最近、まことしめやかに語られていることがある。男は陣痛に耐えられず、もし経験したら(それはあり得ないのだが)ショック死すると言うものだ。つまり女性は男性より痛みに耐える偉大な忍耐力があり、母の力を称える意味にもなっている。そのことに私自身はまったく異存はない。
ところが「痛み」という点に対してだけなのだが、痛点が女性には男性より少ないのだから、女性が痛みに強いということにならない、という説がある。それでは実際にはどうなのだろう、とちょっと調べてみた。陣痛そのものは要するに子宮が押し広げられる痛みなので、赤ちゃんの大きさによって個人差が生じる。またどうやっても男性に経験させられないので、直接の比較はできない。ただこれに近い痛みとして「手指の切断」「群発頭痛」「尿結石」などの類いがあるらしい。これらは男性も経験するもので、どれも死ぬほど痛いようだが、それで死んだ例はまずない。だから医師によれば「女性は痛みに強く、男性は痛みに弱い・・・・」と言うのは「都市伝説」の類いであるらしい。
それはともかく、「痛み」については強烈な思い出が私にはある。二度とも歯痛の経験である。大学2年生の夏、菅平でのテニス部合宿後、帰路の信越線車中で私は歯の猛烈な痛みを経験した。どうすることもできなくなって、とうとう上野駅から救急車で運ばれた。
次はもっとひどかった例だが、左下奥歯を三本続けて抜歯というケースだ。これは痛み止めがまったく効かず、一晩中家でのたうち回った。2本目にそのことを告げてふだんの倍の痛み止めをもらったが、結局薬はなんの効果ももたらさず、前回と同様に痛みに苦しむことになった。こうなるともう、歯医者に行くことがトラウマになって、さらにまずい結果をもたらすことになったのだが。
男性・女性にかかわらず、個人として私は痛みに弱い類いだと思う。強いつもりだったが人生の困難にも私は弱く、苦しみにのたうち回った。弱い自分を自覚しているので、神が助けてくださるしか、今後も道はなく、祈りだけが自分の支えであることを知っている。 ケパ