ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

父のプレゼント

2011年02月16日 | 信仰

Bus_2  わたしはあと半年で、60歳になる。自分で言うのも変だが「信じられない!」心境である。たとえば父は61歳と少しで亡くなった。もうその年齢に手が届きそうな、お仲間の年である。
 父については思うことがある。それは海軍から復員後、実家に居候しようとすると、そこには結核に罹病し、放擲されていた兄嫁が居た。結核は当時は不治の病。空気感染するので恐れられ、看病することは命がけの高いリスクがあった。父の兄は早々と他の女と同棲中であった。
 もちろん、弟にその責任は無かったはずだが、父は兄の代わりに見放された兄嫁を引き受け、最後まで看病し看取った。その結果、父は兄嫁の結核に感染してしまったのである。カナマイシンという特効薬の開発で命を取り留めたが、肺は1/6になり、その後、数年単位でのサナトリウム(長期療養所)に、幾度も入院しなければならなかった。父の病は、即、家族の闘かいでもあった。

 以上の話は生前、父から一度も聞いたことが無かった。母に連れられ、バスで何時間もかけ父の病院に通った時、母から聞いた話だ。その時は、ただ悔しかったことを思い出す。良いことをした者が、不当な境遇に陥ることに納得が行かなかった。今は父を思い出すたびに、「息子である」ことを、誇りに思う。わたしのたった一つの誇りなのだと思う。 (ケパ)

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