元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

雑誌付録のアンプを鳴らしてみた。

2014-01-26 06:45:57 | プア・オーディオへの招待
 音楽之友社が発行している雑誌に「stereo」というオーディオ専門の月刊誌がある。創刊は1963年と古く、私もオーディオに興味を持ち始めた若い頃にはよく購読していたものだ。しかし、バブル崩壊後のオーディオ不況に加え、インターネットの普及により製品情報がいくらでも入手出来るようになり、オーディオ雑誌に書かれた評論家の意見も“(個別の事情による)主観的な意見”に過ぎないということが丸分かりになってしまった昨今、買ってまで読む価値は見出せない。立ち読みで十分だと思う。

 ところが、そんな状況の中で少しでも売り上げを伸ばすべく、今では出版社側で雑誌に付加価値を設定するようになった。以前から良くあったのがオーディオチェック用のCD付録だが、最近はケーブル等のオーディオアクセサリーがセットになっている例がある。ところが2014年1月号のstereo誌の付録は、何とアンプだ。この号だけが3,700円と値が張るが、それでもその価格でアンプが手に入るとは、面白い時代になったものである。私も思わず買ってしまった。



 このアンプの型番はLXA-OT3というもので、音楽之友社が監修して製造はLUXMAN社が担当している。手の平に載るようなコンパクトサイズで、筐体も無く基板が剥き出しである。だが、出力が12W×2(8Ω)もあり、たいていのパッシヴ型スピーカーは接続可能だ。

 さて、実際に接続してスイッチを入れると、驚くことにちゃんと音が出る(当たり前だ ^^;)。しかも、十分な音圧が確保されている。もちろん、普段使っている単体のプリメインアンプと比べれば、情報量・解像度共に差を付けられてしまう。レンジ感もイマイチだ。しかし、どちらかと言えばクールな音調のリファレンスのアンプとは異なり、この小型アンプは積極的な鳴り方をする。つまりは独自の“色”を持っているという意味で、いつも聴いているスピーカーから少し違う音が出てくるのはけっこう楽しい。

 別売りで筐体も用意されているらしい。また、電気工作に関して腕に覚えのある向きは改造に乗り出すことだろう。まあ、根っからの文系で手先も物凄く不器用な私には縁の無い話だが(苦笑)、それでもこのような付録には興味を惹かれる。今後もしもアンプを修理に出すことがあれば、その間は予備機として使いたい。



 このような小型アンプの製造が可能になったのは、高効率、低発熱、小消費電力であるデジタルアンプの技術がモノを言っているのは確かだ。当然のことながら“デジタルアンプだから(従来機よりも)音は良い”ということもなく、それどころかオーディオの音自体が昔に比べて大きなイノベーションを達成しているとも思えない。でも、省エネがトレンドの時代にはこういうテクノロジーは不可欠のものだろう。いつまでも図体がデカくて電気代ばかり食う機器が大手を振って罷り通るわけでもないと思う。

 あと、製造元のLUXMANもこういう製品を作れるのならば、昔のように安価なモデルもリリースして欲しい。オーディオが退潮傾向になってアンプの入門機の選択幅が狭くなって久しい。伝統ある老舗がここらで奮起してもいいと思う。高級ブランドとしてのLUXMANにそれが似合わないのであれば、別の銘柄で発売しても良いかもしれない。
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