2019年のマレーシア映画「夕霧花園」。
1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官となったユンリン(シルヴィア・
チャン)は更なるキャリアアップを目指して奮闘していた。そんなある日、かつて
愛し合った日本人庭師・中村有朋(阿部寛)が日本軍のスパイだった疑いが浮上し、
彼の身の潔白を証明するためユンリンが調査に乗り出すことになった。戦後間もな
い頃、ユンリン(アンジェリカ・リー)は中村の元で、亡き妹が夢に描いていた日本
庭園を学んでいた。いつしか2人は愛し合うようになり、ユンリンは心の傷を癒や
されるようになる。彼女は戦争中、日本軍に強制労働をさせられ、妹は慰安婦にさ
せられていた。
マレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening mists」を
「九月に降る風」などの台湾人監督トム・リンが映画化したラブストーリー。戦中
の1940年代、戦後の50年代、80年代の3つの時間軸で描き出す。80年代、ユンリ
ンはマレーシアで史上2人目の女性裁判官となっていた。ある日、かつて愛した日
本人庭師の中村有朋が、終戦時に日本軍が埋めたとされる埋蔵金にまつわるスパイ
疑惑をかけられていることを知り、彼の潔白を証明するため立ち上がる。ユンリン
は当時の友人だったフレデリック(ジュリアン・サンズ)の家を訪ね、中村に関する
資料を調べる。
ユンリンは亡き妹の夢だった日本庭園造りを目指し、マレーシアで活躍する日本人
庭師の中村の元を訪れる。彼は、現在造っている庭園"夕霧花園"で自分の見習いを
しながら庭造りを学ぶことを提案する。ユンリンは見習いとなり、強い信念を持っ
て庭造りに打ち込んでいく。そんな中、日本人に対して悲しみと憎しみを抱えるユ
ンリンだったが、どこかミステリアスで孤独な中村に惹かれていく。ユンリンの妹
は戦時中、日本軍によって慰安婦にさせられており、ユンリンは強制労働をさせら
れながらも妹に何もしてやれないことに胸を痛めていた。更にユンリンは見せしめ
として妹の目の前でひどい拷問を受ける。そしてユンリンは日本が敗戦の時、妹は
殺され、自分だけが助かったことでずっと自責の念に苛まれていた。
慰安婦を本当に日本軍が集めたのかは、今でもはっきりしないところである。求人
広告を見て自ら来た人や、親に売り飛ばされた人もいたのだと聞く。真実はもうわ
からないのかもしれない。けれども日本軍が捕虜を拷問したりしていたというのは
本当なのだろう。ただそれは日本軍に限ったことではなく、戦時下ではどこの軍隊
でも同じようなことをしていたのだと思う。本来なら対立するはずのユンリンと中
村は不思議と惹かれ合っていく。中村は庭師なのにどうして自分の体に入れ墨を彫
っているのかがわからなかった。何故そんな技術を持っているのか。そしてユンリ
ンの背中にも入れ墨を彫ることを勧めるのだが、これは後に大きな意味を持ってく
るのだ。
阿部寛のセリフは全編ほぼ英語なので、大変だっただろうなあと思う。トム・リン
監督は阿部寛の大ファンなためオファーしたとのこと。中村とユンリンが心を通わ
せていく過程がとてもいい。時には反発しながら、それでも2人は愛し合う運命だ
ったのだと思う。阿部寛の優し気な目とアンジェリカ・リーの意志の強そうな目が
印象的。ラストはとても感動的である。ユンリンの背中の入れ墨にあんな意味があ
ったとは。きっと中村は苦しんだのだと思う。ラブストーリーだがちょっとミステ
リーの要素もあって、重たい話だがおもしろかった。ジュリアン・サンズがすごく
ハゲていてびっくりした。
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1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官となったユンリン(シルヴィア・
チャン)は更なるキャリアアップを目指して奮闘していた。そんなある日、かつて
愛し合った日本人庭師・中村有朋(阿部寛)が日本軍のスパイだった疑いが浮上し、
彼の身の潔白を証明するためユンリンが調査に乗り出すことになった。戦後間もな
い頃、ユンリン(アンジェリカ・リー)は中村の元で、亡き妹が夢に描いていた日本
庭園を学んでいた。いつしか2人は愛し合うようになり、ユンリンは心の傷を癒や
されるようになる。彼女は戦争中、日本軍に強制労働をさせられ、妹は慰安婦にさ
せられていた。
マレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening mists」を
「九月に降る風」などの台湾人監督トム・リンが映画化したラブストーリー。戦中
の1940年代、戦後の50年代、80年代の3つの時間軸で描き出す。80年代、ユンリ
ンはマレーシアで史上2人目の女性裁判官となっていた。ある日、かつて愛した日
本人庭師の中村有朋が、終戦時に日本軍が埋めたとされる埋蔵金にまつわるスパイ
疑惑をかけられていることを知り、彼の潔白を証明するため立ち上がる。ユンリン
は当時の友人だったフレデリック(ジュリアン・サンズ)の家を訪ね、中村に関する
資料を調べる。
ユンリンは亡き妹の夢だった日本庭園造りを目指し、マレーシアで活躍する日本人
庭師の中村の元を訪れる。彼は、現在造っている庭園"夕霧花園"で自分の見習いを
しながら庭造りを学ぶことを提案する。ユンリンは見習いとなり、強い信念を持っ
て庭造りに打ち込んでいく。そんな中、日本人に対して悲しみと憎しみを抱えるユ
ンリンだったが、どこかミステリアスで孤独な中村に惹かれていく。ユンリンの妹
は戦時中、日本軍によって慰安婦にさせられており、ユンリンは強制労働をさせら
れながらも妹に何もしてやれないことに胸を痛めていた。更にユンリンは見せしめ
として妹の目の前でひどい拷問を受ける。そしてユンリンは日本が敗戦の時、妹は
殺され、自分だけが助かったことでずっと自責の念に苛まれていた。
慰安婦を本当に日本軍が集めたのかは、今でもはっきりしないところである。求人
広告を見て自ら来た人や、親に売り飛ばされた人もいたのだと聞く。真実はもうわ
からないのかもしれない。けれども日本軍が捕虜を拷問したりしていたというのは
本当なのだろう。ただそれは日本軍に限ったことではなく、戦時下ではどこの軍隊
でも同じようなことをしていたのだと思う。本来なら対立するはずのユンリンと中
村は不思議と惹かれ合っていく。中村は庭師なのにどうして自分の体に入れ墨を彫
っているのかがわからなかった。何故そんな技術を持っているのか。そしてユンリ
ンの背中にも入れ墨を彫ることを勧めるのだが、これは後に大きな意味を持ってく
るのだ。
阿部寛のセリフは全編ほぼ英語なので、大変だっただろうなあと思う。トム・リン
監督は阿部寛の大ファンなためオファーしたとのこと。中村とユンリンが心を通わ
せていく過程がとてもいい。時には反発しながら、それでも2人は愛し合う運命だ
ったのだと思う。阿部寛の優し気な目とアンジェリカ・リーの意志の強そうな目が
印象的。ラストはとても感動的である。ユンリンの背中の入れ墨にあんな意味があ
ったとは。きっと中村は苦しんだのだと思う。ラブストーリーだがちょっとミステ
リーの要素もあって、重たい話だがおもしろかった。ジュリアン・サンズがすごく
ハゲていてびっくりした。
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