猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

犯罪心理分析官

2024-07-24 21:43:59 | 日記
2017年の中国映画「犯罪心理分析官」。

海辺の街である男性の遺体が発見される。その遺体は犯人によって
全身の血を抜かれ、内臓も摘出されているという猟奇的なものだっ
た。捜査を担当することになった刑事のタイ・ウェイ(リャオ・フ
ァン)が現場検証をしていると、犯罪心理分析の天才だという捜査
官ファン・ムー(リ・イーフォン)が現れる。鋭い分析により、現場
に集まっていた見物人の中に犯人を発見。驚いて逃走する犯人を追
うが、取り逃がしてしまう。その途中でタイ・ウェイの相棒の刑事
が刺されて重傷を負ってしまう。そしてその後も次々と事件が発生
する。

中国の人気小説「心理罪」を映画化したサスペンス・アクション。
海辺の街で、全身の血を抜かれ内臓を摘出された猟奇的な男性の遺
体が発見される。事件を担当することになった刑事のタイ・ウェイ
が現場検証をしていると、犯罪心理分析の天才だという若い捜査官
ファン・ムーが現れる。「犯罪者は現場に戻ってくる」というファ
ン・ムーの分析により、警察は怪しい男を見つけるが、取り逃がし
てしまい、男は逃げる途中でタイ・ウェイの相棒を刺して重傷を負
わせる。
その後も次々と事件が発生。著名なアスリートは大量に血を抜かれ
て殺害され、ある女性は何者かに刺殺され、その子供は行方不明に。
全ての事件が「血」というキーワードで繋がっていることを突き止
めたタイ・ウェイとファン・ムーは、協力して犯人を追い詰めてい
く。タイ・ウェイは昔気質で、脚で捜査するタイプ。一方ファン・
ムーは自作のドローンを駆使して情報を集める。2人は最初反目し
合う。この対照的な2人の刑事が心を通わせ、いいバディになって
いく過程はおもしろい。
犯人の正体は全く掴めないまま捜査は続けられるが、ある時ファン
・ムーが喫茶店にいると、怪しい男が接触してくる。ファン・ムー
は男が犯人だと気づきながらも、男の「圧」に押され、またも取り
逃がしてしまう。その後ファン・ムーの恋人が殺され、ファン・ム
ーは大変なショックを受ける。恋人が殺されたのはファン・ムーに
対する警告だったのだ。ファン・ムーは喫茶店で会った男の容姿を
思い出そうとするが動揺していてうまく思い出せない。
そして事件には「血」だけでなく「血液の病気」が関係しているこ
とを捜査陣は突き止める。血液の病気のために連続殺人事件が発生
しているというのが斬新でおもしろかった。タイ・ウェイとファン
・ムーはそれぞれに成長していき、終盤孤島で犯人と対峙するシー
ンはとても興味深い。ドクター・キリコみたいな見た目の医者が登
場するのもおもしろい。中国のサスペンス映画にもおもしろい作品
が多い。ファン・ムー役のリ・イーフォンは20代半ばに見えたが
37歳だという。童顔だなあ。


ノエルは元気ですが、私は食欲がなくて元気がありません











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ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

2024-07-19 21:47:31 | 日記
2023年のイギリス映画「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」を
観に行った。

ロンドンに住むユダヤ系イギリス人のニコラス・ウィントン(ア
ンソニー・ホプキンス)は、アドルフ・ヒトラーが率いるナチス
の政策に疑問を抱いていた。チェコスロバキアを訪れたニコラス
は、支配を進めるナチスから逃れたユダヤ人を受け入れる難民施
設の過酷な状況を目にして、子供だけでも助けようと決意する。
チェコキンダートランスポートという組織を立ち上げ、ユダヤ人
の子供たちを次々と同国から脱出させるが、ドイツのポーランド
侵攻によって第2次世界大戦が勃発する。

