B)立山~劒岳Ⅱです。
▲8月7日(3日目)
劒岳をピストンし、室堂へ下る行程です。
北アルプスの南の重鎮を穂高だとすれば、北の俊英は剣岳であろう。
層々たる岩に鎧われて、その豪宕(ごうとう:気性が雄大で小事にかかわらいこと)
峻烈、高邁の性格は、この両巨峰に相通じるものがある。
大学山岳部が有能な後継者を育てるための夏季合宿、精鋭を誇るクライマーの
クラブが困難なルートを求めて氷雪に挑む道場を、たいていはこの穂高か剣に選ぶ
のも故あるかなである。
~中略~ まことに剣岳は、そんな昔から、それを仰ぐ人々の心を高揚する山である。
何よりその風采の豪毅にして颯爽たる点である。
日本アルプスの高峰にはそれぞれの風格があるけれど、一つの尖端を頂点として
胸の透くようなスッキリした金字塔を作っているのは、この剱岳と甲斐駒ケ岳ぐらいであろう。
【日本百名山:剱岳より引用】
3:15 星がまたたく中、ヘッドランプを点灯しサブザックで歩き出す。
先行するパーティーのライトが行く手を照らしている。
昨夜劒岳を登るにあたってガイドから注意があった。
①両手をフリーにすること。
②歩行中のカメラ撮影は禁止。 の2点である。
カメラ撮影を制限されるのは本意ではないが、従う。
:剣山荘
剣山荘(下山時に撮影)
雪渓を2カ所渡り、剣山荘へ、ヘッドランプに朝露に濡れたハクサンフウロが光っている。
ここを過ぎると「一服剣」への登りがはじまる。
4:20 一服剣(2618m)へ、夜はまだ明けない。
前方に「前剣:2813m」があるのだが闇の中。
前剣への登りは傾斜もきつく、足場も悪い、落石にも注意が必要だ。
(下山時の事故が最も多いところだと聞いている)
後立山の夜明け
:前剣への登り
5:20 前剣(2813m)へ、朝日も高く登り、周囲の山々が姿を見せる。
剣本峰
立山三山(奥)
鹿島槍ケ岳
前剣を下り、「平蔵のコル」の鎖場へ、このあたりから一方通行になる。
足場もしっかりしているし、高度感もない、むしろ下りが怖い感じだ。
一度登り、岩場を下ると、カニノタテバイが待っている。
:カニのタテバイ
6:55 カニのタテバイに、垂直に近い20m弱の登り、騒ぐことはなかった。
鎖に頼らなくても「足場も手掛かり」もある、鎖を使うことなく登った。
大きな岩を登れば、早月尾根(はやつきおね)との分岐だ。
北アルプス三大急登に数えられる早月尾根(馬場島から樹林を10時間歩く)歩いたこと
はないが、間違いなくNoの急登だろう。
:劒岳山頂
7:40~8:00 懸念された渋滞もなく、劒岳山頂に着いた。
ガスで周囲の眺望はかくれ何も見えない。
山頂には映画「点の記」で名をはせた三等三角点があった。
:カニのヨコバイ
8:20 最大の難関カニノヨコバイへ。
まず垂直に下り、カニノヨコバイに入る際、足の置き場を間違えると、前に進まない。
(ステップを変更するだけのスペースがないのだ)
ここは降りる前に、ガイドがうるさく何度も繰り返していた。
無時鎖にサポートしてもらい歩く、下が見えるので恐怖感もある。
最後に垂直に架けられた梯子を降りて着地。
:平蔵のコル
平蔵のコルを登り返し、9:30 前剣へ戻る。
:前剣
ここからの下りが一番事故の起きる場所、気合いを入れて下る。
こんな急登を登ってきたのかと感じさせる登山道。(夜明け前、暗くてわからなかった)
落石が怖い、常に人が歩く道を辿れば問題ないが、追い越したりすると、トレースを
踏まないので落石を起こす可能性が大きくなる。
10:20 無事一服剣へ。
ここからの下りでカメラが解禁された。ここから続くお花畑を”どうぞ”という配慮か。
:タテヤマリンドウ :ハクサンフウロ :イワツメクサ
:剣沢
11:05 剣沢小屋に帰ってきた。
11.5時間の歩程、久しぶりに充実感に満たされた劒岳ピストンだった。
カレーライスの昼食、麦茶で喉を潤し、杯おかわりをした。
12:15 雷鳥沢へ向かう。
昨日霧雨のなか、明日の天気を気にしながら降りた道、肩にかかるリュックは重いが、
足は元気だ。
:コケモモ :ヨツバシオガマ :トウヤクリンドウ
13:20 剣御前小屋へ、後は雷鳥沢へ下るのみ、歩程は1時間とある。
ガスが出てきた、下界の雷鳥沢は晴れている。
雲の動きは急だ、下りはじめると”にわか雨”が落ちてきた。
称名川を渡り雷鳥沢のキヤンプサイトを抜けて、14:45 ロッジ立山連峰へ。
地熱で沸かした温泉(めっちゃ熱かった)で汗を流し、達成感を味わった。
**
行程:登り標高差500m、約8km、約14時間
3:15 剣沢小屋 ⇒4:20 一服剣 ⇒5:20 前剣 ⇒(カニノタテバイ)
⇒7:20~7:50 劒岳山頂 ⇒8:20(カニノヨコバイ) ⇒9:30 前剣
⇒10:25 一服剣 ⇒11:05~12:15 剣沢小屋・昼食
⇒13:20 剣御前小屋 ⇒14:45 ロッジ立山連峰
日本百名山66 劒岳 完登
***
■8月8日(最終日)
立山連峰ロッジ~みくりが池~室堂ターミナル=新宿へ戻る。
7:00 立山連峰ロッジを出て、みくりが池周辺を散策。
みくりが池と立山
大日岳(左)と奥大日岳(右)、手前は地獄谷
浄土山
:イワギキョウ :ヤマハハコ :キンポウゲ
:チングルマ
:イワショウブ :ミヤマホツツジ :ミヤマダイモンゾソウ
みくりが池周辺の花たちです。
:partner
縦走しか出番がない、45Lのリュックです。
8:40 定刻通り室堂ターミナルを発ち、16:15 猛暑の新宿へ戻った。
twins
何やら楽しそうに話をしています。
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