猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ハロウィン(2018年)

2020-04-29 22:27:57 | 日記
2018年のアメリカ映画「ハロウィン」。

2人のジャーナリストが40年前のハロウィンに起きた凄惨な殺人事件の真相を
調べていた。犯人の「ブギーマン」ことマイケル・マイヤーズ(ニック・キャッ
スル)は事件後ひと言も話さず、動機や感情は一切不明。事件の唯一の生き残り
であるローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)に話を聞いても収
穫はなかった。しかしローリーは再びマイケルが自分の前に現れることを予感し、
その時のためにひとり備えていた。そしてハロウィン前夜、精神病棟から患者を
移送する車が横転し、マイケルは逃亡してしまう。

ジョン・カーペンター監督による1978年の名作ホラー「ハロウィン」の40年後
を描いた直接の続編。今作の監督はデヴィッド・ゴードン・グリーンだが、ジョ
ン・カーペンターは製作総指揮を務めている。音楽ももちろんジョン・カーペン
ター、そして主演のジェイミー・リー・カーティスも製作総指揮に参加している。
私は「ハロウィン」が大好きなのだ。特に第1作は本当に怖くておもしろかった。
第1作で高校生だったローリーを演じたジェイミー・リー・カーティスも年を取
った。
ローリーは娘や孫とは疎遠になり、1人で暮らしている。いつか再びマイケルが
自分を殺しに来ると確信しており、家をあちこち改造して要塞のようになってい
る。そして日々射撃の訓練に励んでいた。家族はそんなローリーに愛想を尽かし
ているのだった。しかしある日、精神病院から患者を移送していた車が事故を起
こし、横転した車からマイケルが逃げ出し、再び街に解き放たれることになる。
マイケルの殺戮が始まった。
ハロウィンの日、ようやく事の重大さに気づいたローリーの娘家族はローリーの
家に向かう。殺人鬼によって人生を狂わされたローリーはマイケルと最後の闘い
をすることを決意し、ローリーの娘もマイケルの襲撃を母の妄想だと思っていた
が現実のものとなり、母に協力をする。
マスクをかぶったマイケルの姿は相変わらず不気味である。そしてマイケルと必
死に闘う年を取ったジェイミー・リー・カーティスがかっこいい。彼女はホラー、
コメディ、シリアスといろんな役ができる人だが、やはり「ハロウィン」はライ
フワークなのだろうなあ。残念なのはルーミス医師役のドナルド・プレザンスが
もう亡くなっていること。ずっとマイケルの主治医だったルーミス医師は主役並
みに存在感があった。彼の「マイケルは全く良心を持たない人間」という言葉は
重みがあり忘れ難い。本作はローリーと娘と孫の物語であり、おもしろかった。




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ぼくを葬(おく)る

2020-04-25 22:55:31 | 日記
2005年のフランス映画「ぼくを葬(おく)る」。

31歳の売れっ子カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、ある日仕事中に倒れ、
病院に搬送される。ゲイである彼は医師に「エイズではないか」と尋ねるが、エイ
ズではなく、癌で余命3ヵ月だと宣告されてしまう。ロマンはそのことを関係がう
まくいっていない両親と姉には言わずに、心を許している祖母(ジャンヌ・モロー)
にだけ打ち明けることを決める。そしてロマンは自らの運命を受け入れ、死と向き
合っていく。

フランソワ・オゾン監督作品。31歳のカメラマンのロマンは、ある日突然癌があち
こちに転移していて手の施しようがなく、余命3ヵ月だと診断されてしまう。ショ
ックを受けるロマンだが、やがて彼は運命を受け入れ、少しずつ死に向かっての準
備を始めていく。休暇を取り仕事を休むことにした彼は、同棲中の男性の恋人と別
れ、家族に会いに行く。だが家族とうまくいっていない彼は病気のことは言わずに、
ただ1人心を許している祖母にだけ打ち明けることにする。
静かに進行していく物語だ。ロマンは絶望に打ちひしがれることもなく、泣き叫ぶ
こともなく、淡々と運命を受け入れていく。まだ31歳…自分だったら、と考えてし
まう。ロマンのように残りの時間を生きていけるだろうか。ロマンは行きつけのカ
フェでウェイトレスに突拍子のない頼み事をされるのだが、考え抜いた挙げ句それ
も承知する。そしてそのことでロマンがとった行動は感動的だ。
私はロマンが祖母に会いに行くシーンがとても好きだ。自由奔放に生きてきた祖母
だが、ロマンは「僕とおばあちゃんは似ている」と言う。祖母が「どうして?」と
聞くと、ロマンは「もうすぐ死ぬから」と答えるのである。祖母は微笑む。祖母役
のジャンヌ・モローの登場シーンは少しだけなのだが、さすがに存在感がすごい。
ロマンは祖母の家に1泊しただけだが、そのエピソードが1番印象に残った。
ラストシーンもいい。キラキラ光る静かな海、波の音。寄せては返す波がロマンの
心を表しているようだった。いい映画だった。


