2017年のイギリス映画「アガサ・クリスティー ねじれた家」を観にいった。
ギリシャから英国へ渡って、無一文から巨万の富を築き上げた大富豪アリスティド
・レオニデスが毒殺された。私立探偵のチャールズ(マックス・アイアンズ)は、ア
リスティドの孫娘で元恋人のソフィア(ステファニー・マティーニ)から捜査を依頼
される。広大な屋敷に到着すると、3世代に亘る一族が勢ぞろいし、巨額の遺産を
めぐって疑惑と嫉妬、敵意と憎しみをぶつけ合っていた。愛人のいるらしい若い後
妻、映画製作の資金が欲しい長男、父から継いだ会社が倒産寸前の次男、亡き前妻
の姉で大伯母として一族を取り仕切るイーディス(グレン・クローズ)。やがて一族
全員に殺害の動機があったことが露わとなっていく。真相に近づいたと思われたそ
の時、第2の殺人が起きる。
アガサ・クリスティー原作の小説の映画化。私は原作は未読なので比べられないが、
おもしろかった。英国で成功し大富豪となったギリシャ人が毒殺される。その孫娘
ソフィアは元恋人で私立探偵のチャールズに捜査を依頼する。1度は断ったチャー
ルズだが結局は引き受けることになる。大きな屋敷には強烈な個性を放つ一族がい
て、まさに「ねじれた家」だった。
誰が犯人かわからない。皆怪しく見える。そして実際皆動機があるのだ。チャール
ズの捜査はなかなか進まない。家族中で疑心暗鬼になって空気が張り詰めている描
写はクリスティーらしい。とにかく一癖も二癖もある人々ばかり登場するのだ。若
く経験も浅いチャールズには大変な捜査だ。それでも事件の真相が見えかかってき
た頃、第2の殺人事件が起きてしまう。
おもしろかったのだが、最終的に真相がわかるのが唐突だった気がする。小説の方
はわからないが。衝撃的で悲劇的なラストがあっという間だった感じ。それまで長
く感じていたので、その点はちょっと惜しかったかなあ、と思う。クリスティーの
作品は悲劇的な物語が多いと思う。彼女が女性作家だからだろうか。ラストに辿り
着くまでが少し残念だったが、楽しめた。原作も読んでみたい。