猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

怪物の木こり

2024-06-25 21:34:38 | 日記
2023年の日本映画「怪物の木こり」。

「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が
斧で相手の頭を割り、脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が発生。
犯人は次のターゲットに弁護士の二宮彰(亀梨和也)を定めた。しか
し二宮の本性は、犯人をも上回る程の冷血非情なサイコパスだった。
犯人は何故脳を奪い、何故二宮を標的にしたのか。事件の捜査が進
められる中で、警視庁のプロファイラー・戸城(菜々緒)、二宮の婚
約者の映美(吉岡里帆)、二宮の協力者で自身もまたサイコパスの外
科医・杉谷(染谷将太)、そして過去の殺人事件の容疑者・剣持(中
村獅童)ら、様々な人物の思惑が複雑に絡み合い、事態は次第に混
迷していく。

倉井眉介氏の小説を三池崇史監督が映画化したサイコ・ミステリー。
「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が
斧で相手の頭を割り、脳を持ち去るという連続猟奇殺人事件が発生。
「脳泥棒」という名で世間を震撼させていた。弁護士の二宮はある
日仕事から帰ろうとしていた時、駐車場で怪物の仮面を被った犯人
に狙われ、頭を強く打つが命は助かる。二宮はそれで脳泥棒の次の
標的が自分だと知る。友人の外科医・杉谷の父親の病院に搬送され
た二宮は、脳に不明なチップが埋め込まれており、襲撃によりそれ
が破損していることを医師から指摘される。
警察は捜査を進める中で、被害者たちが皆養護施設の出身者である
ことを突き止める。そして二宮の婚約者・映美は父親がビルの屋上
から飛び降り自殺したことに不審なものを感じていた。二宮は犯人
を上回る狂気じみたサイコパスで、犯人を返り討ちにしてやろうと
決意する。サイコパスとサイコパスの戦いである。サイコパスとい
うのは良心や罪悪感や共感力がなく、目的のためには手段を選ばな
いような人間のことである。
脳泥棒の事件は続き、二宮と杉谷は犯人が何故二宮を狙っているの
かを推理する。この事件には昔のとんでもない実験が裏に隠されて
いたのだった。おもしろいことはおもしろいのだが、ちょっとトン
デモ設定すぎると思った。サイコパス人間を作り出す手術なんて。
原作小説があるのだから、小説がトンデモ設定ということか。あま
りにリアリティがない。サイコ・ミステリーとかサスペンスとかだ
けでなく、ファンタジー要素も感じてしまう。
犯人がサイコパスから人の痛みのわかる普通の人間に戻っていく過
程は良かった。犯人は罪悪感というものを持ち始めたのだ。けれど
も二宮のサイコっぷりをもっと描いて欲しかったと思う。目的のた
めには殺人もいとわないその良心のなさを。それが物足りなかった
気がする。キャストも亀梨和也、染谷将太、中村獅童といった男性
陣は良かったのだが、女性陣がダメ。菜々緒や吉岡里帆ってこんな
にヘタだったっけ?と思った。そして二宮と杉谷はどういう経緯で
友人になったのだろう。杉谷の脳にもチップが埋め込まれているの
か?見逃したのかもしれないが、それがわからなかった。何という
か色々残念な映画だったと思う。


良かったらこちらもどうぞ。三池崇史監督作品です。
十三人の刺客
一命
無限の住人


眠たいノエル
















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美しき復讐者 欲望の罠

2024-06-18 21:38:26 | 日記
2022年のフィリピン映画「美しき復讐者 欲望の罠」。

母の元で美しく成長した娘・サベル(ミカエラ・ラズ)は愛するブライ
アン(ベンツ・サンガラン)と皆に祝福されて結婚式を挙げた。新婚旅
行で初めて結ばれた2人だったが、その夜3人組の暴漢に襲われる。
サベルは3人に強姦され、ブライアンは射殺される。奇跡的に一命を
取り留めたサベルは復讐を誓い、次々と男たちを誘惑していく。

