猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

今年映画館で観た映画

2019-12-30 21:05:00 | 日記
今年映画館で観た映画、おもしろかった順に。

1) 希望の灯り(ドイツ)
2) 隣の影(アイスランド・デンマーク・ポーランド・ドイツ)
3) ゴーストランドの惨劇(フランス・カナダ)
4) 迫り来る嵐(中国)
5) 永遠に僕のもの(アルゼンチン・スペイン)
6) グレタ(アイルランド・アメリカ)
7) アガサ・クリスティー ねじれた家(イギリス)
8) 嘘はフィクサーのはじまり(アメリカ・イスラエル)
9) 存在のない子供たち(レバノン・フランス)
10) ザ・ファブル(日本)
11) 泣くな赤鬼(日本)

「希望の灯り」と「隣の影」が特に良かった。全然違うタイプの映画だが。
来年もまたおもしろい映画に巡り合えますように。

それでは皆様、良いお年を




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億男

2019-12-26 23:23:31 | 日記
2018年の日本映画「億男」。

3000万円の借金を残して失踪した兄に代わり、借金返済に追われる大倉一男
(佐藤健)。借金苦の生活に愛想を尽かした妻は娘と共に家を出てしまった。そ
んな不幸続きの一男に宝くじ3億円当選という幸運が舞い込む。この大金で借
金返済、家族の修復と、一発逆転を夢想するが、ネットで悲惨な人生を送る高
額当選者の記事ばかりが飛び込んでくる。不安になった一男は、起業して億万
長者となった大学時代の親友・古河九十九(高橋一生)にアドバイスをもらうた
め、九十九を訪ねるが、酔いつぶれて目が覚めると、九十九は3億円と共に姿
を消していた。

川村元気氏原作の小説の映画化。借金返済に追われ、妻子にまで逃げられてし
まった男が、3億円の宝くじ当選により色々な経験をするという物語。一男は
失踪した兄の残した3000万円の借金返済に追われ、仕事を掛け持ちして働き、
とても疲れている。おまけに妻からは離婚を迫られている。よく映画や漫画な
んかで親やきょうだいの借金を返済しているという話があるけれど、親族でも
借金は払わないでいいはずだと思うのだが。法的に。連帯保証人になっていれ
ば別だけど、まずここから設定がおかしい。どうして兄の借金を弟が返さなけ
ればならないのだろう。
日々お金に苦労している一男だが、何と宝くじで3億円が当たる。これで借金
を全額返済し、妻子ともまた一緒に暮らせると喜ぶのだが、宝くじの高額当選
者のその後をネットの記事で読み、不安になる。そこで大学を中退して起業し、
大金持ちになった親友の九十九にアドバイスをもらおうとする。九十九は久し
ぶりの再会を喜び、「3000万円くらい貸してあげたのに」と言う。は~こん
なこと1度でいいから言ってみたいものだ。そしてそして、親友でも高額の宝
くじが当たったことは言ってはダメ~!!昔1億円だか2億円だか当たった女
性が、結婚を予定していた男に殺されてお金を持ち逃げされる事件があった。
だから絶対に人に言ってはダメ!
酔って寝ている間に九十九は3億円と共に姿を消してしまい、一男は必死にな
って九十九を捜し回る。その過程で個性豊かな人々と知り合うことになる。で
もそれほどおもしろくなかったかな。登場人物の誰にも共感できないし、変な
ところも多いし。一男もそんなにあっさりと九十九を許すか?と思った。お金
で人間関係が変わってしまうこと、お金で買えないものもあること、そういっ
たことを言いたかったのだろうけれど、お金で人間関係が変わることがあると
いうのはわかるけど、お金で買えないものがあるとかそんなのないし。原作者
は余程お金に苦労したことがない人なのだろう。
やっぱり日本映画っておもしろくないなあ…おもしろいものも時々あるのだけ
れど。藤原竜也の演技は圧倒的に良かった。あと、一男と九十九が大学時代に
モロッコを旅行するエピソードも良かった。



クリスマスに食べたケーキです。今年はモンブランにしました(^o^)