ドイツの実業家、オスカー・シンドラーのように、日本の外交官
杉原千畝のように、多くのユダヤ人の命を救った人がイギリスに
もいた。地味だがとても感動的な映画だった。ロンドンで株の仲
買人として働き、充実した人生を送っていた青年、ニコラス・ウ
ィントン(青年期/ジョニー・フリン)は大勢のユダヤ人難民が、
プラハで住まいも食料もないに等しい生活を送っているのを目の
当たりにし、子供たちだけでもイギリスに避難させられないかと
考え、同じ志を持つ者たちとチームを組み、里親探しと資金集め
に奔走する。
ナチスの侵攻が迫る中、ニコラスと同志たちは次々と子供たちを
イギリス行きの列車に乗せる。だが、ついに開戦の日が訪れる。
ニコラスと同志たち、ニコラスの母親・バベット(ヘレナ・ボナ
ム=カーター)が協力して子供たちの里親を探すシーンは胸に迫
るものがある。「こちらの夫婦は女の子を希望している」「こち
らの夫婦は小さい男の子を希望している」とそれぞれの家庭の希
望に沿って子供たちを振り分け、条件が合った子供たちをイギリ
ス行きの列車に乗せる。どんなにか大変だっただろう。
そうしてニコラスたちは669人の子供たちをナチスから救った。
しかし、戦争が始まったために救えなかった子供たちもいた。ニ
コラスは50年間、その子供たちのことが忘れられず、自分を責め
続けていた。そんなニコラスに妻・グレーテ(レナ・オリン)は寄
り添い、「自分を許してあげて」と言うのだった。そんなニコラ
スの元に、BBCからテレビ番組「ザッツ・ライフ!」の収録に
参加して欲しいと連絡が入る。ニコラスがユダヤ人の子供たちを
救ったことに関するスクラップ・ブックがテレビ局の目にとまり、
出演して欲しいと言ってきたのだ。
終盤は本当に感動的。多くの人が座っているスタジオにニコラス
とグレーテも座っていたが、その人々の中にはニコラスに救出さ
れた人がたくさんいたのだ。もちろん皆もう年を取っている。ニ
コラスは驚く。そして翌週またテレビに出て欲しいと言われる。
今度は司会者が「この中でニコラス・ウィントンさんに助けられ
た人は起立してください」と言うと、スタジオにいる全員が立ち
上がったのだ。ニコラスはまた驚き、感動の涙を流す。彼らの子
孫たちは6000人にのぼるという。ニコラスは助けられなかった
子供たちを思い、「もっと何かできたはずだ」と苦悩し続けたが、
それだけの命を救っていたのだった。



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アレックス

2024-07-13 21:24:43 | 日記
2002年のフランス映画「アレックス」。

ある男を捜してゲイクラブへ押し入る2人組。彼らは男を見つけ
出すと凄惨な暴力を加える。発端はあるパーティーの夜。マルキ
ュス(ヴァンサン・カッセル)は会場に残り婚約者アレックス(モ
ニカ・ベルッチ)を1人で帰してしまう。その直後、アレックス
はレイプに遭い、激しい暴行を受けてしまう。自責の念に駆られ
るマルキュス。彼は友人でアレックスの元恋人のピエール(アル
ベール・デュポンテル)と共に犯人捜しを開始する。やがて、テ
ニア(ジョー・プレスティア)という男に行き着く。