ローサは密告された」のブリランテ・メンドーサ監督が脚本・製作
を担当した官能サスペンス。フィリピンのある町でブライアンとサベ
ルの美男美女カップルが結婚式を挙げた。周囲の皆が祝福する中で、
3人組の男がサベルをいやらしい目で見ていた。リーダーのジェスロ
(JC・タン)は町長の息子で、ハンサムだがバカ息子。父の退任が決ま
り、次期町長選に立候補予定だった。ブライアンとサベルの新婚初夜
に、3人組はホテルに忍び込んで襲いかかる。ブライアンに銃を突き
つけてサベルを強姦、抵抗するブライアンを射殺してしまい、サベル
をひどく殴りつける。
3人組は2人をシーツに包み、海へ投げ捨てる。翌日、ブライアンの
遺体は浜に打ち上げられたものの、行方不明になったサベルの捜索は
難航する。サベルの母は何とか救出して欲しいと町長に懇願し、町長
も警察に最優先で捜索するよう指示を出してくれる。驚いたのが、女
性の白骨死体が発見されたのでDNA検査をすることになるが、サベ
ルの母にはその費用がなかった。フィリピンってDNA検査の費用を
被害者の遺族が出さなければならないのだろうか。町長は検査費用を
自分が出すと親身になってくれる。だがその白骨死体はサベルではな
かった。
ところがサベルは孤島に流れ着いて一命を取り留めていた。その孤島
で暮らす元軍人の男に助けられていたのだ。サベルは3人の男たちに
復讐を誓い、元軍人の男に武術や剣術を習う。必死の努力で腕を磨い
たサベルは、男たちを殺すために町へ帰る。サベルは男たちを1人ず
つ誘惑し、ベッドでナイフで殺す。殺し方は残酷だ。まああれだけの
ことをされたら残酷にもなるだろう。でもいくらカツラをかぶって厚
化粧をしても、サベルとわからないなんてことあるだろうか。整形し
ている訳ではないのに。
映画はボカシが右往左往するセクシーぶり。サベル役のミカエラ・ラ
ズはまさに体当たりの演技。そしてプロポーションがとてもいい。元
軍人の男は何故か全くセリフがなかった。なかなかおもしろかった。



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引っ越し大名!

2024-06-13 21:33:38 | 日記
2019年の日本映画「引っ越し大名!」。

姫路藩書庫番の片桐春之介(星野源)は人と接するのが苦手で、いつも
書庫にこもり書物を読んでいた。幕府から豊後(大分県)の日田への国
替え(引っ越し)を言い渡された藩主の松平直矩(なおのり/及川光博)
は、度重なる国替えからの借金と、これまでにない遠方への引っ越し、
更に減俸と、国の存亡が危うくなる程のピンチに頭を抱えていた。こ
の国難を乗り切れるかは、国替えを仕切る引っ越し奉行の腕にかかっ
ていたが、前任者は激務が原因で既に亡くなり、国替えのノウハウも
失われていた。そんな中で、書物好きなら博識だろうという理由から、
春之介が引っ越し奉行に任命されてしまう。

