猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

エレファント・ソング

2016-07-11 04:59:45 | 日記
2014年のカナダ映画「エレファント・ソング」。
マイケル(グザヴィエ・ドラン)は14歳の時オペラ歌手である母親が目の前で自殺
し、それ以来精神病院に入院している。病院で1番の問題児とされている彼は、ゾウ
にまつわるあらゆることに異常な執着を示した。ある日、担当医のローレンスが失踪
する。手掛かりを知るのはマイケルだけ。彼のことをよく知る看護婦長のピーターソン
(キャサリン・キーナー)は「マイケルは茶化すだけで真実を話さない」と助言するが、
院長のグリーン(ブルース・グリーンウッド)は事情聴取を試みる。マイケルは話す代
わりに"1. 僕のカルテを読まないこと。2. ご褒美にチョコレートをくれること。3. 看護婦
長をこの件から外すこと。"という条件を出してきた。条件を飲んだグリーンだが、マイ
ケルはゾウやオペラについての無駄話や、「母親を殺した」「ローレンス医師から性的
虐待を受けていた」など、嘘か本当かわからないような話でグリーンを翻弄する。

珍しくグザヴィエ・ドランが監督をせず俳優に徹している、ミステリー仕立ての人間ド
ラマである。どうでもいいがグザヴィエという字は1度で変換できないものか。2度も
書き直さないといけないので、イラッとする。とにかく精神病院の患者マイケルと院長
グリーンの心理戦なのである。若き天才グザヴィエ・ドランと、カナダの名優ブルース・
グリーンウッドの対決が見ものである。
突然失踪した、マイケルの担当医ローレンス。彼を最後に見たのはマイケルで、マイ
ケルは何らかの事情を知っている。グリーンにそれを話す代わりにマイケルは奇妙
な条件を3つ出してくる。しかしこの条件はラストに向けての重要な伏線になっている。
ピーターソンが言った通り、マイケルはふざけてばかりでまともに話をしようとしない。
それに忍耐強く対応するグリーン。この会話劇は人によっては退屈かもしれないが、
私にはとても興味深くおもしろかった。
マイケルが子供の時、父親が目の前でゾウを射殺するシーンがあるのだが、残酷
極まりなく、ショッキングだ。あれは密猟をしていたのだろうか。マイケルがゾウに
異常に執着するするようになったのはあれからなのだろう。私だってあんな光景を
見たらトラウマになる。
人に愛されなかったマイケルの心中を思うと、たまらない。子供の目の前でゾウを
虐殺した父親。目の前で自殺した母親。両親はマイケルを愛さなかったのだ。あま
りにも悲しいラスト。グザヴィエの熱演が光る映画だった。



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マッチポイント

2016-07-08 05:16:36 | 日記
2005年のイギリス映画「マッチポイント」。
アイルランド出身のプロテニス選手のクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、
自分のキャリアに限界を感じ、人生を変えたいと思っていた。彼はロンドンのある
テニスクラブで教えるようになり、ハンサムな上流階級出のトム(マシュー・グッド)
と親しくなったことがきっかけで、トムの裕福な家族とも交友を深め始め、オペラ
鑑賞などにも誘われるようになる。そのうちクリスはトムの妹クロエ(エミリー・モー
ティマー)と付き合うようになるが、一方でトムの婚約者で、アメリカからやってきた
女優志望のノラ(スカーレット・ヨハンソン)にも強く惹かれていく。

