猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

マシニスト

2013-06-28 02:42:34 | 日記
2004年のアメリカ・スペイン合作映画「マシニスト」。
機械工のトレヴァー(クリスチャン・ベール)は、不眠症で1年も眠っておらず、やせ細り
やつれていた。
それでも毎日仕事には行き、空港のカフェのウエイトレスのマリア(アイタナ・サンチェス=
ギヨン)と雑談するのを楽しみにしていた。
ある日勤め先の工場に、アイバン(ジョン・シャリアン)という大男が新しく入ってきた。
トレヴァーは同僚たちにアイバンの話をするが、誰もアイバンを知らなかった。
その頃から、トレヴァーの周りでおかしなことが起きるようになった。家の中に、謎の絵が
描かれたメモが見つかるが、トレヴァーには身に覚えがない。
アイバンに時々出会い、言葉を交わすのだが、相変わらず同僚たちはそんな男は知らないと
言う。
ある日トレヴァーは仕事中にアイバンに気をとられ、不注意から同僚に大けがをさせてしまう。
その同僚は片腕になった。それ以来トレヴァーは同僚たちとの関係が悪くなっていき、何者
かが自分を陥れようとしているのだと思ったトレヴァーは、精神的に不安定になっていく。

すっごくおもしろかったー!ストーリーがよく出来ていると思った。映画には終始不穏な
雰囲気が漂っており、とても暗い。トレヴァーが勤め先で知り合ったアイバン。しかし
誰もアイバンのことを知らず、そんな男はいないと言う。それでもトレヴァーとアイバンは
何度も話をしているのだ。時を同じくしてトレヴァーの周辺でおかしな出来事が続き、トレ
ヴァーの精神は次第に参っていく。
精神が不安定になっていくトレヴァーを演じるクリスチャン・ベールには鬼気迫るものがある。
そして彼のやつれ方には驚く。彼はこの役のために、30kgもの減量をして、54kgくらいに
なったそうだ。4カ月間、1日にりんご1つとツナ缶1つだけを食べ続けたそうだ。すごい!
更に、次の映画のために今度は32kgも増やしたという。
ハリウッド俳優ってよく大幅にやせたり太ったりしているが、役のためとはいえよくそこまで
出来るなあ、と思う。プロ意識だけでそんなに体重を変化させられるものなのか。
アメリカ映画だがスペインで撮影したらしく、暗いヨーロッパ映画の雰囲気が良かった。
あっと驚くラスト。おもしろかった。
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BOX ~袴田事件 命とは~

2013-06-26 02:36:54 | 日記
「BOX ~袴田事件 命とは~」という映画を見た。
実際に起きた事件のドキュメンタリーのようなものである。
昭和41年に静岡県で起きた、みそ製造商店の専務とその家族が殺害され放火された、
強盗殺人事件である。冤罪事件として有名なので、私も知っている。
この事件では商店の寮に入居していた、従業員の袴田巌という元ボクサーが逮捕され
、死刑が確定しているが、45年以上拘置所に収監されたまま死刑が執行されていない。
(これはギネス世界最長記録だという)
この事件は私も昔から思っていたが、冤罪の可能性が非常に高いとされている。袴田巌の
犯行とは思えないような、矛盾や疑問が大変多いのだ。
当時の判事だった男性も、「無実だと確信していた」と告発している。
冤罪(と言われている)事件はたくさんあるが、私はそれらのほとんどが冤罪ではないと
思っている。けれどもこの事件は間違いなく冤罪だと思う。
私は弁護士ではないので冤罪事件について調べまくっている訳ではないが、大体の事件は
冤罪とは思えないのである。それでも「疑わしきは罰せず」の理念で逆転無罪になり釈放
された人たちがいるというのは、怖いことだと思う。無罪と無実は違う。遺族の方々の
悔しさ、辛さを考えるとたまらなくなる。
逆に袴田事件では人を4人も殺した何者かが、おそらく今もどこかで普通に生活しているの
だろうと思うと、これもまた怖い。
袴田巌は今もう70歳を過ぎており、精神を病んでいるという。彼が生きているうちに、
無実が証明される日は来るのだろうか。
現在も日本弁護士連合会が支援している再審事件である。

袴田巌役の新井浩文と、無実だと思った判事役の萩原聖人の演技がすごかった。

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墨攻

2013-06-22 03:12:14 | 日記
2006年の中国、韓国、香港、日本合作映画「墨攻」。
紀元前370年、趙と燕の大国間の争いに巻き込まれた小国の梁は、趙軍の大将軍・巷淹中
(アン・ソンギ)率いる10万人の敵を前に、没落寸前だった。
梁の王は、墨家に助けを求めた。墨家とは、攻撃をせずに防衛をする、”非攻”の精神を
持つ戦闘集団である。
だが墨家から派遣されてきたのは、天才戦術家・革離(アンディ・ラウ)1人だった。
革離を好敵手だと見なした巷は、攻撃の準備に入った。
革離は天才ぶりを発揮し、大軍に挑む策を立て、見事に趙軍を撤退させることに成功する。
梁国の人々も、革離を信頼するようになり、女隊長・逸悦(ファン・ビンビン)は、革離に
想いを寄せるようになっていた。
ところが革離から預かった趙軍の捕虜を、梁の将軍が皆殺しにしてしまう。
墨家には「戦うことをやめた兵士を殺してはならない」という掟があり、自責の念に苛まれる
革離は、彼の支えになろうとする逸悦のことも遠ざけてしまう。

