神があまり感じられません。
最後に、この本が1986年に出版されたことを考えると差し引いて考えないといけないのですが、本当に女装するのが好きな少年たち、特に性同一性障害(出版当時にはそういった概念は一般的ではありませんでした)の子どもたちには、ある意味この作品自身が差別になっている面も否定できません。
私はあらゆる作品は発表当時の歴史的背景抜きには批評しない立場ですが、この短編集が2015年の神奈川県の読書感想文の課題図書に選ばれていることを考慮して、あえて批判させていただきました。
実際は、その少年は、隣に住む脳性マヒで寝たきりの女の子のために、彼女が喜ぶアクセサリー類を修学旅行先などで買い集めていたのです。
正直言って、三十年ぐらい前に読んだ時の印象は、すっかり忘れていました。
短編集の他の作品に比べて、完成度が低いように思われます。
少年の秘密が、近所に住む老婦人から学校へ送られてきた手紙で明らかになるのは、書き方としては安易ですし、安手の美談のように感じられました。
また、そのことを知った主人公たちクラスメートが、少年をからかっていたことを反省して改心するのも、また二重の美談のようで、作者のいつもの批判精神があまり感じられません。
最後に、この本が1986年に出版されたことを考えると差し引いて考えないといけないのですが、本当に女装するのが好きな少年たち、特に性同一性障害(出版当時にはそういった概念は一般的ではありませんでした)の子どもたちには、ある意味この作品自身が差別になっている面も否定できません。
私はあらゆる作品は発表当時の歴史的背景抜きには批評しない立場ですが、この短編集が2015年の神奈川県の読書感想文の課題図書に選ばれていることを考慮して、あえて批判させていただきました。
ぼくのお姉さん (偕成社文庫) | |
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偕成社 |