ギャスパー・ノエ監督作品。物語はシンプルで、婚約者をレイプ
された男が犯人を見つけ出し、復讐するというもの。しかし演出
が変わっていて、エンドロールから始まり、時系列とは逆にさか
のぼっていく。あるパーティーの夜、婚約者のアレックスを1人
で帰しレイプされてしまったマルキュスは、怒りと自責の念のあ
まり、「サツより先に犯人を見つけてやる」と息巻く。彼を落ち
着かせるために友人でアレックスの元恋人のピエールが同行する。
アレックスを襲ったのはゲイの男だとわかり、2人はゲイクラブ
やゲイバーを回り、テニアという名の男に行き着く。そしてマル
キュスはテニアに激しい暴行を加える。
場面が変わって地下道をアレックスが歩いていると、変な男に因
縁をつけられ、レイプされる。この地下道が赤く、印象的だ。そ
れにしてもゲイの男がどうして女性をレイプしたのだろう。本人
も「いつもは女とはやらないんだ」と言っていた。場面が変わっ
てパーティー会場で、アレックスとマルキュスがちょっとした言
い合いになり、アレックスは1人で帰ると言い出す。このように
映画の進行と時系列が逆なのだ。
けれども特に観にくくはない。アレックスのレイプシーンは本当
に凄惨。モニカ・ベルッチもよくあの役を引き受けたと思う。ヴ
ァンサン・カッセルもだが、この映画の当時2人はまだ結婚して
いた。あんなバイオレンス描写満載の映画によく夫婦揃って出演
しようと思ったものだ。9分間にわたるレイプシーンは賛否両論
あったそうだ。それはそうだろう。本当に目を覆いたくなるよう
なシーンだ。その後のシーン(時系列では前)でアレックスは妊娠
を喜んでいたが、あんなにひどい暴力を受けたらお腹の子はもう
ダメだろう。実際にアレックスは出血していた。
ギャスパー・ノエ監督の映画を観たのはまだ3作目だが、変わっ
た映画をつくる人という印象だ。この映画はもう1度観ようとい
う気にはならないが、この人の映画はもっと観てみたいと思う。


良かったらこちらもどうぞ。ギャスパー・ノエ監督作品です。
ルクス・エテルナ 永遠の光
VORTEX ヴォルテックス


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スイッチ 人生最高の贈り物

2024-07-08 21:06:57 | 日記
2023年の韓国映画「スイッチ 人生最高の贈り物」。

出演オファーが殺到する人気俳優のパク・ガン(クォン・サンウ)は、
シングルライフを謳歌していた。クリスマスイブの夜、マネージャ
ーのチョ・ユン(オ・ジョンセ)と飲んでタクシーに乗り込んだ彼に、
運転手は人生を選び直せるならどうするかと問う。翌朝見知らぬ場
所で目を覚ましたパク・ガンは、別れたはずの元恋人スヒョン(イ
・ミンジョン)と結婚し、幼い双子の父親になっていた。

トップスターとマネージャーの人生が入れ替わったことにより、こ
れまでとは違う人生を歩むことになった2人の男性の行く末を描く、
ハートウォーミング・コメディ。トップ俳優パク・ガンは、若手女
優との一夜限りの情事を楽しむ華やかな独身生活を送っていた。ク
リスマスイブの夜、彼はひょんなことから、マネージャーにして友
人でもあるチョ・ユンと人生が入れ替わってしまう。新しい人生は
マネージャー兼売れない俳優で、かつて互いの成功にために別れた
元恋人スヒョンと結婚し、幼い双子の父親となっていた。一方チョ
・ユンは人気俳優として暮らすことになる。
クォン・サンウのコミカルな演技が絶妙で、いつの間にか惹き込ま
れてしまった。知らない家で目を覚ましたパク・ガンは「ここはど
こだ!?」と叫ぶが、妻となっている元恋人スヒョンに「あなたの
家でしょ」と呆れられる。双子を見て「この子たちは?」と言うと
「ふざけてるの?」と言われる。ガンは慌てて自分のマンションへ
行くが、鍵が合わず入れない。どうなっているのかわからないガン。
パパ、パパとまとわりつく双子に「パパは記憶喪失になってるんだ。
ママには内緒だよ」と言う。そして頭の中を整理し始めるが、混乱
してできない。
昨夜タクシーに乗って運転手に意味深なことを言われたところまで
は覚えているのだが、その後は眠ってしまった。急いでマネージャ
ーのチョ・ユンに連絡を取るが、ユンはかつての自分のようなトッ
プ俳優として暮らしていた。ガンの言うことがにわかには信じられ
ないユンだったが、よく話を聞くと納得する。ガンは今ユンのマネ
ージャーで、再現ドラマ専門の売れない俳優、そして劇団にも所属
していた。ガンは混乱しながらも今の人生を生きるしかなくなって
いた。
突然できた妻子に驚きながらも、その生活に少しずつなじんでいく
ガンは、こういうのもいいなという気持ちになりつつあった。そし
て仕事の方もオーディションを受けたりユンの仕事について回って
他の俳優の代役を引き受けたりしながら、うまくいくようになって
いった。最後がどうなるか想像はつくのに、おもしろい。妻子に振
り回されながらも愛しく思っていくガンを、クォン・サンウが生き
生きと演じている。表情もユーモラスでいい。タクシーの運転手が
ガンの亡き父親だとわかるシーンは感動的だった。予定調和のラス
トだが、とてもおもしろくて感動的。クォン・サンウはいくつにな
ってもハンサムだなあ。



