2021年の日本映画「孤狼の血 LEVEL2」を観に行った。
平成3年、呉原市を拠点とする暴力団・尾谷組と県内最大の広域暴力団・
広島仁正会が繰り広げた壮絶な抗争劇から3年が過ぎ、広島の暴力団情勢
は小康状態にあった。県警呉原東署の刑事・日岡秀一(松坂桃李)は、マル
暴の刑事・大上章吾(役所広司)に代わり、広島の裏社会を治めており、警
察組織と暴力団の双方から一目置かれる存在になっていた。自分を慕うチ
ンピラ・近田幸太(村上虹郎)をスパイとして広島仁正会へ送り込んでいた
が、服役していた上林組組長の上林成浩(鈴木亮平)が出所したことをきっ
かけに、保たれていた秩序が乱れ始める。上林の存在と暴力団の抗争や警
察組織の闇、更にはマスコミのリークによって、日岡は追い詰められてい
く。
白石和彌監督による2018年の映画「孤狼の血」の続編。主役だった役所
広司が出演していないので物足りないのでは?と思ったが、充分おもしろ
かった。伝説のマル暴刑事・大上に代わり、大上とコンビを組んでいた新
米刑事・日岡が主役である。3年前の日岡は広島大学出身のエリートで、
大上に振り回されてばかりいたが、成長していた。髪を短く切って無精ひ
げを生やし、前は標準語で話していたが今回はバリバリの広島弁。大上の
"血"を受け継いだ形で、松坂桃李がなかなか様になっている。日岡の暗躍
によって危うくも秩序が保たれていた広島の裏社会だが、上林が刑務所か
ら戻ってきたことにより、それは崩れていく。
上林役の鈴木亮平の演技がすごく怖い。上林は極悪非道でモンスターのよ
うな男だが、それを見事に体現している。刑務官が言った「一体どうすり
ゃ、あがいな人間が生まれるんか」という言葉が印象的だ。そのくらい人
間離れした残忍ぶりなのだ。上林の生育環境は悲惨そのもので、ああいう
育ち方をすればモンスターが出来上がっても不思議はないのかもしれない、
と思った。上林が子供とぶつかってハッとして、自分の子供時代を思い出
すシーンも印象的だった。
上林は自分が服役している間に暴力団の雰囲気が変わり、金儲けに勤しん
でいるのが気に入らない。広島仁正会の傘下にあった五十子会の死んだ会
長に忠義を尽くしている上林は、自ら上林組を立ち上げる。そして日岡に
頼まれてスパイとして上林組の組員になっている近田は、上林の残虐さを
目の当たりにして驚く。また、警察のことはよくわからないが、色々と闇
が深いんだなあと思った。様々な人に様々な思惑があり、日岡のような不
良刑事でも騙される。日岡は自分の情報が上林組に流れていることに気づ
き、自分に付きまとっている新聞記者を疑う。
前作とどちらがおもしろかったかと言われれば、前作の方かなという感じ。
バイオレンスシーンやグロテスクシーンはかなり増しているものの、物語
としては前作の方が好きである。続編はちょっとバイオレンスに頼ってし
まったような感じがする。上林もヤクザというよりサイコパスの猟奇殺人
犯みたい。斎藤工や早乙女太一や毎熊克哉も頑張っていたが、ちょっと存
在感が薄かったと思う。でもラストシーンは良かった。あのシーンが意味
するところを思うと、また次作を期待する。
良かったらこちらもどうぞ。白石和彌監督作品です。
「凶悪」
「サニー/32」
「孤狼の血」
やっと梅雨みたいな長雨が終わったと思ったら、また猛暑。もうイヤ、早
く夏終わって欲しいなあ
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平成3年、呉原市を拠点とする暴力団・尾谷組と県内最大の広域暴力団・
広島仁正会が繰り広げた壮絶な抗争劇から3年が過ぎ、広島の暴力団情勢
は小康状態にあった。県警呉原東署の刑事・日岡秀一(松坂桃李)は、マル
暴の刑事・大上章吾(役所広司)に代わり、広島の裏社会を治めており、警
察組織と暴力団の双方から一目置かれる存在になっていた。自分を慕うチ
ンピラ・近田幸太(村上虹郎)をスパイとして広島仁正会へ送り込んでいた
が、服役していた上林組組長の上林成浩(鈴木亮平)が出所したことをきっ
かけに、保たれていた秩序が乱れ始める。上林の存在と暴力団の抗争や警
察組織の闇、更にはマスコミのリークによって、日岡は追い詰められてい
く。
白石和彌監督による2018年の映画「孤狼の血」の続編。主役だった役所
広司が出演していないので物足りないのでは?と思ったが、充分おもしろ
かった。伝説のマル暴刑事・大上に代わり、大上とコンビを組んでいた新
米刑事・日岡が主役である。3年前の日岡は広島大学出身のエリートで、
大上に振り回されてばかりいたが、成長していた。髪を短く切って無精ひ
げを生やし、前は標準語で話していたが今回はバリバリの広島弁。大上の
"血"を受け継いだ形で、松坂桃李がなかなか様になっている。日岡の暗躍
によって危うくも秩序が保たれていた広島の裏社会だが、上林が刑務所か
ら戻ってきたことにより、それは崩れていく。
上林役の鈴木亮平の演技がすごく怖い。上林は極悪非道でモンスターのよ
うな男だが、それを見事に体現している。刑務官が言った「一体どうすり
ゃ、あがいな人間が生まれるんか」という言葉が印象的だ。そのくらい人
間離れした残忍ぶりなのだ。上林の生育環境は悲惨そのもので、ああいう
育ち方をすればモンスターが出来上がっても不思議はないのかもしれない、
と思った。上林が子供とぶつかってハッとして、自分の子供時代を思い出
すシーンも印象的だった。
上林は自分が服役している間に暴力団の雰囲気が変わり、金儲けに勤しん
でいるのが気に入らない。広島仁正会の傘下にあった五十子会の死んだ会
長に忠義を尽くしている上林は、自ら上林組を立ち上げる。そして日岡に
頼まれてスパイとして上林組の組員になっている近田は、上林の残虐さを
目の当たりにして驚く。また、警察のことはよくわからないが、色々と闇
が深いんだなあと思った。様々な人に様々な思惑があり、日岡のような不
良刑事でも騙される。日岡は自分の情報が上林組に流れていることに気づ
き、自分に付きまとっている新聞記者を疑う。
前作とどちらがおもしろかったかと言われれば、前作の方かなという感じ。
バイオレンスシーンやグロテスクシーンはかなり増しているものの、物語
としては前作の方が好きである。続編はちょっとバイオレンスに頼ってし
まったような感じがする。上林もヤクザというよりサイコパスの猟奇殺人
犯みたい。斎藤工や早乙女太一や毎熊克哉も頑張っていたが、ちょっと存
在感が薄かったと思う。でもラストシーンは良かった。あのシーンが意味
するところを思うと、また次作を期待する。
良かったらこちらもどうぞ。白石和彌監督作品です。
「凶悪」
「サニー/32」
「孤狼の血」
やっと梅雨みたいな長雨が終わったと思ったら、また猛暑。もうイヤ、早
く夏終わって欲しいなあ
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