先ほどの記事の続きです。
<第三回 社会の勉強方法>
第1回では、社会は理解・整理をしてから用語暗記をしよう、という話を、
第2回では、その理解・整理の仕方を地理で具体例をあげてみていきました。
では、今回は、歴史で、理解・整理の仕方を見てみましょう。
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(問題)
たとえば、飛鳥時代を習ったときに、
「645年に中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏を暗殺して、天皇を中心とした政治の改革を行った。
それを大化の改新と言う。
そのあと、中大兄皇子が天智天皇になったが、彼の死後、後継者争いがおこった。その争いのことを、壬申の乱と言う。
この乱で勝利した即位したのは天武天皇である。」
という文章を整理(分類)してみてください。
自分なりにまとめたあとで、次の例を見てみてください。
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<解答例1>
645年 中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏を暗殺→天皇を中心とした政治の改革を行う それを大化の改新と言う
中大兄皇子は天智天皇になる→死後、壬申の乱がおこる→天武天皇が即位
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例1はダメな例です。文章の順番をそのままコンパクトにしただけです。
これでは、ただ単に「言葉を暗記する」だけになってしまい、前後の繋がりがわかりづらいです。
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では、良い方法はどのようにすれば良いのでしょう?
歴史では、
時間
場所
人物(人物の属する身分や役職)
事件名(事件名の性質も分けて)
事件名の内容
そして事件の流れ
に分けて、考えます。
(英語でいう、5W1Hを考える、と同じようだと思っていただいてもかまいません)
今回の問題で考えてみましょう。
◎時間は、大まかに考えると飛鳥時代、細かく考えると645年です。
◎場所は、書いてありませんので、あえて考える必要はありません。
ただ、当時の都(天皇が政治をしているところ)は奈良にあったことは習っているので、奈良と考えるのが妥当でしょう。
◎人物は、4人(5人)登場します。
中大兄皇子・中臣鎌足・蘇我氏・天智天皇・天武天皇です。
まず、この5人の身分を分類します。
そうすると、「皇子・天皇」という名称から、、中大兄皇子・天智天皇・天武天皇は天皇家だと予想できます。つまり、この3人は、政治のトップクラスの人物(時期、トップになる可能性が大きい人物)だというわけです。
そして、中臣鎌足・蘇我氏は天皇家ではないけれど、皇子と手を組めるぐらい&暗殺されるぐらいだから、天皇家に近い貴族(豪族)なんだろう、と推測できます。
蘇我氏などは、豪族という言葉を習ったときに出てきます。「豪族の例で蘇我氏がいる。豪族がそのまま貴族になった例が多い。」ということを習っていますから、そこから推測するわけです。(ただ、もしできれば用語集などで確認した方が良いでしょう。)
そしてさらに、文章から、中大兄皇子と天智天皇が同一人物だとわかります。皇子が天皇になったときに、名前がかわるのです。
最後に、それぞれの人物が何をしたのかを分けます。
暗殺した・暗殺された人を分けてみると、「暗殺したのが中大兄皇子と中臣鎌足で、
暗殺されたのが蘇我氏」になります。生き残ったのは「中大兄皇子&中臣鎌足」になるわけです。そこで、彼らが行ったのが「大化の改新」のわけです。
中大兄皇子が天智天皇になり、
天智天皇の死後に、天皇になったのが「天武天皇」ということになりますが、天武天皇が天皇になる前に天智天皇の後に誰が天皇になるかで争った、
つまり後継者争いの「壬申の乱」がおこったということです。
◎事件の流れをまとめます。
そうすると、大化の改新→(天智天皇の即位)→壬申の乱 となるわけです。
メインは大化の改新・壬申の乱。
そこに、人物名や細かい事項をまとめていきます。そのまとめ例が次になります。
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<解答例2>
<飛鳥時代後期 大化の改新と壬申の乱>
① 645年 大化の改新
中大兄皇子&中臣鎌足が蘇我氏を倒す →天皇中心の国家を目指した政治の改革を行う
↓
天智天皇 として即位 →天智天皇が死ぬ→後継者争いがおこる
(壬申の乱)
② ? 年 壬申の乱(天智天皇のあとの後継者争い)
↓
勝利した皇子が 天武天皇 として即位
※大化の改新後すぐに天智天皇が即位したわけではないのですが,流れを重視して上記のように書きました。
※壬申の乱の年号が「?」になっているのは,壬申の乱の年号が不明なのではなく,まとめて,と表記した文章に
年号が書かれていなかったため「?」年にしております。資料集などで年号を調べたら,そこに年号を書きこんでも
かまいません。
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◎第二回で習ったように、大切な言葉を太文字に、内容のテーマ(主題・題名)を考えて書きます。
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そして、歴史で特に注意して書くものは次のようになります。
◎まず、縦のラインを並べます。
メインは、大化の改新と壬申の乱なので、この二つを縦に並べます。
そして、すこしずらして、その事件の詳しい経過を書いていきます。
◎大切な事件は大きい文字で、事件名や人物名などで覚えるべき用語は
太文字(もしくは、色文字かマーカーひき)をします。
◎「壬申の乱がおこる」とだけ書かずに、「後継者争い」と書いておけば
壬申の乱はどのような争いだったのがわかります。
同じ内容のときは線をひいてつないでもかまいません。
◎内容が類似するときは、同じような書き方をします。
今回だと、「何天皇という名で即位したか」で「天智天皇・天武天皇」の2人が挙げられますので、「◎◎天皇として即位」という文体で統一しました。
◎ 壬申の乱の年号は調べれば、わかりますが、
あえて年号を調べる必要はあまりないので、そのような場合は「?年」と書いてお
くだけでもかまいません。(もちろん、調べれるなら調べ、ノートに書きましょう。)
◎ここでは、「壬申の乱で後継者争いをしたのは、天智天皇の息子である大友皇子と、天智天皇の弟(一説にはおじ・兄という説もありますが、ここではおいておいて)である大海人皇子である。大海人皇子が勝利し、天武天皇として即位した。」ということを記述していません。もし、参考書や問題などで、このような記述をみつけたら、まとめノート(自分でまとめたもの、もしくは先生が黒板に書いたノート)か、ポイントまとめ集などに、その記述を付け加えると良いでしょう。そのときに、常時吹き出しなどをつけて、書き加えるようにしておくと、メインで習ったものかそうでないものか、などの見わけがつきます。
<おまけ>
もし、資料集や教科書・テキストなどで人物や事件の写真(絵)が載っていたら、それも見て、イメージをつけると、より忘れなくなります。
マンガも読むとイメージはつけやすくなります。
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これで、社会の勉強の仕方はひとまず終了です。
これは、私立中学受験をする小学生でも、中学・高校でも、このように勉強することができます。
※こちらは、あくまで勉強の仕方の一例です。私の考え方が絶対正しい、という意味ではありませんので、参考程度にご覧頂けると嬉しいです。
※現在,過去の記事を削除・編集しております。その中の記事の中でいくつかピックアップして
ブログに再度アップしています。この記事はその1つです。
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