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美しき仕事

2024-07-01 21:22:37 | 日記
1999年のフランス映画「美しき仕事」を観に行った。

フランス、マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー(ドニ・
ラヴァン)。かつて外国人部隊の上級曹長だった彼は、アフリカのジ
ブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごす中、いつしかガルーは
上官であるフォレスティエ(ミシェル・シュボール)の多くの資質に対
し、憧れともつかぬ思いを抱いていく。ある時、部隊にサンタン(グ
レゴワール・コラン)という新兵がやってくる。社交的な性格でたち
まち人気者になったサンタンに対し、ガルーは嫉妬や羨望を抱き、
いつしかサンタンを破滅させたいと願うようになる。

1999年の映画だが日本では長らく未公開で、今年4Kレストア版で
劇場初公開だそうだ(4Kレストア版って何だろう)。うーん、困った。
意味のわからない映画だったので、感想が書けない。かつてフランス
外人部隊で上級曹長を務めていたガルーは、マルセイユの自宅で回想
録を執筆中だ。彼は「フランスを長く離れすぎた男の話だ」と書き出
す。ガルーは外人部隊にいた時、上官のフォレスティエに尊敬とも憧
れともつかぬ気持ちを抱いていた。そこへ新兵のサンタンが部隊へや
ってくる。サンタンはその社交的な性格でたちまち人気者になり、ガ
ルーは彼にたいして嫉妬と羨望の入り混じった感情を募らせ、やがて
彼を破滅させたいと願うようになる。
何を見ればいいのかわからない映画だ。ジブチの風景はきれいでもな
いし、訓練や体操をする外人部隊のマッチョなお兄さんたちを見れば
いいのか。そういうのが好きな人にはいいだろう。フランスの外人部
隊ってすごく強いんじゃなかったっけ。彼らは訓練やストレッチのよ
うなよくわからない体操をする。そして洗濯、アイロンがけ、料理も
する。手際良く洗濯物を干していくシーンは印象的。あんなに暑い土
地ならよく乾くだろう。そして夜にはクラブへ繰り出し、酒を飲んだ
り踊ったりする。
ガルーが何故あんなにサンタンの存在を気にしているのかわからない。
フォレスティエにも「外見で判断するな」と言われるが、「ああいう
奴は心に何か持っているんですよ」と答える。何故そんなに目の敵に
しているのかわからない。ガルーはサンタンのことが好きなのか?と
思ったが、そういう訳でもないようだ。ガルーの気持ちがわからない。
ある時、部隊内のトラブルの原因を作ったサンタンに、遠方から1人
で歩いて帰隊するように命じたガルーだったが、サンタンが途中で行
方不明となる。ガルーはその責任を負わされ、フランスへ送還された
上で軍法会議にかけられることになる。
ガルー役のドニ・ラヴァンは「ポンヌフの恋人」などレオス・カラッ
クス作品の常連俳優。サンタン役のグレゴワール・コランも実力派俳
優。ラスト近くでサンタンが塩まみれになって「負けた」と言ったの
はどういう意味だったのだろう。ラストのガルーのダンスシーンはと
ても印象に残ったが、意味はわからない。タイトルの「美しき仕事」
が何なのかもわからなかった。久しぶりに意味のわからないフランス
映画を観たが、でもドニ・ラヴァンとグレゴワール・コランを見たか
ったのだから、良しとしよう。



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