ゴーストランドの惨劇

2019-12-21 23:44:53 | 日記
2018年のフランス・カナダ合作映画「ゴーストランドの惨劇」を観にいった。

人里離れた叔母の家を相続し、そこへ移り住むことになったシングルマザーの
ポリーン(ミレーヌ・ファルメール)と双子の娘。奔放で現代的な姉ヴェラ(テ
イラー・ヒックソン)とホラー小説を書くのが好きで内向的な妹ベス(エミリア
・ジョーンズ)は、双子でありながら正反対な性格だった。新居へ越してきた
日の夜、2人の暴漢が家に押し入ってくる。母は娘たちを守るため必死に反撃
し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにしてしまう。事件から16年後、
ベス(クリスタル・リード)は小説家として成功し家庭を持っていたが、ヴェラ
(アナスタシア・フィリップス)は精神を病んで現在もあの家で母と暮らしてい
た。久々に実家に帰ってきたベスに対し母は変わらず優しかったが、ヴェラは
毎日泣き叫び地下室に閉じこもり、家の外に出ることができなかった。ヴェラ
はまだ"あの夜"を過ごしているのだった。

衝撃的なホラー映画「マーターズ」のパスカル・ロジェ監督作品なので、期待
して観にいったが、やはりおもしろかった。シングルマザーのポリーンは叔母
の家を相続し、双子の娘と一緒にそこへ移り住む。変わり者と評判だった叔母
の家にはからくり仕掛けの家具があったり、大量の人形が飾られていたりして、
ちょっと不気味な雰囲気である。人形ってあまりにたくさんあると怖いな。そ
して引っ越してきたその日の夜、巨体の男と女装の男が家に押し入ってきて、
母子に襲いかかる。母は血を流して倒れ、姉妹もひどい暴行を受ける。しかし
起き上がった母が刃物で男たちをメッタ刺しにする。
16年後、妹のベスはその時の夢を見てうなされることがしばしばあったが、作
家として成功し、夫と子供と平穏に暮らしていた。一方姉のヴェラはあの惨劇
で精神が崩壊し、未だ家に囚われていた。ある日ベスの元にヴェラから電話が
かかってきて、「奴らが来た!戻ってきて!」と言うと電話は切れてしまう。
不安になったベスは久しぶりに実家に帰ることにする。ベスには、発狂した姉
の面倒を母に任せっきりにしていることで、負い目があった。
とにかく凄惨な映画だ。若い姉妹が男たちに殴られ、階段を引きずり降ろされ、
顔が腫れて傷だらけになっていく様子は本当に痛々しい。その男たちは1人が
巨体、1人が女装と正体不明の者たちである。巨体の男が人形を愛でている姿
はまさにホラー。けれどもこの映画はただの惨劇では終わらない。登場人物た
ちの行動やセリフに伏線が張り巡らされ、映画を観終わった後色々考えている
とつじつまが合ってくるのだ。そんなにすごく怖い訳ではないのだが、とにか
くおもしろい。さすが「マーターズ」の監督。
暴力シーンがすさまじく、少女の頃の姉妹、大人になってからの姉妹、それぞ
れの女優たちも熱演である。この映画のキャッチコピーは"2度と見たくないけ
ど2回観たくなる"なのだが、確かにもう1度観たいと思った。そういえば私「
マーターズ」の感想を書いていないなあ。もうだいぶ前に観たので、細かいと
ころは覚えていない。いつか観直して書きたい。




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哀しみのトリスターナ

2019-12-16 21:43:21 | 日記
1970年のスペイン・イタリア・フランス合作映画「哀しみのトリスターナ」。

16歳で親を失ったトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、老貴族のドン・ロ
ペ(フェルナンド・レイ)の養女となる。若く美しいトリスターナを、次第に娘と
してではなく女として見るようになるロペ。2人は事実上の夫婦として暮らす。
最初はロペの言うことを何でも聞いていたトリスターナだが、やがて自我に目覚
め始める。そんなある日、トリスターナは若い画家オラーシオ(フランコ・ネロ)
と出会い、恋に落ちたことをきっかけに、ロペへの憎しみを募らせていく。

