不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

キリング・ミー・ソフトリー

2020-11-28 22:37:03 | 日記
2002年のアメリカ映画「キリング・ミー・ソフトリー」。

ロンドンで暮らすアメリカ人のアリス(ヘザー・グラハム)はウェブサイト開発を
担当するキャリアウーマンで、同棲中の恋人のジェイク(ジェイソン・ヒューズ)
とそれなりに幸せな日々を送っていた。しかしある朝、出勤途中に出会った謎め
いた男・アダム(ジョセフ・ファインズ)と衝動的で官能的な体験をし、アダムの
ことが頭から離れなくなったアリスはジェイクと別れ、アダムと電撃結婚してし
まう。しかし、結婚したアリスの元に無言電話がかかってきたり、「アダムはレ
イプ魔」と書かれた匿名の手紙が届くようになってきて、アリスは夫の過去に疑
問を抱き始める。

さらば、わが愛/覇王別姫」のチェン・カイコ―(陳凱歌)監督によるラブ・サス
ペンス。ロンドンで暮らすアリスは恋人ジェイクと同棲中だが、ある日出勤途中
で見知らぬ男の視線を強く感じる。勤務中でも男のことが頭から離れられなくな
って会社を飛び出し、男を追って再会すると誘われるまま男の家で関係を持つ。
後にアリスは書店に置かれている本を見て、男が有名な登山家であると知る。そ
れ以降、今日限りと自分に言い聞かせるも再び男の元へ向かってしまうアリスは、
とうとうジェイクと別れてその男アダムと結婚する。ところが幸せな結婚生活を
送っていたアリスの周囲で奇妙な出来事が起こり始める。
うーん、それ程おもしろくはなかったかな。最初の方はスリリングで結構興味を
惹かれるのだが、後半から失速するというか。事件の真相も「え、そっち?」と
いう感じ。大体主人公のアリスは軽率すぎではないだろうか。目が合ってとても
気になったからといって初対面の男とさっさと関係を持ち、ややアブノーマルな
男との行為にハマり、同棲中の恋人を振って結婚してしまうなんて。その男アダ
ムは有名な登山家で、数年前に登山中に当時の恋人を亡くしていた。アリスはア
ダムの姉デボラ(ナターシャ・マケルホーン)とも仲良くなるが、やがてアリスは
何者かから脅迫を受けるようになり、アリスはそれを別れた恋人ジェイクの仕業
ではないかと疑う。
色々とミスリードされる物語で、後で「あ、そうだったのね」と思わされること
が多い。普通はそういう意外な真相はおもしろいと思うのだが、この映画はちょ
っとがっかりしてしまった。謎めいたアダムは少し変わった性癖を持っていて、
そのことが事件の真相に関わってくるのかと思っていたらそうでもないし。結局
アリスが1人で空回りをしていたという感じ。自分がアダムのことを何も知らな
いというのも気づくのが遅すぎるし。そりゃ知り合ったばかりのよく素性を知ら
ない男と電撃的に結婚してしまったら、後から不安感も芽生えるだろう。
アリス役のヘザー・グラハムはとても美人でかわいくて、見どころは彼女の顔と
裸くらい。ただラストシーンは切ない感じで良かった。チェン・カイコ―はどう
してこの映画の監督を引き受けたのだろう。「さらば、わが愛/覇王別姫」はと
ても良かったので、チェン・カイコ―は中国映画だけ作っている方がいいと思う。


眠たいベルとノエル。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特捜部Q カルテ番号64

2020-11-24 22:54:26 | 日記
2018年のデンマーク・ドイツ合作映画「特捜部Q カルテ番号64」。

コペンハーゲン警察で未解決事件を扱う「特捜部Q」。主任のカール警部補
(ニコライ・リー・コス)の相棒アサド(ファレス・ファレス)は他の部署への
異動が決まっていたが、カールがそのことにあまり関心がなく、引き留めて
くれないことに不満を持っていた。同じ頃、あるアパートの隠された部屋か
らミイラ化した3体の遺体が発見される。現場を見たカールは、テーブルを
囲むように椅子に掛けた奇妙な3体の遺体を目にする。しかし椅子はもう1
つあり、そこには別の誰かが座る予定だったのではないかと推測する。調べ
てみると部屋の住人は家賃だけを支払い続け、ずっと不在になっていること
がわかる。やがて遺体の身元が判明し、カールとアサドは複雑な事件に巻き
込まれていく。

デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスン原作のベストセラー・ミス
テリー小説「特捜部Q」シリーズの映画化第4弾。シリーズの中で1番おもし
ろかったかもしれない。物語は1961年、海岸に若い男女がいるところから
始まる。2人は深く愛し合っていたが、いとこ同士だったため怒った少女の
父親が2人を引き離す。そして少女はスプロー島の女子収容所に入れられて
しまう。ここは不良少女やふしだらな少女を更生させる施設だった。一方現
代、2人のアラブ系の少女があるクリニックを訪れ、少女の1人は望まぬ妊
娠をしたため匿名で中絶できるこの病院で手術を受ける。
スプロー島の女子収容所とは1921年から1962年まで実在した施設だそうだ。
そこでは少女たちの中絶手術だけでなく強制不妊手術まで行われていたとい
うから恐ろしい。優生学に基づき「劣った遺伝子を残さないようにする」と
いう考えである。物語は現代と過去を交錯しながら進行していくが、わかり
にくくはなく、とても見応えがある。やがてアパートで発見されたミイラ化
した遺体が、1人は海岸で父親によって恋人と引き離された少女、もう1人
は彼女と同じ収容所にいた少女、そしてもう1人は弁護士であることがわか
る。女性たちと弁護士の関係はわかっていなかった。
今回はアサドが活躍する。アサドの行きつけの食料品店の娘が、匿名で中絶
できるクリニックで親に内緒で手術を受けたことをアサドに打ち明ける。そ
してそのクリニックの院長が何者なのかが判明し、カールとアサドは危険な
事件の闇に巻き込まれていくのだ。日本でも昔優生学に基づいて身体障害者
や知的障害者の男女が強制不妊手術を受けさせられていて、現在裁判が起き
ている。そんなことがあったなんて私は知らなかった。日本やデンマークだ
けでなくいろんな国で同じようなことは起きていたのかもしれない。優生学
ってナチスの思想と同じではないか。人間とは何と罪深いのだろう。
今回はとても重たい物語だった。クリニックの院長は白人優位主義なのでア
サドは色々と思うところがあっただろう。カールが犯人に言った、「神に見
放され親に捨てられても愛が勝つのか」というセリフはとても印象に残った。
そしてラストで重傷を負ったアサドにカールが本音を口にするシーンも良か
った。無骨で無愛想なカールの正直な気持ちは感動的だった。「特捜部Q」
シリーズの映画はこれで終わりだが、小説はまだ出版されているので、もっ
と映画化して欲しいなあ。とてもおもしろい。


「特捜部Q」シリーズ
第1作「檻の中の女
第2作「キジ殺し
第3作「Pからのメッセージ




映画評論・レビューランキング

人気ブログランキング


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世宗大王 星を追う者たち

2020-11-21 22:59:18 | 日記
2019年の韓国映画「世宗大王 星を追う者たち」を観に行った。

朝鮮王朝が明国の影響下にあった1442年。第4代国王・世宗(セジョン/ハン
・ソッキュ)は、の身分だったチャン・ヨンシル(チェ・ミンシク)の優れ
た才能を認め、武官に任命する。豊富な科学知識と高い技術を持つヨンシル
は「水時計」や「天体観測機器」を次々に発明。それらは庶民の生活に大い
に役立てられた。一方で、「明の従属国という立場から脱し、朝鮮の自立を
成し遂げたい」という夢を持つ世宗も、朝鮮独自の文字である"ハングル"を
創ろうとしていた。天と地ほどの身分の差を超え、特別な絆を結んでいく2
人。だが朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、密かに2
人を引き離そうと画策する。

