元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「フリーダ」

2010-09-03 06:34:02 | 映画の感想(は行)
 (原題:Frida )2002年作品。20世紀前半に活躍したメキシコの女流画家フリーダ・カーロの伝記映画。10代の頃に遭遇した瀕死の重傷からのカムバックと、それに伴う生涯30回以上の手術をはじめ、高名な壁画家ディエゴ・リベラとの奔放な愛や革命家トロツキーとの出会い、バイセクシャルな性行などを一点の甘さもなく描き、まさに“嵐のような孤高の生涯”をスクリーン上に活写した監督ジュリー・テイモアの覚悟のほどが見て取れる一本だ。

 テイモアは舞台「ライオン・キング」の演出家として知られるが、初めて映画を手掛けた前作「タイタス」よりも技量は格段の進歩を遂げ、ヘタをすれば浮いて見える映像ギミックもここではガッチリとドラマとかみ合っている。

 手術シーンでのパペット・アニメこそ外し気味だが、ヒロイン達がニューヨークに旅立つ際に使われるコラージュ手法や、CGを使った絵画から実写場面への変化処理など、挿入のタイミングが実に上手く、ストーリーにアクセントを付けている。

 しかし個人的にはフリーダの絵は好みではないし、メキシコの風俗にも馴染めず、そもそもこういう痛々しい人生を“これでもか!”と強調する作劇に少し“引いて”しまうのも確か。主演女優サルマ・ハエックがあまり好きなタイプではなかったことも大きいと思う(力演ではあるけどね)。完成度は高く美術面でも見応えはあるが、好き嫌いで個々人の評価が分かれる映画だろう。
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「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」

2010-09-02 06:34:36 | 映画の感想(た行)

 (原題:The A-Team)キャラクター設定やアクション場面は随分と脳天気であるのに対し、ストーリーラインがさほど脳天気ではないのが不満である(笑)。往年のTVシリーズ(私は未見)の映画化で、アメリカ陸軍レンジャー部隊のハミ出し4人組が、フセイン派の残党が作成した偽ドル札の原版をめぐる争奪戦に乱入。程度を知らない大暴れを展開するというハナシだが、どうも“敵役”の正体がハッキリしないのだ。

 CIAの不穏分子が原版の横取りを画策しているらしいというのは分かるが、こいつらが軍に対してどういう影響力を持ち合わせているのかは説明が不十分。さらに別に一匹狼のようなCIAのエージェントがいて、勝手に動き回っているのだから事態は複雑だ。考えてみれば、斯様な混迷を前にしてCIAの当局側が有効な手立てを講じないというのも不可思議である。

 作者としては中東問題に色目を使って今日性を強調させたかったのだろうが、活劇映画で安易に扱われるほど現在の国際情勢はシンプルではない。おかげで映画が終盤になっても、カタルシスが一向に感じられないのだ。もっと単純な話で良かったのではないか。

 こういう“外見”の映画では、込み入ったストーリーは不要だ。相手をテロリストグループとかマフィアとか、そういう“誰が見ても悪だ”と合点する連中に設定し、ドンパチを延々と展開すれば大方の観客は満足する。シンプルな作りに徹していないのが、あまり気勢が上がらない原因である。

 それでも、アクションシーンの荒唐無稽さは、笑ってしまうほどだ。戦車に乗ったままパラシュートで降下したり(しかも、その途中で戦闘機と交戦)、ビルの壁面を垂直に駆け下りながらの銃撃戦など、完全に物理法則を無視した場面が臆面もなく展開される。ただ、敵地への潜入シミュレーションに実戦がクロスするシークエンスは大して盛り上がらない。監督ジョー・カーナハンの中途半端な“映像派”ぶりが足を引っ張っている。

 主演のリーアム・ニーソンはテレビ版のジョージ・ペパードよりもハンサム度は少し落ちるのかもしれないが(爆)、十分絵になっていると思う。ブラッドリー・クーパー、クイントン“ランペイジ”ジャクソン、シャールト・コプリーといった他のメンバーも悪くはない。しかし、ヒロイン役のジェシカ・ビールは出番は多いのに見せ場が少なくて不満。敵役も貫禄不足だ。まあ、続編の作成を匂わせるような雰囲気なので、次回は頑張ってくれるのかもしれない。あまり期待せずに待つことにしよう(笑)。
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CDショップの閉店。

2010-09-01 06:35:49 | 音楽ネタ

 去る8月31日付で、福岡市博多区の大型商業施設「キャナルシティ博多」の中にあるCDショップ・HMVキャナルシティ店が閉店した。同店舗は96年のキャナルシティのオープン当初からテナントとして入っていたが、売り上げ減による撤退を余儀なくされたと思われる。

 以前はHMVはキャナルシティ店以外にも福岡市内に3店を展開していた。中央区天神のビブレ店はかなり大型で、一時は私も贔屓にしていたものだ。あと博多駅ビルの井筒屋デパートの中にあるショップも広かったし、ドーム球場に隣接したホークスタウンにも店はあった。ところが近年次々とクローズし、残ったキャナルシティ店も終焉を迎えてしまった。北九州市にある店舗もいずれ閉めるとかで、これで福岡県からはHMVは姿を消すことになる。

 もっとも、渋谷のHMVも閉店するぐらいだから地方店がそれに倣うのも当然なのかもしれない。

 これで福岡市内の大型CDショップはタワーレコードだけになってしまった。昔はTRACKSという大きな店もあったが、入居していたビルの経営主体が変わったために早々に店を畳んでいる。岩田屋デパートに入っていたヴァージン・メガストアの閉店も同時期だった。

 これらの背景には、全体的なCD不況があることは否めない。手軽さにおいてネットでのダウンロードには敵わない。私の周りの若い連中に聞いても、音楽用CDを買ったことすらない者も珍しくはないのだ。

 そもそも音楽愛好者の絶対数が減っているのではないだろうか。私が若い頃には音楽がなければ生きていけないような奴が周囲にいっぱい存在したものだが、今では様変わりしているようだ。タワーレコードに来ている客を見ていても、平均年齢はかなり高い。特に洋楽のコーナーなんか、私のようなオッサンばかりが目立つ(爆)。

 元より私には“日本人はあまり音楽が好きではない”との持論がある。それでも音楽文化が徐々に浸透して90年代初頭あたりをピークにしてかなりの数の音楽ファンが存在していたと思われる。しかし、折からの不況がそれに冷水を浴びせる。手持ちのカネが少なくなれば、必要度の低い順番から消費項目は削られていく。音楽ソフトに掛ける費用がその一つだったというわけだろう。

 とにかく、CDショップが減っていくことは寂しい。これからは私もネット通販で音楽ソフトを購入することが多くなるのだろう。いささか面倒ではある(-_-;)。
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