何度も国替えをさせられた実在の大名・松平直矩のエピソードを基に、
高額な費用のかかる遠方への引っ越しを、知恵と工夫で乗り切ろうと
する姫路藩士たちの奮闘を描く、時代劇コメディ。監督は犬童一心。
江戸時代前期。姫路藩主の松平直矩は幕府から豊後国日田藩への国替
えを命じられる。国替えとは、参勤交代をはるかに上回る莫大な労力
と金額が必要な一大事業なのだが、直矩はこれまでの度重なる国替え
で藩の財政は逼迫しているというのに、減俸まで言い渡される。更に
悪いことに、国替えを担当していた引っ越し奉行が激務がたたって亡
くなってしまう。
そこで直矩は後任の引っ越し奉行に、書庫番の片桐春之介を指名する。
彼は人と接するのが苦手で、いつも書庫にこもって書物を読んでばか
りいたため、「かたつむり」とあだ名されていた。読書家なら博識だ
ろうという理由で任命されたのだった。春之介は幼なじみの武芸に秀
でた武士・鷹村源右衛門(高橋一生)くらいしか話をできる相手がいな
かった。そして国替えの経験などない春之介はどこから手を付けて良
いかわからず、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭(高畑充希)に助けを求
める。
春之介は源右衛門ら仲間の協力や於蘭の厳しい引っ越し指南に助けら
れて、国替えの準備を進めていく。それにしても松平直矩はどうして
そんなに国替えを命じられたのだろう。生涯で7回も国替えをさせら
れ、「引っ越し大名」とのあだ名があったそうだ。春之介は引っ越し
奉行を引き受けなければ切腹と言われ、源右衛門が「ではわたくしが
介錯を」と言って刀を構えるシーンがおかしかった。いくら幼なじみ
だからと言っていきなり介錯とは(笑)。そして於蘭の指導の厳しさに
も笑えた。まず体力作りと言って武士たちをしごいている。
於蘭は父親の残した引っ越しに関する文献を持っており、それを春之
介に渡し、春之介は不用品の処分を始める。この時代の引っ越しは大
変だっただろうな、トラックもないし。観ていると引っ越しというよ
り民族大移動という感じ。藩士たちだけでなくその家族も皆引っ越す
のだ。現代で言えば会社が県外へ移転し、社員とその家族たちも引っ
越すようなもの。星野源は頼りない感じやひきこもりの読書オタクが
はまり役。髪型が武士らしくなく現代風なのが気になったが、ご愛敬
なのだろう。高橋一生、及川光博のキャラクターもおもしろく、他に
も豪華キャストがたくさんである。愉快痛快の時代劇エンターテイン
メントだった。



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シャーク・ド・フランス

2024-06-08 21:09:22 | 日記
2022年のフランス映画「シャーク・ド・フランス」。

フランス南西部にあるリゾート地ラ・ポワントである日、1人の
男性が正体不明の生物に襲われる事件が発生。観光客でにぎわう
ビーチはパニックになり、封鎖されることになる。早期退職を予
定していた海上憲兵隊の一員マジャ(マリナ・フォイス)は、これ
がサメの仕業であると推測。最後の任務としてサメ退治に挑み、
勇敢な彼女はサメの捕獲に成功する。地元の人々からも祝福され、
晴れて引退したマジャだったが、海岸地帯で新たな犠牲者が出る。
一転して非難を浴びることになったマジャは、再びサメ退治に向
かう。

「ジョーズ」にオマージュを捧げて描かれた、フランス映画史上
初のサメ映画。早期引退を間近に控えていた海上憲兵隊の一員・
マジャ。思い残すことはもう何もないように思えた。しかしある
日ちぎれた男性の足が流れ着く。マジャはこれがサメの仕業であ
ると推測し、ビーチを封鎖するように市長に言う。責任を取らさ
れるのが嫌な市長はそれを受け入れる。この辺りは「ジョーズ」
と違っている。あちらは主人公の警察官がビーチを封鎖するよう
市長に言っても、バカンス客で儲かっている市長は封鎖を認めな
かった。
マジャは同僚2人と共にサメ退治に向かうが、殺さずに麻酔銃で
仕留め、サメをインド洋へ運ぶことを選んだ。しかしその後サメ
が逃げ出してしまい、新たな犠牲者が出てしまう。マジャは町中
の人々から非難されることになってしまい、犠牲者の息子たちか
らは暴行を受ける。この手のひら返しはひどいと思った。マジャ
は環境問題や希少動物の保護を考え、サメをインド洋に運ぼうと
考えていたのだ。
責任を感じたマジャは再びサメ退治に向かうことにする。同僚2
人も集まってくれた。サメ映画で女性が主人公というのは珍しい
のではないか。数え切れないくらいサメ映画は作られていて、そ
のほとんどはアメリカ映画だと思うが、やっぱりフランス映画は
どこか違うな、と思った。ただ女性がケージに入ってサメとやり
合うのは無茶すぎると思った。しかも、サメ退治に向かった3人
の中から犠牲者が出てしまうのはかわいそう過ぎる。これはやめ
て欲しかった。
「ジョーズ」のように背びれが近づいてきてサメの全容がなかな
か明らかにならない演出は似ている。でも迫力やサスペンス度は
比べものにならない。「ジョーズ」はサメが口を開けたところは
本当に怖かった。本作のサメはあまり体も大きくないし、それほ
ど怖くはない。でももう若くないマジャの活躍はかっこよかった。
そしてマジャの夫・ティエリー(カド・メラッド)のマジャへの愛
は感動的。「英雄には2種類ある。国を守る者と、愛する人を守
る者と」というナレーションが流れるが、マジャは国を守った英
雄でティエリーは愛する人を守った英雄なのだろう。ティエリー
が生きていて本当に良かった。B級映画と思って観ればなかなか
おもしろいと思う。



