91年東宝作品。森田芳光というのは「家族ゲーム」や「(ハル)」という傑作はあるものの、全体として“ちょっと変わった作風を持つだけの監督”に過ぎないのだが、けっこうコンスタントに仕事が舞い込んで来るというのはいったいどういうわけだ。興行に関しても森田の映画は大ヒット作はないというのに・・・・。思うに、これは彼の人脈の広さと、何となく“いま風の演出家”と思わせる自己宣伝のうまさ(つまりは世渡りのうまさ)に起因しているのではないか。もちろんその陰で才能はあるのに映画を撮らせてもらえないベテランや若手が大勢いるわけだが、こんなことが許されている日本の映画界はまったくおめでたいところである。
さて、珍しく35ミリ・スタンダードサイズで撮られた本作は、三田佳子と斉藤由貴の母娘が“結婚”をめぐって対立(というほどのものでもないが)するドラマである。美人の未亡人と彼女にいまだ恋心を抱く亡き夫の3人の友人、嫁ぐ娘とそれを見守る母親、という構成を見て明らかなように、これは小津安二郎監督の「秋日和」(昭和35年作)から設定をそっくりいただいている。しかし、当然というべきか、人間の孤独に厳しく迫った小津作品の深みとは比べるのも恥ずかしい出来だ。
要するにこれは、“男性結婚受難時代(実際は少し違うと思うのだが)におけるウマ味のある結婚とは何か”といった三流女性週刊誌が喜びそうなネタを“天才・森田”が東京都内のおしゃれなデート・スポットを紹介しながら軽薄にフィルムを垂れ流すトレンディ・ドラマなのである。こんなものはテレビでいくらでもやっており、カネを取って劇場でやるもんじゃない(ま、結婚を前にした若いカップルのための冠婚葬祭入門にはなるかもしれないが)。加えて三田佳子のクサイ台詞廻しと斉藤由貴のワンパターン演技。実にくだらない映画である。
“適齢期のアナタ!おいしい結婚をするんだったらこの映画は要チェックよ”というのがこの作品の公開当時の宣伝文句だが、“別にチェックしなくてもおいしい結婚する奴はちゃんとします。少なくとも不愉快な思いはしなくてすみます”と言い替えたくなってくる(-_-;)。
さて、珍しく35ミリ・スタンダードサイズで撮られた本作は、三田佳子と斉藤由貴の母娘が“結婚”をめぐって対立(というほどのものでもないが)するドラマである。美人の未亡人と彼女にいまだ恋心を抱く亡き夫の3人の友人、嫁ぐ娘とそれを見守る母親、という構成を見て明らかなように、これは小津安二郎監督の「秋日和」(昭和35年作)から設定をそっくりいただいている。しかし、当然というべきか、人間の孤独に厳しく迫った小津作品の深みとは比べるのも恥ずかしい出来だ。
要するにこれは、“男性結婚受難時代(実際は少し違うと思うのだが)におけるウマ味のある結婚とは何か”といった三流女性週刊誌が喜びそうなネタを“天才・森田”が東京都内のおしゃれなデート・スポットを紹介しながら軽薄にフィルムを垂れ流すトレンディ・ドラマなのである。こんなものはテレビでいくらでもやっており、カネを取って劇場でやるもんじゃない(ま、結婚を前にした若いカップルのための冠婚葬祭入門にはなるかもしれないが)。加えて三田佳子のクサイ台詞廻しと斉藤由貴のワンパターン演技。実にくだらない映画である。
“適齢期のアナタ!おいしい結婚をするんだったらこの映画は要チェックよ”というのがこの作品の公開当時の宣伝文句だが、“別にチェックしなくてもおいしい結婚する奴はちゃんとします。少なくとも不愉快な思いはしなくてすみます”と言い替えたくなってくる(-_-;)。
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