良かったらこちらもどうぞ。フランソワ・オゾン監督作品です。
海をみる




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ヴィクトリア 禍いの家の花嫁

2020-04-21 21:59:45 | 日記
1986年のイギリス・ニュージーランド・オーストラリア合作映画「ヴィクトリア 
禍いの家の花嫁」。

1880年、ニュージーランド。孤児院で育ったヴィクトリア(ジョディ・フォスター)は
18歳で初対面の中年男性オリヴァー・トンプソン(ジョン・リスゴー)と結婚させられ
る。オリヴァーは食料品などを手広く扱っている実業家だった。ヴィクトリアはオリ
ヴァーの倉庫の見学などに同行させられるが、ちっとも興味が湧かない。ピアノを弾
いている時だけがヴィクトリアの心が休まる時だったが、そんな彼女を気にかけてく
れるオリヴァーの弟のジョージ(ダン・ショア)と惹かれ合うようになる。

ジョディ・フォスター主演のサスペンス映画。物語はヴィクトリア・トンプソン夫人
が裁判にかけられているところから始まる。夫殺しの容疑である。それからヴィクト
リアの回想によって物語は進んでいく。ヴィクトリアは孤児院で育ったが、18歳の時
中年の実業家のオリヴァーに気に入られ、院長によって結婚を決められてしまう。こ
の時代こういうことは珍しくはなかったのだろう。オリヴァーは裕福なのでヴィクト
リアは何不自由のない生活を送るのだが、教養がなく粗野なオリヴァーをどうしても
好きになれない。オリヴァーは若い女の子がいかにも嫌いそうなタイプなのだ。更に
オリヴァーの父親が女性差別主義者でとても感じの悪い人である。これもこの時代仕
方がなかったことなのかもかもしれない。
ある日オリヴァーと父親に責め立てられ、いたたまれなくなったヴィクトリアは部屋
を出る。別の部屋に入るが、そこでヴィクトリアは自分の部屋が見える覗き穴を見つ
け、ショックを受ける。オリヴァーはいつもその覗き穴からヴィクトリアの着替えを
覗いていたのだ。ヴィクトリアのオリヴァーへの嫌悪感は頂点に達する。観ていて1
番気持ち悪かったのは、オリヴァーがヴィクトリアに「鼻毛を切ってくれ」と言って
ハサミを渡すシーンだ。オリヴァーは決して悪人ではないが、変態趣味なのだ。これ
では妻から生理的に嫌悪されても仕方ないだろう。
裁判は進んでいく。ヴィクトリアの弁護側は「このかよわい女性がどうやって夫を殺
せるのか」と言い、検察側は「ヒ素を飲ませた」と主張する。果たしてヴィクトリア
は有罪になるのか無罪になるのか。この映画は実話に基づいているらしいが、物語は
あまり抑揚がなく盛り上がりも特にないので、それほどおもしろくはなかった。今で
は監督や製作もしているジョディ・フォスターがプロデューサーとして参加している。
彼女はかなり若い時から俳優業だけでなく映画製作にも関心があったのだなあ。ドレ
ス姿のジョディが美しかったが、30年以上前の映画とはいえ画質がかなり悪かった。
どうしてあんなに悪かったのだろう。




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ガール・オン・ザ・トレイン

2020-04-16 22:30:41 | 日記
2016年のアメリカ映画「ガール・オン・ザ・トレイン」。

レイチェル(エミリー・ブラント)は夫・トム(ジャスティン・セロー)と離婚し、職も
失い、あてもなく電車に乗り続ける日々を送っていた。レイチェルは電車の窓からト
ムと再婚した妻・アナ(レベッカ・ファーガソン)との新しい生活や、近所のスコット
(ルーク・エヴァンズ)とメガン(ヘイリー・ベネット)夫妻の暮らしぶりを覗き見てい
た。レイチェルにとってスコットとメガンは「理想の夫婦」に見えた。ある朝、電車
の窓からレイチェルの目に飛び込んできたのは、「理想の夫婦」であるメガンの不倫
現場だった。そして、間もなくメガンは失踪し、やがて死体となって発見される。唯
一の目撃者として、レイチェルに周囲から疑惑の目が向けられてしまう。

