Happyday of LUCKY

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自分の記憶を検索する写真

2015年04月11日 | Life


きょうは友だちのEさんとFさんと丸亀にある猪熊弦一郎現代美術館へいく。車で約3.5時間の距離なので、ちょっとした小旅行あるいは遠足の気分だ。
芦屋料金所の前後で渋滞していたものの、あとは淡路島を縦断し、鳴門から高松自動車道を快調に走って、12時半くらいに丸亀に到着する。
まずは腹ごしらえに讃岐うどんをたべる。



宮武讃岐製麺所という地元では有名な店へいく。
讃岐うどんといえばセルフ方式が定番であるが、どうやらここが最初にはじめたものらしい。
まず麺を茹でている女性に麺の量を告げる。小がうどん1玉、中は2玉、大なら3玉で、それぞれ220円、320円、420円というお値段だ。
つぎにきつねや天ぷらなどの具材をえらぶ。60~100円でいろんなものがあるので、目移りして迷う。

中うどんとゲゾの天ぷらで420円。安いね

会計のあと、天かす・青ネギ・おろし生姜をトッピングして、だし汁を注ぐのだが、じつはトッピングをのせるまえに「温め湯」で麺と器を一度温めなおすのが本当のやり方。それに気づいたのは食べおわったあとだった。残念。
でも、やっぱりうどんはとてもおいしくて、本場まで来ただけのことはありました。



さて美術館であるが、現在「鈴木理策写真展 意識の流れ」という展覧会が5月末まで開催されている。
鈴木氏といえば、熊野古道と修行僧を撮った「KUMANO」や「SAKURA」のシリーズしか知らないが、きょうはそれらの作品も含めた最新作を100点ほど見ることができる。
3階の展示室に入ると巨大な写真群があらわれた。手元の資料を見ると952×1190ミリとなっている。奥の部屋にはさらに大きな写真もある(1200×1550ミリ)。

鈴木氏の写真はいわゆる風景写真ではない。
たしかにどこかの風景が写っているのだけれど、それがどこなのかはわからない(タイトルやステートメントを読むと「熊野」だとわかるけど)。
しかも「美しい風景だったので撮りました」というような感動的な光景は写っていない。岩がころがっている何もない風景だったり、目のまえの大きな木をたんに撮っただけの写真なのである。



アサヒカメラなどの写真雑誌を見慣れている人が見ると「えっ、この写真のどこがいいの?」と思うくらい、フツーなのだ。いやむしろ、写真をはじめたばかりの人が撮ったような「主題」のない失敗写真にすら見える。
この写真群をよみ解くカギは彼のつぎのことばだ。
「見るという行為に身をゆだねると、取り留めのない記憶や、さまざまな意識が浮かんできて、やがてひとつのうねりの様な感情をもたらすことがある」
たしかに過去に見た風景と目のまえの風景とが重なって、むかしの記憶がよび覚まされることがある。その場所がおなじ場所でなくとも、よく似ているというだけでその時のことがよみがえってくる。

そういう意味では鈴木氏の写真は高度に抽象化された風景写真なので、見る人が自分の記憶のなかからよく似た風景を検索し、勝手にその写真と結びつけて見てしまうのかもしれない。
わたしとEさんとFさんの良かったという写真がまったくちがっていたのは、それぞれが今まで見てきた風景がちがうからだと思う。
ちなみに鈴木氏の写真はすべて8×10インチもあるフィルムカメラで撮られたものだが、そのテクニックを見せずに純粋に写真に写っているものだけを見せている。そこが痛快でもある。

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