猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

探偵マーロウ

2025-01-30 23:24:56 | 日記
2022年のアメリカ・アイルランド・フランス合作映画
「探偵マーロウ」。

1939年、ロサンゼルス。探偵フィリップ・マーロウ(リーアム・ニー
ソン)の元を裕福そうなブロンドの美女が訪ねてきた。クレア・キャヴ
ェンディッシュ(ダイアン・クルーガー)という彼女の依頼は「突然姿を
消した愛人を捜して欲しい」というものだった。依頼を引き受けたマー
ロウだったが、映画業界で働いていたというその男ニコは、ひき逃げ事
故で死亡していることがわかる。マーロウはそれをクレアに伝えるが、
クレアは街でニコを見かけたと主張する。捜査を進めるにつれマーロウ
は映画産業が急成長するハリウッドの闇に飲み込まれていく。

推理作家レイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・
マーロウシリーズの映画化。マーロウを演じるリーアム・ニーソンにと
って映画出演100本目の記念作となる。1939年、ロサンゼルスに事務
所を構える探偵フィリップ・マーロウの元を見るからに裕福そうなブロ
ンド美女クレア・キャヴェンディッシュが訪ねてきて、「突然姿を消し
た愛人を捜して欲しい」と依頼する。マーロウはその愛人ニコの足取り
を追うが、映画業界で働いていたというニコはひき逃げの事故で死亡し
ており、殺人の可能性もあることがわかる。
それを知らせるためにマーロウはクレアの邸宅を訪ねるが、その邸宅は
ハリウッド女優ドロシー・クインキャノン(ジェシカ・ラング)の家だっ
た。ドロシーは資産家の夫との間にクレアを授かるが、女優としての名
声を守るためクレアを「姪」として育てていた。クレアはそんな母ドロ
シーに対して冷ややかで、夫のキャヴェンディッシュも財産目当てだと
言う。マーロウはクレアにニコが交通事故死していることを告げるが、
彼女は「ニコは生きている。メキシコのティファナで見かけた」と言い
切る。
マーロウはクレアの邸宅を去る時、ドロシーから声をかけられ、「娘か
らどんな依頼をされたのか」と探りを入れられるが、「守秘義務がある
」と何も言わなかった。そしてマーロウはニコの自宅へ向かうが、人気
はなく、2人のメキシコ人も彼の行方を捜しに訪ねてきたと隣人が教え
てくれた。マーロウは旧知の刑事バーニー(コルム・ミーニー)と共にニ
コの手掛かりを追うが、事情を知っていると見られるニコの妹は何者か
に拉致され、マーロウも襲撃され意識を失ってしまう。
どちらかと言うと地味な感じのミステリー映画だが、推理小説を読んで
いるようなおもしろさがあった。終盤はかなり動きがあっておもしろか
った。クレアやその母ドロシーのキャラクター造形も良かった。1939
年頃のアメリカの文化やハリウッドの映画製作についても興味深く観ら
れた。リーアム・ニーソンはフィリップ・マーロウの大ファンで、いつ
か演じたいと希望していて、今回それが叶ったそうだ。マーロウは過去
にいろんな俳優が演じていて、私は「マーロウ 最後の依頼」という映
画を観たことがあるが、その時のマーロウ役はジェームズ・カーンだっ
た。ジェームズ・カーンのマーロウはとても良かった。もちろんリーア
ムの兄貴も良かったけどね。









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満ち足りた家族

2025-01-24 23:40:31 | 日記
2024年の韓国映画「満ち足りた家族」を観に行った。

兄ジェワン(ソル・ギョング)は、道徳よりも利益を優先して生きてきた
弁護士で、殺人犯の弁護もいとわない。若い2人目の妻ジス(クローデ
ィア・キム)や高校生の娘らと共に高級マンションに住み、家事は家政
婦がこなす誰もが羨む暮らしだ。一方、小児科医の弟ジェギュ(チャン
・ドンゴン)は、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生き
てきた。年上の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)と高校生の息子と共に住む彼
は、認知症になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送
る。全く相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。2人はそれぞれの
妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にす
る。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟
家族同士の会話はどこかぎこちない。ディナーが行われた夜、ある事件
が起こり、満ち足りた日々を送る家族の歯車は狂っていく。