韓国の演技派スター、ハン・ソッキュとチェ・ミンシクの共演による史実を
基にした映画。この2人の共演であることと歴史が好きな私にとっては見逃
せない作品。1442年、朝鮮の民が安寧な生活を送れるようにしたいと思っ
ていた世宗大王は、時刻を正確に知ることができる「水時計」の構造に目を
止める。明の図案を模写したという器用な男チャン・ヨンシルは雑用係をし
ているの身分だったが、科学の知識は誰よりも優れており、独自の発想
と身近な材料で、自動的に時間を知らせる「水時計」を完成させ、その才能
を正式に王に認められ思いがけず王宮の武官に任命される。
チャン・ヨンシルという人がの身分でありながらどうして優れた科学知
識を持っていたのかという疑問はあるが、独学で学んだのか、あるいは天才
だったのかもしれない。水時計を完成させたヨンシルを世宗が武官に任命し、
武官の服を与えるシーンは感動的だ。ヨンシルは「私のような者が武官に」
と感動して泣く。世宗という王は常に朝鮮の民のことを考え、朝鮮が明から
独立することを希望していた。そして朝鮮独自のハングル文字を創製した朝
鮮王朝最高の王と言われているらしい。その王と、科学者で発明家のヨンシ
ルの絆はとても強かったようだ。
けれども出身のヨンシルが王の信頼を得て厚遇されていることを良く思
わない臣下も出てくる。臣下たちの間に支持派と反対派の争いが生じ、王宮
内には不穏な空気が漂うようになっていく。臣下たちが皆男性なので仕方な
いのだが、登場人物はおじさんだらけ。女性は下働きの女性やヨンシルの弟
子がちょっと登場するだけである。既に亡くなっているのか、王の妻も出て
こない。明国の上層部も当然男性ばかりだし、まさにおじさんの映画。その
中で王や王の息子の豪華絢爛な衣装はとても明るく感じられる。
王とヨンシルが寝転がって星空を眺めながら語り合うシーンがとてもいい。
身分を越えた固い絆は感動的だ。後半物語は大きく動いていく。「これまで
の大改革を明に隠し通せるはずがない」と考え、明からの攻撃を恐れた臣下
たちの計画により王とヨンシルの運命は翻弄されていく。とても見応えがあ
っておもしろい映画だった。歴史に埋もれてしまったヨンシルのその後を思
う。今年は「悪の偶像」と、ハン・ソッキュ主演の映画を2本も観に行けて
嬉しかった。どちらもハン・ソッキュの圧倒的な演技力がすごかった。


ピエトロのパスタ大好きです。家の近くにピエトロがあります。チーズが濃
厚でおいしゅうございました。



ベルに似た野良ちゃん。








コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BAR(バール)に灯ともる頃

2020-11-17 22:17:49 | 日記
1989年のイタリア映画「BAR(バール)に灯ともる頃」。

ティレニア海沿いの小さな港町チヴィタヴェッキア。タクシーから降りた初老の
男(マルチェロ・マストロヤンニ)は兵役中の1人息子ミケーレ(マッシモ・トロイ
ージ)と久々に再会する。初めての父子2人きりの1日。BAR(バール)で打ち解け
た2人は、トラットリアで昼食。ミケーレは父から機関士だった祖父の形見の懐
中時計を贈られて喜ぶ。父子は揃って町を散歩し楽しいひと時を過ごすが、些細
なことで喧嘩になってしまう。

エットーレ・スコラ監督による人間ドラマ。裕福な弁護士の父は兵役中の息子ミ
ケーレに会うため、ローマからやって来る。父は今まで仕事が忙しく、ミケーレ
と2人だけで過ごすのは初めてのことだった。お互いに気恥ずかしさを覚えるが、
BAR(バール)に入って話をし、やがてトラットリアに場所を移す。ミケーレは父
から大好きだった祖父の形見の懐中時計を贈られとても喜ぶ。父はミケーレに新
車やローマの家までプレゼントすると言い出すが、ミケーレは「そんなにはいら
ない。今の暮らしで満足している」と言う。ミケーレにとって車より家より祖父
の懐中時計の方が嬉しいものだった。2人はちょっとした意見の違いから口論に
なってしまう。
父と息子がひたすら会話をしているだけの映画である。特に劇的なことが起きる
訳でもなく、しゃべっているだけ。私はセリフがとても少ない映画も好きだが、
会話劇も好きなのでおもしろかったが、会話劇が苦手な人には合わないかもしれ
ない。父は久しぶりに会った息子が逞しく成長しているのを誇らしく思うし、ミ
ケーレも父に会えて嬉しいのだが、自分の価値観を押しつけるところのある父を
実は少し苦手にしていた。次第に2人の会話はかみ合わなくなっていく。
父はミケーレを愛しているのだが、仕事に追われてろくに話もしてこなかったた
め、愛情表現が一方通行だ。どうもうまくミケーレの心を掴めない。ミケーレの
恋人や行きつけのBARの店長の方がミケーレのことをよく知っていることに嫉妬
し、すねたりする。その細やかな感情をマルチェロ・マストロヤンニがうまく表
現している。さすがマストロヤンニだと思った。2人は仲直りできないまま父が
帰る時間になってしまう。
イタリアは家族主義だというのをよく感じられる映画だった。今ひとつ父の考え
に納得できない息子、息子への愛情が空回りしてしまう父、でもやはり愛し合う
家族なのである。ラストシーンも良かった。何も起きない映画だが、じんわりと
した親子の心の交流が描かれていて、私は好きだ。マルチェロ・マストロヤンニ
は年をとってもかっこいいなあ。ちなみにBARとはバーと喫茶店が一緒になった
ような飲食店で、トラットリアは大衆向きの小さなレストランのことだそうだ。