ミステリー映画。レイチェルはトムと結婚生活を送っていたが、なかなか子供ができ
ないストレスから酒を飲むようになり、アルコール依存症になっていた。それが原因
でトムの職場にも迷惑をかけ、トムは解雇されていた。レイチェルと離婚したトムは
浮気相手だったアナと再婚し、子供が生まれていた。レイチェルは孤独な生活の中で、
電車の窓から見えるトムの家の近くに住むスコットとメガン夫妻を理想の夫婦だと思
い、彼らに幸せだった頃の自分とトムの姿を重ねていた。ところがある日レイチェル
は、メガンの浮気現場を見てしまう。
初めの方は人間関係がよくわからなくて戸惑ったが、観ているうちにおもしろくなっ
てきた。だが主人公のレイチェルに全く共感できなかった。彼女はアルコール依存症
で、夫に迷惑をかけて離婚されてしまっている。更に彼女の行動はストーカーのよう
なもので、夫が再婚して暮らしている家を何度も訪れ、赤ん坊がいる再婚相手のアナ
はレイチェルに対して怯えていた。それに電車の窓から見えるスコットとメガンの夫
婦を理想の夫婦だと勝手に決めつけ、メガンが浮気しているのを知るとメガンを叱責
しようと出向くのである。知り合いでもない人によくそんなことを考えるものだ。と
ころがメガンを追いかけているとレイチェルは何故か気絶してしまい、気がつくと自
宅にいた。そして覚えのないケガもしていた。レイチェルはアルコール依存症のせい
で記憶を失くすことがあるのだ。その後レイチェルはメガンが失踪し、死体となって
発見されたことを知る。
最後にメガンと接触した人物としてレイチェルは警察に疑われる。レイチェルは記憶
を失くしているので、もしかしたら自分がメガンを殺したのかも?という疑惑に悩ま
される。この辺りはおもしろい。観ている方もまさか主人公が犯人ではないだろう、
と思いつつも、犯人の見当はつかない。そして独自に事件を調べていたレイチェルは、
メガンがアナの子供のシッターをしていたということを突き止める。メガンとアナが
つながったのだ。意外な展開で驚いた。
ラストも意外なものになる。この映画はレイチェル、アナ、メガンという3人の女性
の物語だ。もう1度言うがアルコール依存症で元夫に未練たらたらでストーカーもど
きのレイチェルを私は好きになれない。だがよく練られたストーリー展開で、なかな
かおもしろかった。お酒は飲みすぎるものではない。


私先日病院に行ったのですが(定期的に通院している)、非常事態宣言が発令されたた
め、商業施設やお店は軒並み休業していて、街は普段より人通りが少なかったです。
映画館もどこも休館して、観たいと思っていた映画も公開延期になってしまいました。
そして今日、全国に非常事態宣言が出されることになったそうです。
世界中で多くの人が感染し、亡くなっている新型コロナウイルス、本当に怖いです。
早くこの事態が終息するように願っています。




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白い闇の女

2020-04-11 22:40:31 | 日記
2016年のアメリカ映画「白い闇の女」。

ニューヨークで働く事件記者ポーター・レン(エイドリアン・ブロディ)は、パーティー
会場で美しい未亡人キャロライン(イヴォンヌ・ストラホフスキー)と出会う。彼女の夫
サイモン・クローリー(キャンベル・スコット)は映画監督だったが、不可解な死を遂げ
ていた。既婚者でありながらキャロラインと関係を持ってしまったポーターは、彼女か
ら奇妙な依頼を受ける。それは、キャロラインの夫が遺したビデオを見て欲しいという
もので、彼女は何故か警察の調書や現場写真まで持っていた。ポーターは危険な罠だと
勘づきながらも調査を進める。

サスペンス映画。新聞記者ポーターは、警察も捜し出せなかった行方不明の少女を見つ
けたことで有名になり、賞を獲っていた。そのポーターに、不審死を遂げた映画監督サ
イモンの未亡人キャロラインが近づき、夫の死の真相を探って欲しいと言う。ビルの解
体現場で発見されたサイモンの死体は腐敗が進み、死因の特定にも至っていなかった。
ポーターは美しく謎めいたキャロラインの魅力に抗えず、彼女と関係を持ち、調査を引
き受けることにする。
サイモンは多くのUSBメモリーを遺しており、そのほとんどが自分とキャロラインを隠
し撮りしたものだった。サイモンは大変ないたずら好きで、それもタチが悪かった。キ
ャロラインは何故早々に別れなかったのだろう。あんな夫と暮らしていたら気が休まら
ないだろうに。サイモンの行動を見ているとイライラした。
キャロラインはポーターの妻リサ(ジェニファー・ビールス)にも接近する。勘のいいリ
サは夫の浮気相手だろうと思い、それとなくその話をポーターにするシーンが静かに怖
い。勘の良さでは男は女に敵わないのだと思った。やがてポーターやその妻子までマフ
ィアに狙われるようになり、ポーターは焦り出す。だがポーターが辿り着いた事件の真
相は意外なものだった。
悪女と思われたキャロラインはそうではなく、結構不幸な人だった。彼女の夫も義父も
本当にクズである。見ていて胸が悪くなるほどクズっぷりはいい勝負だ。なかなかおも
しろかったが、何故キャロラインが夫の死の真相をポーターに探ってもらおうと依頼し
たのかがわからなかった。ラストシーンは胸に迫るものがある。キャロライン役のイヴ
ォンヌ・ストラホフスキーがとても美しく、リサ役のジェニファー・ビールスは懐かし
かった。




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