ソル・ギョングとチャン・ドンゴン共演のサスペンス。監督は「八月の
クリスマス」や「世宗大王 星を追う者たち」のホ・ジノ。兄は弁護士、
弟は小児科医。それぞれに美しい妻を持ち、息子、娘は間もなく大学生
になろうとしている、満ち足りた兄弟家族。兄のジェワンは道徳よりも
物質的な利益を優先して生きてきて、殺人犯の弁護もいとわない。一方
弟のジェギュは常に道徳的で良心的であることを信念に生きてきて、同
僚から患者の手術費が未払いになる可能性を指摘されても、治療の継続
を迷うことなく決める。
全く相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟だが、2人はそれぞれの
妻を伴って月に1回、高級レストランの個室でディナーを共にする。冒
頭でジェギュの家で同居する兄弟の認知症の母親が、ジェギュの妻ヨン
ギョンやヘルパーに対して暴言を吐いたり暴力を振るったりするシーン
があって、本当に胸糞だった(言葉が汚くて失礼)。ディナーの席で、ジ
ェワンはヨンギョンの心労を考えて母親を高級老人ホームに入れること
を提案する。
やがて1つの衝撃的な映像が巷で拡散される。ティーンエイジャーと見
られる男女がホームレスの男性を暴行する姿を、監視カメラが捉えた映
像だ。男性は意識不明の重体に陥っていた。警察は早速捜査に着手する
が、男女の顔ははっきりと写ってはおらず、犯人の特定には至らない。
しかしその映像を見たジェワンとジェギュ夫妻は、それぞれの娘と息子
に関して恐るべき事実を確信するに至る。
とてもおもしろかった。ジェワンとジス、ジェギュとヨンギョンの2組
の夫婦は、ホームレスを暴行したのがそれぞれの娘と息子であると知っ
て、非常に苦悩する。利益が最優先のジェワンも、親としての心情と正
義感の間で揺れ動かずにはいられない。ジェワンの娘は高校3年生で大
学受験を控えており、ジェギュの息子も高校生で、将来がかかっている。
自分が親だったらどうするだろうと考えた。でもどれも正解ではない気
がする。ソル・ギョングとチャン・ドンゴンの演技はさすがで、熱演で
ある。チャン・ドンゴンは久しぶりに見たが相変わらずハンサムだった。
韓国映画はどうしてこんなに見応えがあるのだろう。衝撃的なラストに
声を失った。

デヴィッド・リンチ監督が1月15日に78歳で亡くなった。リンチ監督の
映画好きだったなあ。もっと観たかったなあ。とても残念。


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ナイトスイム

2025-01-17 23:15:39 | 日記
2024年のアメリカ映画「ナイトスイム」。

元メジャーリーガーのレイ(ワイアット・ラッセル)は、郊外のプールつき
の家を中古で購入し、妻イヴ(ケリー・コンドン)、長女イジー、長男エリ
オットと共に引っ越してくる。難病により早期引退を余儀なくされるも現
役復帰を目指す彼が自身の理学療法も兼ねて購入したマイホームは、裏庭
にプライベートプールがある憧れの物件にも関わらず、そのプールは15
年間も使われていないという不思議な物件でもあった。新居での生活を満
喫する一家だったが、やがてプールに潜む得体の知れない怪異によって恐
怖のどん底に突き落とされる。