良かったらこちらもどうぞ。エットーレ・スコラ監督作品です。
特別な一日



映画評論・レビューランキング

人気ブログランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホテル・アルテミス ~犯罪者専門闇病院~

2020-11-12 22:22:21 | 日記
2018年のイギリス・アメリカ合作映画「ホテル・アルテミス ~犯罪者専門
闇病院~」。

暴動が日常と化した近未来のロサンゼルス。高額な会費と引き換えに最新医
療と身の安全が保障される会員制闇病院「ホテル・アルテミス」には、傷を
負った犯罪者たちの訪問が後を絶たない。70代のナースのジーン(ジョディ
・フォスター)は助手兼用心棒のエヴェレスト(デイヴ・バウティスタ)と共
に彼らの治療を一手に引き受けていた。ある日、銀行強盗で重傷を負った兄
弟を受け入れたことから、ホテル・アルテミスは開業以来最悪の事態に見舞
われる。

サスペンス?なのかよくわからない映画だった。22年も続いているホテル・
アルテミスは犯罪者専門の会員制闇病院である。ここには連日負傷した犯罪
者たちが押し寄せてきて、てんてこまいの状態である。診療に当たるのは70
代のナースのジーン1人。彼女が手術から何から全てやっているのだ。ジー
ンは皆からナースと呼ばれているが、実は元医者で、ある理由から医師免許
を剥奪されている。だから闇病院でしか働けないのだ。ある水曜日、銀行強
盗で重傷を負った兄弟を受け入れたことから、ホテル・アルテミスは危機的
な混乱状況に陥る。
何だかよくわからない映画だった。次から次へと犯罪者がやって来て、病院
はバタバタしている。武器商人や殺し屋の女や銀行強盗兄弟などが押し寄せ、
更に色々なトラブルが発生し、高齢のジーンは息つく暇もない。彼女だけで
診療に当たるには忙しすぎるのだ。ジーンは何度も「今日は水曜日」と口に
していたが、ホテル・アルテミスの存続に関わる最悪の出来事が水曜日に起
きているという様子が描かれている。そもそもこんな病院兼ホテルが22年も
やってこれたのが不思議である。
ジーンは昔息子を亡くしており、そのことが度々彼女の頭の中でフラッシュ
バックしている。けれどもその描写も中途半端。物語は良く言えば盛り沢山、
悪く言えばとっ散らかっていてまとまりがない。私の理解力のせいかもしれ
ないが、「何がどうなっているの?」という感じ。殺し屋の女のアクション
シーンはかっこよかったし、ジーンとエヴェレストの絆も良かったと思うが、
あまりおもしろい映画ではなかった。
ジョディ・フォスター目当てで観たのだが、ジョディの無駄遣いという感じ。
ジョディはどうしてこの映画に出演しようと思ったのだろう。そしてどうし
て70代という老け役を引き受けたのだろう。変わったことがやってみたかっ
たのかな。特殊メイクのせいだが老け方とボサボサ頭にびっくりした。ラス
トシーンはまあ良かった。


11月9日はベルの17歳の誕生日でした。人懐こくてかわいいベル。まだまだ
元気で長生きしてね









ベルとノエルの関係は大体こんな感じ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする