元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

バブル時代の思い出。

2021-08-08 06:57:27 | 時事ネタ
 最近、テレビをつけても大して面白い番組はやっていないので、定額制配信サービスによる映画やYouTubeなどのネット動画をテレビで見ることが多くなった。その中で、とても印象的だったプログラムがある。それは、80年代後半の、いわゆるバブル時代にオンエアされていたTVCMを集めたものだ。

 いずれもカネがかかっており、有名タレントを惜しげもなく投入。見ているだけで何だかリッチな気分になってくる(笑)。特に某清涼飲料メーカーのCMシリーズには感動すら覚えてしまった。

 そのCMには有名芸能人は出てこない。市井の人々や、一般人に扮したモデルと思しき若い男女だけだ。しかし、その映像(および音楽)が醸し出す高揚感はただものではない。とにかく、皆幸せそうな顔をして人生を楽しんでいるように見える。一般人とはいっても、身なりはキチンとしており、ファストファッションに身を包んだ者など一人もいない。デフレ下の現在から見れば別世界だ。

 バブル景気の時期は、私はただの若造だった。バブルの恩恵は我が家には及んでいないようで、父親の給料が大きく上がることは無かった。しかも地方暮らしだったので、テレビで見かけるような金廻りのよさそうな連中とは、まるで縁がなかった。そして内心では“こいつら、浮かれやがって”という苦々しい思いが渦巻いていたのである(笑)。

 しかし今から考えると、そんなルサンチマンは的外れであったことが分かる。あの頃だって、誰しも困ったことの一つや二つ抱えていたはずだ。私も、当時は学業面や仕事面では愉快ならざる状況に陥ったことがある。それでも胸の内では“まあ、何とかなるんじゃないか”と楽観的に構えていて、世の中全体もそういう雰囲気だった。そして実際、何とかなっていたのである。

 バブルの恩恵を受けなかった者など、存在しなかったのではないかと思う。たとえ収入が大幅アップしなくても、海外旅行や大型レジャーを楽しんでいなくても、世の中全体が“何とかなる。見通しは明るい”という前向きなトレンドに振れていれば、捨て鉢な気分になる者などあまりいなかったはずだ。

 対して現在は、バブル崩壊から約30年も経つのに相変わらず景気は悪いままだ。加えて昨今のコロナ禍においては、各国が積極的な経済対策をおこない景気を支えているにも関わらず、日本だけが遅れを取っている。

 経済面で無策な自公政権が今も続いているのは、もちろん“低い投票率(組織票の効果)”に支えられていることもあるが、出口の見えない低迷状態により国民の間に“諦め”の空気が充満してしまったのも事実だろう。しかも、40歳以下の若年層は“景気が良いときの日本”を知らない。現在の暗鬱な状態が“普通”だと思っている。それに追い打ちをかけるように“日本は人口減少と衰退を引き受けるべきであり、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい”という意味の極論を展開する識者もいる始末だ。

 とにかく、バブル経済自体には何かと批判もあったようだが、バブルだろうが何だろうが、好景気の方が不況より良いに決まっている。景気が良くなれば、社会問題の大半は解決したも同じなのだ。

 その意味でも、次の選挙では積極財政を提唱する候補者を支持したい。財政均衡主義や構造改革優先などという妄言を並べる者は、お呼びではない。そしていつの日か、くだんのバブル期のCMで描かれた世界のように、皆が笑って暮らせる世の中が到来すればいいと思う。
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