ウディ・アレン監督の恋愛サスペンス映画である。これもずっと前に観たことがあ
るのだが、やはりおもしろかった。簡単に言えば不倫の物語である。クリスはクロ
エと結婚を前提に交際しながら(と言うより周りがそういう雰囲気でいる)、トムの
恋人のノラにも惹かれていく。上流階級のお嬢様なクロエと違い、ノラは奔放で
セクシーなタイプである。トムの母親がノラのことを売れない女優だとかアメリカ人
だとかで結婚に反対していたが、イギリス人のアメリカ人に対する偏見を感じた。
それに、私はよく知らないけれど、イギリスは裕福でアイルランドは貧乏なのか?
とも思った。そういうイメージなのかな。
結局クリスはクロエと結婚し、クロエの父親からもとても気に入られて、父親の会
社でいい地位を与えられる。クリスは次第に上流階級の仲間入りをしていくのだ。
だがそんなある日、クリスはトムがノラと別れて次の恋人ができたことを知る。ク
リスはノラの行方を必死に捜す。そして再会が叶った時から運命の歯車は狂って
いく。
クリス役の俳優が特別ハンサムでもなく、普通の感じなのがいい。普通に生きて
きた青年が、泥沼にはまっていくところがいいのだ。この映画では「運」という言葉
が頻繁に出てくる。クリスがトムと出会ったのも運。クロエと結婚して裕福な生活
を手に入れられたのも運。ならばラストも運なのか?
この映画でのスカーレット・ヨハンソンはとても美人だが、最近はCMなどで見ても
それ程きれいに見えない。なんか顔が変わってしまった感じがする。まあとにかく、
解決せずに後味が悪いのがヨーロッパ映画のいいところですよ。



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恐怖のメロディ

2016-07-05 04:18:27 | 日記
1971年のアメリカ映画「恐怖のメロディ」。
デイブ(クリント・イーストウッド)はKRMLラジオのスターDJだった。恋人トビーが
突然彼の前から姿を消す。デイブの放送が始まると、決まった時間に若い女が
「ミスティ」という曲をリクエストしてくる。ある日デイブは、バーで出会った美女が
リクエストをしていた女・イブリン(ジェシカ・ウォルター)だとわかり、トビーのこと
を忘れられないまま、一晩限りという約束で関係を持ってしまう。しかしイブリンは
勝手にデイブの部屋に押しかけてくるようになる。数日後、デイブは町に戻って
きたトビーと再会し、お互いの愛を確認する。だがイブリンの態度は常軌を逸して
くる。

クリント・イーストウッドの初監督・主演作品。昔観たことがあるが、やっぱりおも
しろかった。まだストーカーという概念も言葉もない時代に作られた、ストーカー
もののサイコ・サスペンスである。これが初監督作品って、イーストウッドという
人はかなり昔から監督の才能を持っていたんだなあ。
イブリンという女はストーカーの典型。デイブは去っていったトビーのことをまだ
想っているので、「一晩だけ。深入りはしない」という約束をして、イブリンと関係
を持つ。しかしデイブのことを本気で好きになったイブリンは、頻繁に彼の前に
現れるようになる。勝手に食材を持って家に来たり、激しい嫉妬心からデイブの
仕事のチャンスを潰してしまったりする。どうしてストーカー気質の人って、人の
話を聞かずに自分の言いたいことだけ主張するのかな。どうして自分が愛され
ていると思い込むのだろう。どこで異常になってしまうのだろう。
イーストウッドもいいが、イブリン役のジェシカ・ウォルターの迫真の演技が凄い。
私はこの人を知らないけれど、行動も怖いけど表情も怖い。初監督作品にしては
よくできている映画だと思う。

ところでこの映画、NHKのBSで放送されたのだが、残り25分くらい?のところで
臨時ニュース(地震)が入り、画面の真ん中でそれが中継されるものだから、字
幕が隠れて見えない。「ちょっとお~」と思っていたら、とうとう「恐怖のメロディ
は後日放送します」という文字とともに、完全にニュースに切り替わってしまった。
今おもしろいところなんですけど!!BSプレミアムの映画まで潰さなきゃいけな
い?臨時ニュースはNHK総合だけで良くない?結局数日後に放送されたんだ
けど。
昔もあった。忘れもしない某年某地域で地震が起きた時、私はBSの映画を予約
録画していた。後日観ていたら、なんと始まって20分くらいのところで臨時ニュー
スに変わったのである。しばらくしたら映画に戻るかな?と思って観ていたが、
やがて「映画は後日~」の文字が。無茶苦茶腹が立った。災害が大変なのはわ
かる。でも、繰り返すけどBSプレミアムの映画まで潰さなきゃいけない?特別
報道番組はNHK総合だけで良くない?私の考え方っておかしいかな?



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