(原題:IL TRADITORE)イタリア製のギャング・ストーリーなので、血で血を洗う抗争劇とキレの良いアクション場面の連続かと期待していたのだが、それはあっさりと裏切られる。もちろん、非情な悪者どもの跳梁跋扈は見られるが、実話を基にしているだけに娯楽作品向けのケレンやカタルシスは影を潜めている。個人的には好きな映画ではない。
80年代初頭のシチリアでは、マフィア同士の争いが激化していた。何とか各勢力を仲裁して“休戦”に持ち込もうとしたパレルモ派の重鎮トンマーゾ・ブシェッタだったが、それは失敗に終わる。彼は妻子と共にブラジルに逃れたが、シチリアに残った親族や仲間たちは敵対するコルレオーネ派により皆殺しにされる。逃亡先のリオデジャネイロから別の場所に移ろうとしたブシェッタだったが、その前にブラジル当局に逮捕され、イタリアに引き渡される。
一方、マフィアを撲滅させようとする判事のファルコーネは、ブシェッタに捜査協力を依頼。最初は躊躇っていたブシェッタだが、判事の真摯な姿勢に動かされ、犯罪組織コーザ・ノストラの実相を告白する。80年代から90年代前半にかけて展開した、イタリア政府当局とマフィアとの“戦争”を描く実録ドラマだ。
冒頭にも述べたように、本作にはギャング映画らしい派手な場面はほとんどない。ではその代わりに何があるのかというと、裁判のシーンだ。しかもこれが2時間40分もの上映時間のうち、かなりの割合を占める。この法廷場面はけっこう興味深い。
広い会場には法曹関係者が数多く集められ、その後ろには牢屋があって容疑者が詰め込まれている。そして囚人たちや傍聴席からは、容赦ない突っ込みや怒号やヤジが飛び交う。実際にどうなのかは知らないが、なかなか面白い構図ではある。しかし、そこで繰り広げられる裁判劇は一本調子で工夫が無く、観ている側は眠気との戦いに終始するハメになる。
マルコ・ベロッキオの演出は起伏に乏しく、また登場人物が多すぎて名前を覚えるヒマもなく次々と“退場”していくのだから閉口してしまう。主演のピエルフランチェスコ・ファヴィーノは面構えが良く、パフォーマンスも達者。ルイジ・ロ・カーショやマリア・フェルナンダ・カンディド、ファブリツィオ・フェラカーネ、ファウスト・ルッソ・アレジとそれらしい佇まいの俳優をズラリと並べていることは評価したいが、あまり効果的に動かされているとは思えない。
80年代初頭のシチリアでは、マフィア同士の争いが激化していた。何とか各勢力を仲裁して“休戦”に持ち込もうとしたパレルモ派の重鎮トンマーゾ・ブシェッタだったが、それは失敗に終わる。彼は妻子と共にブラジルに逃れたが、シチリアに残った親族や仲間たちは敵対するコルレオーネ派により皆殺しにされる。逃亡先のリオデジャネイロから別の場所に移ろうとしたブシェッタだったが、その前にブラジル当局に逮捕され、イタリアに引き渡される。
一方、マフィアを撲滅させようとする判事のファルコーネは、ブシェッタに捜査協力を依頼。最初は躊躇っていたブシェッタだが、判事の真摯な姿勢に動かされ、犯罪組織コーザ・ノストラの実相を告白する。80年代から90年代前半にかけて展開した、イタリア政府当局とマフィアとの“戦争”を描く実録ドラマだ。
冒頭にも述べたように、本作にはギャング映画らしい派手な場面はほとんどない。ではその代わりに何があるのかというと、裁判のシーンだ。しかもこれが2時間40分もの上映時間のうち、かなりの割合を占める。この法廷場面はけっこう興味深い。
広い会場には法曹関係者が数多く集められ、その後ろには牢屋があって容疑者が詰め込まれている。そして囚人たちや傍聴席からは、容赦ない突っ込みや怒号やヤジが飛び交う。実際にどうなのかは知らないが、なかなか面白い構図ではある。しかし、そこで繰り広げられる裁判劇は一本調子で工夫が無く、観ている側は眠気との戦いに終始するハメになる。
マルコ・ベロッキオの演出は起伏に乏しく、また登場人物が多すぎて名前を覚えるヒマもなく次々と“退場”していくのだから閉口してしまう。主演のピエルフランチェスコ・ファヴィーノは面構えが良く、パフォーマンスも達者。ルイジ・ロ・カーショやマリア・フェルナンダ・カンディド、ファブリツィオ・フェラカーネ、ファウスト・ルッソ・アレジとそれらしい佇まいの俳優をズラリと並べていることは評価したいが、あまり効果的に動かされているとは思えない。