ルイス・ブニュエル監督作品。幼い時に父を亡くし、16歳で母を亡くしたトリ
スターナは、没落貴族のドン・ロペ(もしかすると母と関係があったかもしれな
い)の養女として引き取られる。ロペは初めこそトリスターナを娘としてかわい
がっていたが、すぐに女として見るようになる。従順だったトリスターナだった
が、外出も自由にできない生活に不満を抱き、やがて勝手に街へ出るようになる。
そのことにいらつくロペ。そしてトリスターナは若い画家のオラーシオと恋に落
ち、駆け落ちしてしまう。
ロペは財産があるので働いておらず、毎日決まった時間にバーへ行き、仲間たち
とおしゃべりに興じている。当時の没落貴族はああいう生活をしていたんだな、
というのが興味深い。トリスターナは老人との生活に不満を感じるようになる。
そんな時街で画家と出会い恋愛関係になってしまうのだ。そしてそのことでロペ
を憎むようになってしまう。やがて画家と駆け落ちするトリスターナだが、ロペ
は「必ず戻ってくる」とつぶやく。ロペのその姿はとてもみじめに見えた。
可憐で無垢な少女が、冷徹な女性に変わっていく様子をカトリーヌ・ドヌーヴが
怖いくらいのリアリティを持って演じている。彼女の硬質な美貌はトリスターナ
役にぴったりだ。駆け落ちしたトリスターナだが、ロペが言った通り帰ってくる。
しかし脚に重い病気を負っていて、トリスターナは右脚の切断を余儀なくされる。
年を取って温和になったロペに対して、トリスターナはどこまでも冷淡だ。家の
中に響くトリスターナの松葉杖の音が、彼女の心を表しているかのように硬く冷
たい。トリスターナはすっかり変わってしまっていた。ロペの愛用のスリッパを
生ゴミと一緒に捨てる場面などぞっとさせられる。ラストもトリスターナは氷の
ように冷たい。数奇な運命を辿った女性の人生を描いた、おもしろい映画だった。




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アドレナリンEX

2019-12-11 23:41:00 | 日記
2008年のドイツ映画「アドレナリンEX」。

誕生日の夜を恋人と過ごそうとしていたアレックス(ガブリエル・マン)の元に、
借金を本気で返済しようとしない彼に腹を立てた男が突然現れ、南米アマゾン
産の正体不明の毒を注射されてしまう。それは80分で死に至る毒で、それま
でに返済し男から解毒剤をもらわなければならなくなった。金の工面のため、
アレックスは兄や友人のところに向かうために車を飛ばす。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のトーマス・ヤーン監督作品。アレック
スは4週間で返すという約束で男から金を借りるが、半年経っても返していな
いため、怒った男が家に押しかけてきた。そしてアレックスに80分で死に至
る毒を注射してしまい、時間内に金を返せば解毒剤を渡すと言う。タイムリミ
ットは80分。アレックスは金の工面のため夜の街を車を走らせる。
サスペンス・アクション映画だが、コミカルなシーンも多い。アレックスは金
の工面のため車を飛ばすが、その途中で有り得ないようなトラブルに何度も巻
き込まれる。その度に時計を見るが、間に合うのかとハラハラする。ずっと連
絡をとっていなかった医師の兄の勤める病院へ行き、借金を頼み込むが、もう
銀行も閉まっている時間である。拝み倒して小切手を書いてもらうことに成功
し、兄はアレックスの血液を検査して毒を調べる。だがやはり新種の毒で、病
院にも解毒剤は置いていないことがわかる。小切手を持って急いで男の元に向
かうが、その途中にもトラブルにぶつかるのだ。
スピード感あふれる展開にドキドキしてしまう。刻一刻と迫るタイムリミット。
この日アレックスは非常に濃密な夜を過ごすことになる。だが1蕃かわいそう
なのはアレックスに買ったばかりのジャガーを大破させられたおじさんである。
このおじさんはその後何度も登場し、パトカーに乗せられてしまう。そして今
までどれだけジャガーを買うのを楽しみにして生きてきたかを警官たちに語る
のだが、その哀愁漂う姿に笑ってしまう。意外な結末も、そんなにうまくいく
ものだろうかと思うが、まあおもしろかった。
残念だったのはドイツ映画なのにセリフがドイツ語ではなかったこと。何故英
語?それに何故ドル?結構楽しめたが、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」
には敵わない。あれはとてもおもしろかった。大好きな映画の1つである。



太って見える!いや実際太っているのだが(^^;)