猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

呪い村436

2016-08-31 05:17:22 | 日記
2006年のカナダ・アメリカ合作映画「呪い村436」。
一見、平穏で静かな村ロックウェル・フォールズ。そこへある日、国勢調査局員の
スティーヴ(ジェレミー・シスト)が人口調査で訪れる。そして彼は、保安官助手の
ボビーの協力を得て調査を進めていくうちに、村の人口が何年も436人のまま変動
していないことに気づく。更に調査すると、村は何故かその人口を保つため、1人
産まれたり新しい住居人が来ると、その代わりとして誰かを殺す、という驚愕の事
実を知るのだった。

オカルトでもない、スプラッターでもない、でもじわじわ怖いホラー映画。B級という
感じが出まくりだし、大体タイトルで想像がついてしまうのだけど、それでも結構お
もしろかった。やっぱりもし本当にこんな村があったら、と想像すると怖い。
主人公のスティーヴ、宿泊せずに1日で人口調査を終えていたら、こんなことに巻
き込まれなかったのに…と思うと気の毒でならない。スティーヴ役のジェレミー・シ
ストは「MAY-メイ-」でも不運な役だったが、こういう役が多いのだろうか。この人、
ジョン・トラボルタにちょっと似ている。
一見のどかだが、裏を知ると恐ろしい村。知ってはいけないことを知ってしまった
スティーヴが動き出すと、村人たちも動き出す。スティーヴ逃げて、逃げて!と思
いながら観る。なかなか怖かった。DVDにはもう1つのラストというのが収録されて
いたが、こちらもおもしろかった。



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カンバセーション 盗聴

2016-08-28 07:19:47 | 日記
1974年のアメリカ映画「カンバセーション 盗聴」。
サンフランシスコ在住の盗聴のプロフェッショナル、ハリー・コール(ジーン・ハックマン)。
通信傍受の権威としての輝かしい名声とは裏腹に、彼の生活は孤独そのものだった。
それは他者の秘密を盗み聞きする盗聴という仕事を生業にしていながら、ハリーが
自らのプライバシーの保持に異常に気を遣っているからだった。ハリーはある日、大企
業の取締役からの依頼を受けて、雑踏の中で密会する男女2人組の会話を盗聴する。
長年の経験から好奇心を捨て、淡々と仕事をするハリー。だが翌日、ハリーは依頼主
への疑念から自らのポリシーを破り、録音テープを再生する。すると、殺人事件をほの
めかす声が記録されていた。

フランシス・フォード・コッポラ監督のサスペンス映画。地味~だがおもしろかった。盗聴
を仕事にしている人がいるということに驚いた。映画とかの世界だけのものだと思って
いたが(これも映画だが)、実際にいるんだなあ。普段は盗聴した内容には興味を持た
ずに仕事をしているハリーだが、依頼主に不審なものを感じ、初めて録音した声を聞く。
それからハリーは事件に巻き込まれてしまうことになる。
ジーン・ハックマンの演技はさすが。命を狙われ、恐怖の中で戦うハリー、観ていてハ
ラハラし、惹き込まれる。この人顔は地味なんだけど演技力がやっぱり凄い。若い時の
ハリソン・フォードが悪役で出演していたが、まだ売れていない頃なのだろうか?多分
30歳ちょっとくらいだと思うが、まだ青年ぽくて、「若~い!」と思った。
この映画はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したが、興行的には失敗したら
しい。ちょっと地味過ぎたのかな?こういうじっくり観るタイプのサスペンス映画、私は
好きだけれども。カンヌとかアカデミー賞とか、意外な作品が選ばれたりする。去年の
アカデミー賞は「バードマン」だったが、私は断然「イミテーション・ゲーム」に受賞して
欲しかった。バードマンなんたらは観ていないのだが、絶対イミテーション・ゲームの
方がいい映画だと思うのだ(根拠のない自信)。去年のカンヌでは「ディーパンの闘い」
というフランス映画がパルム・ドールを受賞したが、本命はイタリアの映画だと言われ
ていたらしく、記者たちからブーイングが起きたそうだ。この「ディーパンの闘い」、私は
映画館で予告を観たが、あまりおもしろそうではなかったなあ。感動系の物語のよう
だったが、全然興味がわかなかった。そういうこともあるものだ。