とにかくアンディ・ラウがかっこいい。あのストイックな姿。攻撃せず勝つということを
信念にしている墨家というのは、当時の中国に本当に存在したそうだ。
だが忽然と現れ、いつの間にか消え、詳細はあまりわかっていないらしい。
スペクタクル大作といった感じで、おもしろかった。
それにしても中国の映画って漢字が難しいな~。あらすじを書くのにえらく時間がかかって
しまった。日本人も漢字を使う民族なんだけどなあ。

他の映画を見にいった時、映画館の中にこの映画のポスターが貼ってあって、アンディ・ラウ
が弓を引いている姿と、「1人で10万人の敵に立ち向かう」というキャッチ・コピーを見て、
「これ絶対見るっ!!」と思った。
私は、侍や刀や弓矢が好きなのだ。
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ダメージ

2013-06-19 02:33:23 | 日記
1992年のイギリス・フランス合作映画「ダメージ」。
イギリス下院議員のスティーブン・フレミング(ジェレミー・アイアンズ)は、妻と息子と
平穏に暮らしていた。
ある日息子マーティン(ルパート・グレイブス)の恋人アンナ(ジュリエット・ビノシュ)と
出会ったスティーブンだが、彼とアンナは一目で恋に落ちる。
2人はマーティンの目を盗んで愛し合った。
マーティンが自宅にアンナを連れてきた時、母親のイングリッド(ミランダ・リチャードソン)
はアンナに何かを感じた。この女は人を不幸にする、と直感した。
マーティンが新聞社の政治部副編集長に昇進したことを祝うため、フレミング家の人々と
アンナ、それにアンナの母親エリザベス(レスリー・キャロン)がレストランに集まった。
が、エリザベスはその時アンナとスティーブンの関係を見抜いていた。
帰り際、アンナと別れてくれとエリザベスはスティーブンに言った。しかしスティーブンは
もうアンナ無しでは生きられなくなっており、離婚を考えていた。
アンナの方は離婚には賛成せず、マーティンと結婚して、これまで通りスティーブンとの
関係を続けたい、と告げた。
迷いながらもアンナと関係を続けるスティーブンだったが、とうとうある日マーティンが
2人の密会を知ってしまう。

ルイ・マル監督の悲惨な映画である。アンナという女と関わったために、崩壊していくフレ
ミング家の人々。それまで順風満帆に暮らしていた彼らは、地獄を見ることになる。
アンナは確かに悪女なのだが、積極的に人を傷つけようとはしていない。アンナに関わる
人々が自滅していくという感じなのだ。
それでも見ているとアンナに憎しみを感じてくる。
アンナの母親は娘の性質をよく知っていて、すぐに娘と婚約者の父親との関係に気づく。
アンナと別れて、と言われた時に別れておけば良かったのになあ。
ラストシーンの悲しさ、重たさ。ジェレミー・アイアンズの演技はすごい。
それとルパート・グレイブスの美青年ぶりもすごい。
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アイス・カチャンは恋の味

2013-06-14 03:20:46 | 日記
2010年のマレーシア映画「アイス・カチャンは恋の味」。
ボタック(=丸坊主という意味 アニュウ)の家はカフェを経営している。子供の頃、母の
知り合いの女性が夫の暴力から娘を連れて逃げてきて、ボタックの家の2階に住まわせて
もらうことになった。
女性はカフェの店先で焼きそば売りの出店を開いた。その娘アンチー(アンジェリカ・リー)
はとても気が強く男勝りで、”闘魚”というあだ名で呼ばれていた。
ボタックは子供の頃から、実はアンチーのことが好きだった。
アンチーはガキ大将のマーさえ泣かす。大人になってもその力関係は変わらない。
だがあることをきっかけに、マーはアンチーを好きになり、熱烈に迫るが、相手にされない。
ボタックはアンチーに告白する勇気がないことで悶々として暮らす。
ボタックには足が不自由な兄がいるが、カフェの経営のことでよく父とけんかをしている。
ボタックの母は、アンチーの母が夫の初恋の人だと近所の人に聞かされ、彼女の面倒を見て
いることが複雑に思えてきた。
男性にもてるアンチーの母は、ある男性と再婚しようとするが、アンチーはそれに反発し、
ボタックと一緒に父の家を訪ねる。父には妻と幼い息子がいた。

なんだかバラバラと書いてしまったが、本当にこういう物語なのだ。苦手なロマンチック・
コメディーだが、アンジェリカ・リーが出演しているので見た。
マレーシア映画だが、アニュウやアンジェリカ・リーなど、マレーシア出身の華人が多数
出演しているし、言葉が広東語なので、ほとんど香港映画の雰囲気だ。
アニュウは気弱で情けない感じの顔をしていて、役によく合っていた。
ボタック(そういえば本名は出てこなかったような)の子供の頃からの友人たちが個性的で
おもしろい。
ボタックとマーはアンチーが好き、マーの妹はボタックが好き、ボタックのすごく太った
妹はボタックの友人が好き、その友人はマーの妹が好き、と恋模様も込み入っていておも
しろい。
だがおもしろいだけでは終わらせない、切ない物語だ。

アイス・カチャンとはマレーシア風かき氷のこと。登場人物たちがジュース等を飲む時、
ビニール袋に入れてストローを刺して飲んでいるので、驚いた。
お店があんな飲み物の渡し方をするなんて、びっくりだ。
マレーシアの暑さが伝わってくる映画だったが、向こうの人はクーラーは使わないのかな。
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