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胸騒ぎ

2024-06-03 21:16:19 | 日記
2022年のデンマーク・オランダ合作映画「胸騒ぎ」を観に行った。

休暇でイタリアへ旅行に出かけたデンマーク人の夫妻ビャアン(モ
ルテン・ブリアン)とルイーセ(スィセル・スィーム・コク)、娘の
アウネス(リーバ・フォシュベリ)は、そこで出会ったオランダ人の
夫妻パトリック(フェジャ・ファン・フェット)とカリン(カリーナ
・スムルダース)、息子のアーベル(マリウス・ダムスレフ)と意気
投合する。数週間後、パトリック夫妻から招待状を受け取ったビャ
アンは、妻子を連れて人里離れた彼らの家を訪問する。再会を喜び
合ったのも束の間、会話を交わすうちに些細な誤解や違和感が生じ
始め、徐々に溝が深まっていく。彼らの「おもてなし」に居心地の
悪さと気味の悪さを感じるが、ビャアンとルイーセは週末まで耐え
ようと考える。

ある善良な家族を襲う悪夢のような週末を描いたサスペンス・ホラ
ー。とても怖い映画だった。デンマーク人夫婦のビャアンとルイー
セ、娘のアウネスは、イタリア旅行でオランダ人夫婦のパトリック、
カリン、息子のアーベルと仲良くなる。帰宅後、ビャアンたちはパ
トリックたちから週末遊びに来ないかという手紙を受け取る。オラ
ンダは遠いため迷うが、車で出かけることにする。欧米人はフレン
ドリーなんだな、と思う。私なら旅先で出会った人の家に遊びに行
こうとは思わない。
オランダのパトリックとカリン夫婦の家へ辿り着き、2組の夫婦は
再会を喜び合う。デンマーク土産も喜んでもらえた。しかし一緒に
時間を過ごすにつれ、ビャアンとルイーセは小さな違和感を抱くよ
うになる。ルイーセがベジタリアンだと知っているのにいきなり肉
料理が出てきたり、夜レストランに行くのに子供たちはシッターに
任せて置いて行ったり。それぞれの夫婦の考え方が違うと言ってし
まえばそれまでなのだが。
アーベルは先天的に舌がなく、ほとんどしゃべれない。それでもア
ウネスとアーベルは仲良くなる。2人が一緒に踊ると言うので皆で
見ていたが、アーベルは踊りがヘタで何度も間違える。ビャアンと
ルイーセは特に気にせず見ていたが、パトリックはアーベルに何度
も何度もやり直させ、アーベルが泣いても許さないという様子に、
ビャアンは怒る。こんなふうにパトリックとカリンはどこかおかし
いのだ。不信感を抱いたビャアンとルイーセは週末を待たずに帰る
ことにする。
一連の流れで、ビャアンとルイーセは何度も方向を間違えている気
がする。そっちを選ばなければ良かったのに、と思うことが多い。
そしてビャアンが頼りなさすぎる。彼の出方次第では違う結末もあ
ったのではないだろうか、と思ってしまう。非常に理不尽な物語な
のだが、ビャアンとルイーセに感情移入できないので、あまり同情
する気になれないというか。ビャアンはパトリックたちの大変な秘
密を知ったのに、どうしてそれをルイーセに言わないのか?そして
大急ぎで脱出すれば良かったものを。頼りなさすぎる。そうなるよ
ねえ、という方向に行ってしまうのも仕方ない気がする。ともかく
理不尽で怖い映画だった。後味の悪い映画が苦手な人にはお勧めし
ない。



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