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ミレニアム・マンボ

2016-08-24 05:34:53 | 日記
2001年の台湾・フランス合作映画「ミレニアム・マンボ」。
ビッキー(スー・チー)は高校時代にディスコで出会ったハオと同棲している。情熱的な
ハオに夢中になった彼女は、高校も中退してしまった。しかし、楽しいはずの生活は
どんどん荒んでいく。ハオは仕事もせずに毎夜酒とドラッグ、ゲームにパーティー、そ
してクラブ通いだ。更に彼は異常なほど嫉妬深い。ある日ハオは父親の時計を盗み、
質に入れる。それがバレて、父親に問い詰められるハオ。彼はシラを切り通すが、結
局は父親に通報され、2人のアパートへ警察がやってきた。ハオは連行されるが、何
とか釈放される。それでも2人の生活は変わらない。仕方なくビッキーはホステスの
アルバイトを始める。それでも働かないハオの嫉妬は、更にエスカレートしていった。
ビッキーの勤める店に客としてやってくるガオ。この界隈を仕切っているヤクザだ。皆
のトラブルを解決してくれる、とても頼りがいのあるガオに、ビッキーは惹かれていく。

ホウ・シャオシェンのロマンチック・ラブストーリー。ロマンチックと言っても、主人公ビッ
キーの恋人は典型的なだめんず。なんであんな男とわかっても何年も一緒にいるか
なあ。働かない男というのは私の中では最低である。スー・チーのイメージではないの
だけど、あんな男を好きになって高校までやめてしまうビッキーもバカ。私はバカ女も
嫌いだ。
物語はビッキーが10年前のことを語る形で進んでいく。ビッキーはホステスとして働く
店で、ヤクザのガオや台日ハーフの兄弟のDJと知り合う。ダメ男の次はヤクザ(優し
いからって…)。やっぱりビッキーはバカなんだろうな。ハーフの兄弟は日本で生まれ、
祖母が日本で小料理屋をやっている。そこに皆で遊びにいくシーンが好きだ。冬の北
海道の雪景色が美しい。ちょこちょこ日本語が聞こえてくるのも嬉しい。
ホウ監督はどうしてラストシーンを北海道にしたのだろう。どうしてガオが日本へ行った
ことにしたのだろう。理由はわからないが、「なんだかいいなあ」と思った。なんとなく
魅力的で、なんとなく切ない、そんな映画だった。



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ジョニーは戦場へ行った

2016-08-19 05:16:26 | 日記
1971年のアメリカ映画「ジョニーは戦場へ行った」。
第一次世界大戦にアメリカが参戦し、青年ジョー・ボーナム(ティモシー・ボトムズ)は
徴兵され、ヨーロッパへと出征していた。落下した砲弾が炸裂し、大地が割れた。ジョー
は今<姓名不詳重傷兵407号>として、前線の手術室に横たわっている。ジョーは目、鼻、
口、耳を失い、運び込まれた病院で、壊死して機能しない両手と両足も切断されてしま
う。首と頭をわずかにしか動かせないジョーは、医師に意識がないものと診断されてし
まう。今がいつで、どれだけ時間が経ち、自分がどこにいるのかもわからないジョーの
意識は、現在と過去の間をさまよう。

ダルトン・トランボの小説を本人が自ら監督し制作した映画である。私は中学生の時に
原作を読んで大きな衝撃を受けた。その時の本のタイトルは「ジョニーは銃をとった」
で、そちらが原題である。そしてずっと後になって映画化されていることを知り、観たの
だった。
こんなに衝撃的で、悲惨で、救いのない作品もそうないのではないだろうか。手足も
なく、目も鼻も口も耳も顎もない(つまり顔がえぐり取られている)。全く動けないし、見
えないし、話せないし、聞こえないのである。自分に意識があることを知らせようと首や
頭を動かしても、医師はただのけいれんだと言う。医師にとっては、心臓は動いていて
も、肉の塊でしかないのだ。こんな恐ろしいことがあるだろうか。生きている意味など
なく、死にたくても、自殺もできないのだ。
他人と全くコミュニケーションを取れないジョーのできることは、考えることだけだ。音も
ない暗闇の世界で考えをめぐらすだけって、どんなにか辛いだろう。辛いなんて言葉
では言い表せない程だろう。残してきた恋人や家族は、彼が死んだと思っていること
だろう。そしてラストのあまりも救いのなさ。大体小説を映画化したら、小説の方がい
い!と思うことが多いのだが(あくまでも私の場合は、である)、この映画は小説と同じ
くらい良かった。原作者が監督を務めたからだろうか。ティモシー・ボトムズ、最近見
ないなあ。



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オデッサ・ファイル

2016-08-15 07:08:44 | 日記
1974年のイギリス・西ドイツ合作映画「オデッサ・ファイル」。
1963年11月22日、西ドイツのハンブルグ。車を走らせていた新聞記者あがりの
ルポライター、ペーター・ミラー(ジョン・ヴォイト)は、突然入ってきたカーラジオの
臨時ニュースに耳を傾けた。それはケネディ大統領暗殺のニュースだった。その
時1台の救急車が彼の車を追い越していった。ミラーは反射的にその後を追った。
それはルポライターとしての本能のようなものだった。事件は1人の老人のガス
自殺だった。現場にはミラーの学友だったハンブルグ警察のブラント警部補が
いた。翌日、ミラーはブラントから老人が残した日記を手渡された。老人はドイツ
系ユダヤ人で、その日記はラトビアのリガにあった収容所での地獄のような生活
を記録したものだった。老人は、リガ収容所長だったSS大尉エドゥアルト・ロシュ
マン(マクシミリアン・シェル)の非人道的な残虐さを呪い、いつか復讐しようとして
いたが果たせず、絶望のうちに自殺したのだった。ミラーはその老人に代わって
その殺人鬼を捜す決意をした。

40年以上前の映画だが、古さを感じさせず、とてもおもしろかった。社会派サス
ペンスで、ジョン・ヴォイトが若々しい。タイトルのオデッサ・ファイルというのは、
実在するもので、元SS隊員で作られた、仲間を助けるために様々な活動をして
いる秘密組織のファイルのことだという。新しい名前や職業を与え、世界のあら
ゆるところで普通に生活していくための組織。そんなものがあるんだなあ。
当然主人公のミラーは危険な目に何度も遭うわけで、ハラハラする。あ~身元が
バレちゃったらどうしよう~、と思いながら観る。この映画のジョン・ヴォイトの演
技はかなりいいのではないか。序盤の老人の自殺はとても悲しい。ナチスの収
容所に入れられた経験がある人は、それを忘れられるはずがないのだ。リガの
収容所長だったロシュマンも実在の人物で、ちょっと調べてみたけど、サディスト
なんだろうな、と思う程残酷な性質だったようだ。
ストーリーは良かったけど、1つ残念に思うのが、ラストでどんでん返し的なエピ
ソードがあるのだが、あれいらなかったんじゃないかなー、ということ。ネタバレ
になってしまうので書けないが、あくまでミラーの目的は自殺した老人の無念を
晴らす、ということにして欲しかった。それと私はテレビ放送で観たのだが、ペー
ターがピーターと字幕に書かれていたのが違和感があった。ドイツなんだから
やっぱりペーターでしょ。



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