ホラー映画。1992年夏。サマーズ家の娘レベッカは夜中に庭のプールの
方からの物音で目を覚ます。プールには弟のトミーの大切なおもちゃが浮
かんでいた。トミーは病気で体が不自由だった。レベッカは飛び起きてお
もちゃを拾おうとするが、足を滑らせてプールに落ちてしまう。レベッカ
の悲鳴を聞いたトミーは助けを求めるが、彼女は助からなかった。そして
元メジャーリーガーのレイは難病により引退するが、治療に専念するため
郊外のプールつきの家を中古で購入し、妻イヴや思春期の娘イジー、小学
生の息子エリオットと共に引っ越してくる。裏庭にあるプールは何故か
15年も未使用のままだった。
家族で家を内見に訪れた際、レイはプールで溺れかけるが、家族により助
けられる。プール・セラピーが治療に役立つとレイは考えるが、プールは
落ち葉と泥に埋まり放置されていた。家族皆でプールの掃除をするが、そ
の時レイは排水溝の詰まりを取り除こうとして手を切り負傷する。排水溝
から茶色い水が湧いてきて、そこが湧き水の出る源泉プールであることが
わかる。そして一家はプールを使うようになる。
しかしプールを使い始めると一家は奇妙な出来事を体験するようになる。
一方でレイは医師も驚く程の回復ぶりを見せる。負傷していた手の傷もほ
ぼ治っており、ウエイトトレーニングができる程体力も戻ってきていた。
レイはこれらのことからプールには何か不思議な力があると確信していた。
しかしレイ以外の家族はプールでの怪異により徐々にプールへの恐怖を感
じるようになる。ある日レイは子供たちの同級生や近所の人を招いてプー
ル・パーティーを開く。しかしレイは野球ボールにサインを求めてきた少
年を肩車した状態でプールの底に沈んでしまい、レイも少年も溺れ死ぬと
ころだった。少年の両親は激怒しレイに2度と関わるなと言う。
レイはまたも死にかけたにも関わらず、また泳ぎたいと言う。イヴは家の
仲介をした不動産会社を訪れ、プールのことを調べ始める。そしてその家
では過去に数々の失踪事件が起きていることを知る。プールに何かの怪異
が潜んでいるという割と好きなテーマなのだが、期待したよりもおもしろ
くなかった。もっとゾワっとした心霊ホラーかと思っていたがあまり怖く
なかったし。レイが次第におかしくなっていく様子や、レベッカという少
女の母親は不気味で良かったが。娘より息子の方がかわいいのだろうか。
物語の中でペットが犠牲になるのは胸が痛む。ラストもえーそうなるの?
といった感じだし、もっと工夫をすればおもしろくなったんじゃないかな、
と思った。



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ライド・オン

2025-01-11 23:02:10 | 日記
2023年の中国映画「ライド・オン」。

かつて香港映画界最高のスタントマンと呼ばれたルオ・ジーロン(ジャッ
キー・チェン)は、現在は愛馬・チートゥと一緒にエキストラなどの仕事
をしていた。ある時債務トラブルでチートゥが競売にかけられそうになり、
彼は疎遠になっている法学部の学生である1人娘・シャオバオ(リウ・ハ
オツン)に助けを求める。そんなルオの元に、愛馬との共演というスタン
ト依頼が舞い込む。年齢、体力的にも過酷な撮影だったが、相棒のチート
ゥを守るため、ルオは命がけのスタントシーンに挑戦する。

初主演作から50年を経て、2024年で70歳を迎えるジャッキー・チェン
の記念作品。ジャッキーは自ら危険なスタントを行ってきたが、スタント
マンを演じるのは初めて。かつて香港映画界伝説のスタントマンと言われ
たルオ・ジーロン。現在は第一線から退き、愛馬のチートゥと共にエキス
トラなどの地味な仕事をこなす日々を送っている。そんな時チートゥの元
持ち主が破産し、債務整理を行っていることがわかり、借金のカタにチー
トゥが競売にかけられることになる。ルオは苦肉の策で疎遠になっている
法学部の学生である1人娘・シャオバオに助けを求める。
そんなルオに愛馬との共演というスタントマンのオファーが舞い込んでく
る。年齢的にも危険を伴う撮影だったが、ルオはチートゥを守るため、危
険なスタントシーンに挑戦していくこととなる。そしてその活躍は目を見
張るものになり、チートゥの元持ち主の債券を持つ富豪のホー総裁(ユー
・ロングァン)の目に留まることとなった。ホー総裁はチートゥを手に入
れるべく裁判を起こす。
シャオバオは法学部の先輩で新人弁護士のルー・ナイホァ(グオ・チーリ
ン)を連れてくるが、ルオは娘に恋人がいたことを知ってショックを受け
る。しかしルオは仕方なくチートゥが奪われないようにナイホァと共に作
戦を練ることになる。武闘家でもあるルオはナイホァに武術を仕込むため
に訓練をさせる。最初はチートゥに触るのも苦手だったナイホァだったが、
次第にチートゥと心を通わせていく。その過程がいい。へっぴり腰で訓練
を受けていたナイホァはルオにとってチートゥが息子同然の存在であると
わかってきて、裁判にも力を注いでいく。
ジャッキーももう70歳なのでアクションは少ない。父と娘、そして父と
愛馬との絆の物語になっている。ルオはスタントマンの仕事に夢中で母親
のそばにいてやらなかったため、シャオバオはルオを恨んでいるところが
あるが、父と時間を過ごすにつれて父にとってスタントマンの仕事がどん
なに大切だったかを理解するようになる。とても心温まる物語だ。
でもルオの年齢に対してシャオバオが若すぎ。70歳のジャッキーに大学3
年生の娘は違和感がある。祖父と孫という設定にすれば良かったのにと思
った。そしてチートゥの演技が素晴らしい。どうやって撮影したのだろう
と思うシーンがいくつもあった。ルオとチートゥの別離のシーンは涙が出
た。予定調和の物語だがとても良かった。ジャッキーの過去作品のアクシ
ョンシーンが多数登場し、ファンには嬉しい記念映画になっている。



雪が降りました10日朝の写真です。この程度の積もり方で興奮する
九州人です(笑)ここ数日すごく気温が低くて寒いです

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ザ・メニュー

2025-01-04 23:58:49 | 日記
2022年のアメリカ映画「ザ・メニュー」。

太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない
有名シェフ、ジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が彼のレ
ストランで振る舞う、極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃっ
て」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マ
ーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰
囲気に。何と1つ1つのメニューには想定外のサプライズが添えられてい
た。

孤島の高級レストランで振る舞われる極上のメニューに隠された秘密を
描くサスペンスであり、ブラック・コメディでもある。カリスマシェフ、
ジュリアン・スローヴィクが料理を振る舞う孤島のレストラン、「ホー
ソン」。そこに集まったゲストは皆セレブだった。料理評論家、投資家、
俳優といった面々の中、マーゴを同行して訪れたタイラーは興奮してい
た。マーゴがタバコを吸うと「料理の味がわからなくなるから止めろ」
と注意する。美食家であるタイラーはスローヴィクに心酔していた。
スローヴィクが登場し、「パンッ!」と大きく手を打つと、厨房のスタ
ッフが一斉に作業の手を止め「イエス、シェフ!」と言う。スローヴィ
クは不敵な笑みを浮かべている。コース料理の1皿目が運ばれてくると
タイラーは目に涙を浮かべ、1皿に込められたメッセージを読み、味を
解説し、禁じられている写真を撮ってしまう程のはしゃぎようで、マー
ゴは呆れてしまう。2皿目が運ばれてくる。パンにつけるジャムのよう
だが、肝心のパンがない。3皿目はタコスで、スローヴィクは自分の幼
少期の話をし、テーブルに着いている老婆を母親だと紹介するが、老婆
は無表情だった。
1人1人に配られたトルティーヤには何やら模様が施されていた。夫の
浮気現場の絵、会社の不正取引の書類のコピー、料理の写真を撮るタイ
ラーの絵まであった。「何かがおかしい」と感じたマーゴは、料理に一
切手をつけていなかった。違和感を抱いたマーゴはトイレに行きタバコ
を吸って気持ちを落ち着かせるが、そこにスローヴィクがやってくる。
女子トイレにまで入ってきたスローヴィクにマーゴは恐怖を感じる。ス
ローヴィクは「何故私の料理を食べないのか」と質問するが、マーゴは
「私は自分が食べたいものを食べる」と答える。
レイフ・ファインズの怪演ぶりがすごい。英国紳士然とした彼が不穏で
イカれたシェフを演じている様子は怖くなるほど。コース料理の1皿1
皿の紹介が物語の章仕立てになっている。何が起きているのかが把握で
きないままコースは進む(観ている側だけでなくレストランの客たちも
同様である)。そして次第に料理に恐ろしい秘密が隠されていることに
気づく、その過程はとてもおもしろい。結局客のセレブたちよりもセレ
ブではないマーゴが1番常識的だったということである。変わった映画
だが見応えがありなかなか良かった。


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